第89話 アリスの告白
「そういう流れだったんだ……」
「キレた時のミルト君、そこまで強かったのですか」
「しかし、分身体が他の場所にも潜んでいたなんてね」
アリエスさんから話を聞いたが、ミルト君はあの後もエアシュートを拳に纏わせて殴り殺したんだそうだ。
分身体相手なら殺してしまっても構わないと、国王様からは許可されてるとはいえ、あれらをミルト君一人で倒すとは。
だけど、ボクはミルト君が助けてくれなかったらブラッドの分身体の前で漏らしていたと思うとゾッとする。
「あ、アリスさん」
「ミルト君」
ボクは死屍累々の分身体の前にいるミルト君に声を掛ける。
既にボクに気付いているみたいで、少しそっぽ向いた。
多分、キレた状態の自分をボクにほんの数秒でも見られた事を恥じているのだろう。
それでもボクは、彼を抱きしめた。
彼のおかげで無事にトイレを済ませたんだしね。
「助かったよ、ありがとうミルト君。 君が助けてくれなかったら、ボクはあのままあいつの前で漏らされてたよ」
「アリスさん……」
「ボクはミルト君以外の男に汚されたくなかったしね。 今、こうしていると安心するよ」
「あらあら、見せつけてくるわねぇ」
ボクがミルト君を抱きしめながら本心を使えると、彼も赤面しながら抱き返してくれた。
まぁ、アリエスさんがニヤニヤしながら冷やかしを入れてくるが、今はスルーしよう。
「アリスさんは……、さっきの僕の様子に幻滅してますか?」
「幻滅なんてしないよ。 さっきも言ったように君のおかげで助かったし、無事にトイレにも行けたしね。 どんな形でもボクがミルト君の事が好きなのには変わりないよ」
「あ……」
ボクはミルト君のキレた様子を少しは見たけど、それでも幻滅はしない。
違う一面を見たとしても、ボクがミルト君の事を愛しているのに変わりはないからだ。
さらに強く抱きしめると、彼はそのまま胸に顔を埋もれるようになった。
そのまま、彼は不器用ながらにこう告げてくれたのだ。
「僕も……アリスさんの事が好きです」
何だかんだで、ボクとミルト君の想いが繋がった瞬間でもあった。
「えへへ、嬉しいよ。 これからもよろしくね、ミルト君」
「あ、は、はい」
「じゃあ、そろそろ戻ろっか。 もうすぐ試合だし」
「そうね。 色々見せつけられたけど、もうすぐアウェー戦だしね。 控室に行きましょうか」
ボクはミルト君の手を繋ぎながら、アリエスさん達と共に控室に向かう。
もうすぐ、アリシア王女が通う【クロノクル魔法学校】のアウェー戦が始まる……。
次回は諸事情により17日(日)に更新します。
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