第30話 幕間~ファガーソン家の末路~
今回は幕間の話です。
ファガーソン家の末路の話です。
一方、その頃……。
「くそっ! 何がどうなってるんだ!!」
生まれつきで攻撃魔法を使えない者は無能という思想の下で大きくしたファガーソン家に国王からの強制捜査が行われたのだ。
その結果、ファガーソン家のあらゆる所から建築ギルドにお金でルールを捻じ曲げるように仕込んだ証拠が出て来た。
妻や子供、使用人はそのまま逮捕され、王都の牢屋へと連れて行かれたが、当主のジャガー・ファガーソンだけがどこかへ逃げたらしく、一部の調査隊が追いかけていったのだ。
「お金を使ってでも建築ギルドに各地で無理やり契約を打ち切らせてまで、無能の居場所を与えないようにしたのになぜ……!!」
彼は自分達の主張を貫き通すために、あらゆるルールを捻じ曲げ、それを隠滅した。
それによってファガーソン家はここまで大きくなったのだ。
しかし、ここである人物に喧嘩を売った事で、一気に転落する羽目になったのだ。
「ここにいましたか、ジャガー・ファガーソン」
「な……!?」
隠し通路を通った先には、調査団の一部と……クレス・エトワールの妻、カティア・エトワールがいた。
そう、この調査団は国王の依頼で彼女が指揮を執っていたのだ。
「な、何故ここが……?」
「私を甘く見ては困りますね。 私はあの『大賢者』の妻ですよ。 探索魔法であなたの居場所とルートを突きつけたまでです」
「探索魔法だと!? 無能魔法で私を探ったのか!!」
「あら、探索魔法を無能とは余程の脳筋でしょうか。 最難関ダンジョンで重宝されてる魔法なのに」
カティアの威圧感の籠った発言に、ジャガーは冷や汗をかく。
大賢者の妻も、伊達ではないという事だろう。
「他の人をスケープゴートにしてあなただけ逃げ切ろうなんて、そうはいきませんよ。 何せ、あなたは私の夫が運営し、娘が通う学校の寮建築を勝手にキャンセルさせたんですからね」
「ぐぬぬ……!」
何故バレたのか。
それが分からないジャガーは歯ぎしりしながらカティアを睨む。
「そして、あなたはその夫が運営する学校にまで触手を伸ばしたのが失敗でしたわね。 夫の印鑑は特殊文字を使ってますから、偽物だってわかりましたよ」
「な……、何……!?」
さらにはクレスが使っている印鑑は、特殊文字が刻まれており、今回の契約キャンセルに使われていた印鑑が偽物だとすぐに分かったそうだ。
それを知らなかったのか、ジャガーの顔色は青ざめていく。
「あなた達ファガーソン家は、私の夫かつ大賢者のクレスに喧嘩を売った事で壊滅の道を歩むことになりました。 さぁ、逮捕しますよ」
「な、は、離せ……、ぐあぁぁ!!」
カティアの指示で二人の騎士がジャガーに掴みかかる。
ジャガーの抵抗に、一人の騎士がジャガーの片腕を折った。
痛みで悲鳴を上げるが、のた打ち回る事すら出来ないジャガーを無理やり連れて行く。
「そうそう、あなたに一言だけ言いますね」
その時にカティアは笑みを浮かべながらジャガーにある事を告げた。
「あなたが無能と断じて、さらに使用人と共に瀕死になるまで殴ったミルトという少年は、夫の学校にて保護させていただきましたわ」
「な……、あぁ……」
ジャガーが無能と断じ、瀕死になるまで使用人たちと共に殴って追い出したミルトをクレスの運営する学校で保護させてもらったという事実にジャガーはショックを受けた。
自分の主張を否定させられる危機を防ぐためにやった事が、クレスの運営する学校で保護された事で潰れてしまったからだ。
ショックのあまり、気を失ったジャガーを引きずって連れて行く二人の騎士。
それをカティアは見届ける事になったのだ。
「さて、建築ギルドサイドは……と。 ああ、これは一旦解体でしょうかね……」
そして、別の調査隊の騎士達によってもたらされた建築ギルドの調査結果に天を仰ぎながらカティアは嘆く。
思った以上の汚染が広がっていたので、一旦解体するしかないレベルだったからだ。
カティアはこの内容と一緒に、ファガーソン家の解体の完了を国王に報告したのであった。
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