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鍵師のおしごと  作者: ちさここはる
EP4:王族の地下迷路金庫開け依頼編
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第46話 竜と中身の行方

 一ミリにも満たない距離間。死ぬ間際だというのに――……。



「《カップ=ヌゥダールの名において命ず!》」


「『刻壁、封鎖ぁあ!』」



 全く、怖くないんだ。



「《全領域、施錠っ!》」



 ジョイさんの術が、瞬く間に壁を創り上げた。

 

 壁が全領域である範囲を、オレが施錠をして塞いだことで強化し、竜からの攻撃は見事で防ぐことが出来たことに武者震いが起こる。


 とんでもないことを成し遂げたんだと実感をしたんだ。

 頼もしい相棒のおかげで。


 しかも、オレたちに向けた攻撃は竜自身に戻って大爆発をした。思いもしなかった防御方法に竜も驚いたんじゃないのかな。

 ただ、いい眠気覚ましになっただけにならないことを願うばかりだよ。

 


「すんごいじゃん。クボヤ鍵師」

 


 防御による功績に、ジョイも横のオレの肩を拳で軽く弾き叩いた。

 

 咄嗟の動いて行ったことに、オレも肩を揺らして荒く息を吐くだけで、言われたことでようやく実感をしたんだ。

 

 怪我もなく二人とも無事でいるってことに。



「ありがとうございます! これからの指示をお願い出来ますかっ!」


 「っぶぁあアぁあっかァ! 真に受けてんじゃねぇよっ。こんなこと出来て当たり前じゃん?」



 素直に聞いた分、彼からの()()()()()()()の言葉は鋭利で納得は出来たものじゃない。今は彼の相棒として、隣で頑張りたいんだ。

 

 オレに師匠と呼べる存在がいたのなら、彼のように()()を使い分けて鍛えてくれたでしょうか。欲しかったなぁ。



「…………(エッカにも、……そうで在ればよかったのかもしれないな)」

 


 反発するよりも行うべきことがある。

 

 オレは彼からの指示を仰いでやりきってた。不出来な弟子で、いい相棒だと思い出せるくらいの【存在】と記憶を残して帰りたい。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですよ。


 

「…………(エッカが追放されても、笑顔だったのか)」



 早く、彼女に逢いたい。ぎゅっと抱き締めてあげて、許されるまで謝らなきゃいけないんだ。


 仕事が終わったら、すぐにでも旭川()に帰ろう。



「次は何をしたらいいんですかっ!」

 

「まずは竜の様子を見るとしよう、開錠しな」

 

「え! っで、でも、……分かりました」



 ジョイの提案にオレも言い返したかったが、何か考えがあってのことなんだろうな。言葉を飲み込んで頷くことにした。



「《開っっっっ錠っ!》」

 

 

 オレはがちゃり、と開錠させた。もちろん納得なんかしていない。

 

 でも、彼を信じる。オレの相棒ですからね。

 

 

「優秀な鍵師ちゃんだな♡」

 

「ありがとうございますっ!」

 

「……さァ、行くぞ!」

 

 黒煙が立ち上る竜の前へ降り立った。オレも彼の後に続くしかない。

 

 香ばしく腹も空くような臭いがする煙も、ダンジョン内に充満をしている。


 煙で辺りが遮られて見えないことにオレは「《風の神よ、旋風を吹かせてくれますか》」と頼んで、ダンジョン内の煙を吹き飛ばして貰った。

 


「おい。貴様は何をやってんだ」

 

「換気をしたんですが、イケませんでしたか?」

 

「そうだな。言うなら()()()()()だ」



 ダンジョン内を換気したことを彼からも、余計な真似と吐き捨てられてしまう。あんな煙まみれのまま、鼻先も痛い空間の方がよかったっていうのか。

 


「あー~~……だからな? 敵さん側の視界を広げてくれちゃってどうすんだって話しだよ」


「え」



 彼から言われた言葉に、オレもぎくりとなってしまった。

 

 そんなことを言われたら、それはそうだな。血の気も低くなる。視界も黒くなって、息継ぎも忘れたかのように出来なくなってしまう。

 


「私たちも丸見えになるじゃんか、竜の野郎(やっこさん)から」

 

「っご、ごめんなさいっ!」

 

「やっちまったことは仕方ない。次からは気をつけるんだな♡」



 目の前にいる竜から丸見えだという現実は、オレの慢心から創り出してしまった窮地だ。


 ところがだ、竜がびくりともしない。肌の呼吸をする動きが見た感じない。竜自身の攻撃をもろに喰らって自滅したということなのか。



「竜は、死んだんですかね?」


「どうだかな」


 

 身動きのしない竜をオレたちは見下ろしていた。

 

 オレは全体的に竜を眺めていると、何か違和感を覚えた。どこかの何かが、おかしいんだがそれが分からないんだ。


 この気持ち悪さはオレだけなのか、彼にも確認したいが聞くことが出来ない。

 


「つぅか。ありゃあ、抜け殻だな」

 

「え?」

 

「中身は――」

 


 ずしゃ! とジョイの腹から鋭利な何かが突き出た。

 夥しい鮮血が噴き出したことに「は?」と間抜けな声がオレから漏れ出てしまう。


 エイリア〇は勘弁してくださいよ。



「ジョイさンん!」

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