第69話 前期バトルフェスタ~クロノクル戦④~
「あぅっ!」
「うぐっ!」
吹き飛ばされたボクとトキアさんは、お互い尻餅をついた。
同じタイミングで【エアシュート】を放つなんて思いもしなかった。
ボクはすぐに立ち上がり、次の魔法を使う為に集中するが、トキアさんの魔力も集まっている。
出すならトキアさんが魔法を放ってからだね。
ファイアボール以外の魔法は、余程の技量でないと魔力の維持は出来ないはずだから。
特にインスパイアとグレイブは、達人だった母でも20秒までしか魔力を維持できない。
詠唱または魔力の集中が完了したらすぐに放たないと、脳がおかしくなると言われているからね。
「【グレイブ】!」
やはり、トキアさんが先に放ってきた。
足元に違和感を感じたので、すぐにそこから離れ、こちらもすぐに魔法を放つ。
「【ファイアボール】!」
「なっ!? 三発同時に!? きゃあっ!」
グレイブの発動後の僅かなラグを狙われたトキアさんは、三発同時に放ったファイアボールを避けきれずにダメージを受ける。
それでも一発分は回避されたが、ボクの抱える魔力的にはそれなりにダメージは与えられたはずだ。
「ううっ、や、やるわね。 流石にオレギ君を倒しただけあって、魔法の威力が他とは違う」
「これでも抑えてるんですけどね」
「それでもよ。 最初のエアシュートの威力も一般では考えられない程だったし」
服は袖が焼かれた程度だが、熱によるダメージが未だに残るトキアさんが素直に認めてくる。
これでも抑えてるんだけど、やはりワルジールの制約結界のせいで今まで溜め込んでいた本来の魔力が爆発してるみたい。
「だからこそ、戦い甲斐があるわ。 ワルジール戦は相手の魔法の威力が蚊に刺されたレベルだからね」
「あそこは初期魔力で優劣判断してましたから。 ボクもそれで退学されて、その後にエトワールに入学したので」
「なるほどね。 向こうで報われなかった分がワルジールを出てから発揮されたのね」
エトワール戦とワルジール戦では天地の差とも言えるくらいに違っていたようで、トキアさん曰くワルジールの生徒の魔法は蚊に刺された程度の威力だったそうだ。
攻撃させてあげるあたり、ボクより優しめだろうね。
「さて、時間も惜しいし、仕切り直すわよ!」
「もちろんです! 負けませんからね!!」
そう。
バトルフェスタの試合は制限時間は5分。
時間も惜しいので、すぐに仕切り直す。
「【バーニング】!!」
先にトキアさんが火属性の初級範囲魔法の【バーニング】を放ってきた。
「【ファイアシールド】!!」
そこにボクは真っ先にシールドを展開する。
おそらくここでトキアさんは何かを仕掛けると踏んでいる。
「【インスパイア】!!」
ボクがシールドを展開したのを確認してからトキアさんがインスパイアを放った。
(やはり……!!)
それを予感していたので、ボクはシールドを犠牲にしてそこから離れた。
しかし、バーニングとインスパイアとはね……。
そうしているうちに試合時間は2分を切ろうとしていた。
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