第47話 エキシビジョンマッチ①
「それでは、エキシビジョンマッチを行います! 両者入場!!」
トイレでアリエスさんとお話してから数分後。
一般に『アリーナ』と呼ばれる闘技場のグラウンドに繋がる選手控室で待機していたボクは、アナウンスが響き渡ったと同時にアリーナに向かう。
(アリエスさん……)
向こう側のゲートから、アリエスさんも現れる。
同時に観客席が喧しくなる。
「こんな数の観客の下で模擬戦するなんて、緊張するわね」
「ボクもです」
「アリスさんもなのね。 この模擬戦は勝ち負けにはこだわらない形ね。 名義上の勝敗はあるみたいだけど」
「そうなんですね。 それなら少し安心します」
「私もよ。 お互い、いい戦いをしましょう」
「望むところです!」
エキシビジョンマッチ開始前にも、アリエスさんと会話を交わす。
お互いこんな観客の前で戦うなんて経験は全くと言ってないようだ。
それでも、いい戦いをしておきたい。
一応、ボクもアリエスさんもバトルフェスタには出場するのだから。
「それでは、アリス・パリカール対アリエス・ファルーナ戦を始めます! レディ……ゴー!!」
「はぁっ!!」
「くっ!!」
試合開始早々で、アリエスさんが無詠唱で【アイスニードル】をボクの足元に向けて放った。
早速足を止めようとしてきたのか。
「【ファイアボール】!!」
「いきなり三発同時!? 【ファイアシールド】!!」
次の行動に移される前にボクも【ファイアボール】を三発同時に出しておく。
三発までならファイアボール一発分の集中力で済むからね。
アリエスさんはたまらず【ファイアシールド】で防ぐ。
流石にファナよりはシールドが大きいね。
「アイスニードル連射!!」
「なんの!! 覚えたての【バーニング】!!」
今度はアリエス先輩がシールドを解除したと同時にアイスニードルを連射してきた。
上級生ならアイスニードルを連射する事すら容易いのか。
多分、弾幕で動きを止めてから別の魔法を放つ算段だろうけど、避けてる余裕はないので模擬戦前の実技授業で覚えた火属性の初級範囲魔法の【バーニング】を使わせてもらう。
「って、あちちちっ!!」
「ううっ! 氷の針が一瞬で溶けて……!!」
しかし、やはり範囲魔法は初級でもかなりの集中力は必要。
アイスニードルの弾幕でブレてしまった為に、服の袖に火が燃え移ってしまった。
慌てて火を消すが、アリエスさんもボクの【バーニング】の熱さで足を止めてしまう。
「今の【バーニング】って言ったよな?」
「確かに聞こえた。 でも範囲や威力が【ヒートストーム】レベルなんだけど……」
「っていうか、集中力が足りなかったのか、腕が燃えたよな? 大丈夫だろうか?」
「燃えたのは服の腕の部分みたいね。 火傷はしてなさそう」
観客側からもどよめきが聞こえる。
一応、腕が燃えていた事も心配してくれる人もいるが、袖が燃えただけで大丈夫なんだよね、一応は。
「ううっ、火属性の初級範囲魔法でもあの威力とは。 次の行動を取りやめて正解だったわ」
「アリエスさん……」
「でも、まだ始まったばかり! 私も牙を剥かせてもらうわ!」
アリエスさんはそう言いながら、ファイアボールを二発同時に放ってきた。
(もう片手に魔力が……! これは風魔法!?)
彼女の魔力を察知したボクは、ファイアボールの回避を最低限の行動にとどめ、次の風魔法を回避するためにあることを考えていた。
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