第94話 前期バトルフェスタ~クロノクルアウェー戦③~
アリシア王女との試合が始まってからもうすぐ三分が経過しようとしていた。
あれからボクもアリシア王女も攻め手を欠いた状態が続いている。
お互いが何らかの魔法に対し、それに対抗できる魔法で対処されるの繰り返しだ。
(いやー、不味いね。 このままじゃ引き分け、最悪負けかなぁ)
そう考えながらボクは何とか魔法を使い続けているが、双方とも疲労が溜まっている。
もうすぐ残り一分を切りそうだし、何とかしないと……そう思ってたら。
「【ファイアボール】」
「あ……!」
アリシア王女がファイアボールを自分の周りに留まるように出し続けた。
これはもしや……!?
「いけっ! ファイアボール・ダンス!!」
「やっぱりーー!!」
ファイアボールを使い魔のように自分の意思で操りだした。
あのファナを負かしたレベルの操作で、ボクを翻弄しようとしている。
「くっ!!」
「まだまだですよ!!」
(やっぱり、こっちの方が精度が高い……! だけど……!!)
ボクはアリシア王女が操るファイアボールを躱しながら、ある魔法の準備をした。
これもラウル・アカデミー戦を元にしたやり方をプリムラさんが前の試合で示してくれたのを使い、ミルト君がボクを助けてくれた際にやったとされるある事を実行する。
「それっ!!」
ボクが足を止めたタイミングでアリシア王女はファイアボールを二つ、ボクに向けて来た。
それを待っていた!
「はぁぁっ!!」
「ええっ!? ファイアボールを拳で打ち返して……、きゃあぁぁぁっ!!」
ボクがやった事……それはファイアボールを拳で打ち返した事だ。
その行動に驚いたのか、返って来たファイアボールを避ける事が出来ず、二発とも受けて服が燃やされる。
「おい、あの子ファイアシールドを拳に!?」
「マジか! あんな使い方をするとは……」
観客席からもどよめきが走ったようだ。
ラウル・アカデミー戦でやったのは素でファイアボールを蹴り返したけど、プリムラさんは前の試合ではそれをファイアシールドを足に掛けてから蹴り返したのだ。
それを拳にできないかと思ったら、トイレに行こうとした時の事を思い出し、それを実行したのだ。
ミルト君の時はエアシュートだったようだけど、ファイアシールドでも上手くできた。
それでも残りは既に30秒。
アリシア王女が何とか起き上がろうとするが、ここで決めないといけない。
ボクはこの魔法で決める事にした。
「小さき雷よ、敵を撃ち抜け! 【インスパイア】!」
頭痛を発生させるのを防ぐために、ボクは詠唱ワードを口にして【インスパイア】を放った。
こっちは相手にバレるリスクはあるが、頭痛は抑えられる。
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
もちろん、その雷は満身創痍だったアリシア王女に直撃させた。
そのまま、彼女が倒れた所で、試合が止まった。
残り二秒、ギリギリだったかも……。
『勝者はエトワール魔法学校、アリス・パリカール選手です!!』
でも、何とか勝てた。
中盤の攻めきれない状態には参ったけど、勝ててよかった。
「流石です、アリスさん。 まさかあんな形で対処するなんて」
「前の試合などで色々利用しただけですよ。 アリシア王女もなかなかでした……」
「あ、少しふらついてますね。 肩、貸しましょうか?」
「お願いします」
アリシア王女に肩を貸してもらい、ゆっくりと控室に戻ったのだった。
控室に着いた時に、次は負けないと言われたので、もっと頑張らないといけないけど、今は少しお休みしよう。
次回は8月13日(土)に更新予定です。
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