第79話 前期バトルフェスタ~ラウル・アカデミー戦②~
「あなたがアリスさんですね?」
「はい、ボクがアリス・パリカールです」
「私、ラウル・アカデミーの一学年生のリーゼロッテ・フェブラリーと言います。 よろしくお願いします」
「こちらこそ、いい試合をしましょう」
控室からアリーナに出ると、礼儀正しい子が待っていた。
この子がボクと同じ一学年生で、リーゼロッテ・フェブラリーというらしい。
彼女といい、クローネさんといい、一学年でありながらもこの前期バトルフェスタに出れる実力を持つため、油断は一切できないだろう。
ライネス君みたいに引き分けになりそうな予感はするが、負けや引き分けをするつもりは毛頭ない。
(と言ってもボクは病み上がりだし、攻め手は限られるんだよね)
初日の無理が祟ってか、今日は出場はできるがおそらくグレイブやインスパイアなどは安易に放てないだろう。
ファイアボールの同時撃ちも良くて四発が限度だ。
それなりに立ち回るしかないね。
『それでは、アリス・パリカール選手対リーゼロッテ・フェブラリー選手、試合開始!』
「【ファイアボール】!!」
「【アイスニードル】!!」
試合開始のアナウンスと同時に、ボクはファイアボールを、リーゼロッテさんはアイスニードルを挨拶代わりに放つ。
「くっ、アイスニードルが溶けて……! 【ファイアシールド】!!」
ボクのファイアボールは本来より大きい火の玉と威力なので、彼女のアイスニードルはあっさり溶かされる。
だが、すぐにファイアシールドで対応したが、僅かに防ぎきれずに服の袖が焦げる。
「あつっ、流石ですね。 ファイアボールだけでも中級魔法の威力で……」
「まぁ、訳ありでしたから」
ワルジール魔法学校で無能扱いにされ、入学から一年後に退学させられた。
だが、そのワルジールも今は一度解体にされ、新しく生まれ変わる予定。
フレデリカさんの希望で、その際は新しい名前の魔法学校でとカティアさん経由で国王様に伝えたんだとか。
「これは私の持つ力でどこまでやれるか……楽しみです」
「病み上がりなんで勘弁してくださいよ……」
病み上がりなので、攻め手は限定されるのだが、向こうが本気で挑んで来るので、こちらも限定される攻め手の範囲内でちゃんと応じてやらねば無作法と言うもの。
なので、ファイアシールドで上手く躱しながら、三種の基礎魔法でやっていこうと思う。
「行きますよ! 【ブリザード】!!」
「くっ! やっぱり寒い!!」
先に仕掛けたのはリーゼロッテさん。
冷気の初級範囲魔法の【ブリザード】で、周囲を冷やしてきた。
寒さで足が凍りそうだが、ボクは堪えながらこの冷気を打ち消すべく……。
「【エアシュート】!!」
「えっ!? きゃあぁぁっ!!」
エアシュートで彼女のブリザードごとリーゼロッテさんを吹き飛ばすことに成功した。
リーゼロッテさんが吹き飛ばされた際に彼女のスカートの中が見えてしまっていたようだが、観客席からでは見えてなさそうなので大丈夫だよね、多分……。
そう思いながらも、ボクは次の仕掛けの準備に入った。
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