第88話 キレたミルト
今回はアリエス視点でお送りします。
【Side アリエス】
トイレに行こうとしたアリスさんの背後からブラッドの分身体が床から出現して羽交い絞めにし、そのまま連れ去ろうとした所をミルト君のエアシュートによってブラッドの分身体が吹き飛び、その隙に解放されたアリスさんは無事にトイレに向かった。
それにしても、彼のエアシュート……、まるで弾丸みたいな鋭さを持ってたわね。
(うわぁ、彼の目に光が消えた……。 これ、キレてる?)
吹き飛んだ分身体にジリジリと近づくミルト君の目には光が消えた。
彼から出てくる威圧感からして、かなりキレていらっしゃる。
「て、てめぇ……! 俺の計画を……ぶべっ!!」
「そりゃあこっちのセリフだ! 僕の彼女がトイレに行くのを邪魔しやがって……!!」
(ミルト君……、キレるとキャラが変わるの!? それに、あの拳……エアシュートを纏ってる……!!)
よろめきながら立ち上がるブラッドの分身体の顔に今度は拳で殴り、再度吹き飛ばす。
しかし、よく見たら拳にエアシュートを纏っていた。
今の彼に、あんな芸当が出来るなんて……!
「大方お前はアリスさんを辱めてから自分の人形に仕立てようとしてんだろ?」
「ぐっ!」
(トイレを邪魔して連れ去ろうとした時点でやっぱりってなるわね)
やはりというか、アリスさんを失禁させる事でショックによる抵抗力を奪い、自分の物に仕立てる事が目的だった。
多分、他の女性も同様な目に遭ってたのでしょうね。
「こうなったら、まずは邪魔なお前を片付ける! 出でよ!!」
(なっ!? 他にも潜んでいた!?)
何と分身体は一人ではなく、他にも床やら壁やらに潜んでいた。
アリスさんの能力ならこれくらいしないとダメって事なのでしょうね。
「一斉に仕掛けるぞ!!」
「「「おおおっ!!」」」
ブラッドの分身体のリーダー格が指示を出し、それに呼応するかのように一斉にミルト君に飛び掛かる。
しかし、彼は拳に再びエアシュートを纏い……、腰を落とした。
「せぇぇぇぇい!!」
「「「ぶるわあぁぁぁぁぁぁっ!?」」」
エアシュートを纏った拳で、ミルト君は正拳突きを放った。
すると、エアシュートの弾丸と共に衝撃波が分身体の集団に襲い掛かり、一人を除いた分身体はその弾丸の嵐にやられ、そのまま息絶えた。
普通は殺人だけど、クレス校長も国王様も分身体なら殺しても問題はないとお墨付きをもらってるから、大丈夫でしょう。
「え、これ……、何が……あったの?」
「ルミアさん」
そんな光景を見たルミアさんがトイレから出た直後に私に聞いて来た。
私は今までに起こった事をルミアさんに話した。
「ミルト君……、それだけアリスさんを大事に……思ってたんだね」
ミルト君の周りに死屍累々な分身体が転がっている光景に顔を歪めながらも、それだけアリスさんを大事に思っている事を理解したルミアさん。
「ひ、ひぃぃ! 来るなぁ!!」
「さっき言ったようにアリスさんのトイレに行くのを邪魔したツケを払ってもらうぜ」
「う、うわぁぁぁぁ!!」
三度、エアシュートを纏った拳を構えて残った分身体に迫る。
転移アイテムは最初のエアシュートの一撃で壊されたので、逃げる事はできない。
「オラオラオラオラオラオラオラぁぁぁぁ!!」
「ふんぬむぎゃぁぁぁぁ!!」
拳の連打を浴びて、狂った悲鳴を上げながら最後の分身体は吹き飛んだ。
その際に両腕や両足はおかしな方向に曲がり、動くことが叶わぬまま息絶えたようだ。
その後にトイレを済ませて出て来たアリスさんとファナさんにも説明したのだった。
そして、この時は気付かなかったんだけど、ミルト君が分身体を死なせた事で、本体のブラッド・クーデルカが弱体化し、倒しやすくなったと国王から聞かされるのだった。
次回も2日後に更新します。
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