第39話 二人の同行の理由
「はい。 ダンジョン探索許可証です。 これを首に掛けた状態でダンジョンに挑んで下さい」
「ありがとうございます」
バトルフェスタ出場を掛けた模擬戦の初日が終わり、ボクとミルト君でダンジョンに行こうとした所でファナだけでなく、ライネス君とファルミアさんも同行したいと言ってきた。
ダンジョンに行くメンバーの上限は10人だし構わないが、付き合っている二人が同行を要請するのは意外だった。
「しかし、珍しいね。 いつも二人だけの世界を形成しているライネス君とファルミアさんがボク達と同行するなんて」
「確かにダンジョンはいつも二人だけで行ってましたね。 記録にも書かれてましたし」
「あー、それなんだけどトッシュ先生に怒られてな。 他のメンバーとも一緒に行けとな」
「やっぱり怒られたんだ……」
そうなるよね。
恋愛は自由らしいけど、ダンジョン攻略や他の校外イベントなどで二人だけの世界は流石に看過できなかったのだろう。
色んな人と連携したり、話し合ったりしていざという時に柔軟な対応ができないと話にならないのだろう。
トッシュ先生もそこに危機感を抱いていたというわけだ。
「それと、私とライネス君はバトルフェスタの出場枠を得たけど、課題が多くてね……」
「確か前期のバトルフェスタは初級魔法縛りでしたね」
「ええ、私は第5ブロックだったんだけど、決勝で放ったインスパイアが失敗して自分に当たっちゃったのよ。 それによるダメージがなければ上級生相手でも余裕だったんだけどね。 アリスさん相手じゃ勝てないけど」
「ボクを持ち上げないでくれるかな?」
さらにファルミアさん曰く、二人はバトルフェスタの出場枠を得たのだけど、制御などに課題が出たらしい。
前期のバトルフェスタは初級魔法縛りで戦う事になるのだが、ファルミアさんは雷の初級魔法【インスパイア】の制御に失敗し、自分に直撃してしまったらしい。
それによるダメージのせいで辛勝したんだとか……。
やっぱり雷の魔法は初級でも制御は難しいんだよねぇ。
「だからバトルフェスタに向けて色んな人達と組んで学んだ方がいいと思ってな」
「そうだったんだね。 なら、早速行こうか」
「あの町中にあるダンジョンよね。 あそこなら制御の訓練にもうってつけだし」
「でも、アリスさんは大丈夫ですか?」
「何がって……あー……」
「ファナさん、アリスさんに何が?」
一応、二人の理由を聞いて納得したので早速ダンジョンに向かおうとしたが、ファナから心配される。
どういう事だと思ったが、あの時を思い出した事で理解してしまった。
ミルト君は何があったのかファナに聞いているみたいだね。
「実は前にダンジョン探索した時にフロッガーという魔物にアリスさんはお尻を舐め回されたんですよ」
「なん……だって……?」
「あ、ちょっ、ミルト君!?」
事情を聞いたミルト君が突然顔色が変わり、殺気がかなりデカくなった。
慌ててボクが諫めると、すぐに謝って来たが……それだけボクを想ってくれてるんだなぁ……。
「と、とにかくフロッガーも倒すんだろ?」
「そうだね。 落とすアイテムはある程度高く売れるからね」
「じゃあ、探索しながら片っ端から魔物を倒すという事でいいですね」
「そうね、門限の事を考えたらあまり長居はできないけど」
「じゃあ、改めて出発しよう」
一通り話し合ったボク達は、目的の街中のダンジョンに向かった。
ミルト君のミスリルの剣とボクのミスリルの槍の威力を試したいしね。
メンバーも5人いるし、ある程度は魔物を倒せるでしょ。
多分ね。
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