第22話 少年を受け入れるアリス
「え……?」
ボクが男の子を一緒の部屋に住まわせると告げた事に反応したのは、その男の子だった。
突然の提案にボクの方を見ながら少々驚いている様子だ。
「いいのか、アリス?」
「ええ、程度の違いはあれど、同じ追放された者として彼を放っておけないんです」
「アリスさん……」
ボクは初期魔力で無能と判断されて前の学校を退学され、男の子は生まれつきで攻撃魔法を使えなかった事で家を追いだされた。
程度としては彼の方が重い。
だからこそ、ボクは彼を放って置けないのだ。
下手をすれば、彼は野垂れ死んでしまうのだから。
「同じ部屋に男女がというのは理解できます。 でも、それ以上に彼を近くで支えてあげたいんです」
おそらく同じ部屋に男女がいると言うのは大人でない限りよろしくないだろう。
それでも、ボクの感情は彼を支えてあげたいという意思の方が勝っていた。
「あの……、本当にいいんですか?」
「うん。 家を追放されたって聞いて放って置けないんだ。 ボクも程度は違えど前の学校じゃ無能扱いされてた身だしね」
「あ……」
ボクは男の子の元に近づき、彼と目線が合うように座り、彼の手を優しく添えた。
彼は少し顔を赤らめていたようだが、そこはお構いなしでいいだろう。
「もう大丈夫。 これからはボクがキミを支えるから」
「うっ、ううぅ……」
男の子は感極まったのか、今まで溜め込んでた枷が外れたのか彼の目から涙が流れた。
ボクはそんな彼を受け止めるように抱きしめ、そのまま涙を流させた。
声を殺して泣いていた彼をファナ達も辛そうに見ていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「では、アリス君。 彼の事をよろしく頼むよ」
「はい!」
存分に涙を流させ、落ち着かせたタイミングでクレス校長は男の子をボクに託した。
もちろんそのつもり。
女に二言はないからね。
「さ、行こうか……。 えっと、名前聞いてなかったね。 ボクはアリス・パリカールだよ」
「えっと、僕はミルト・ファガーソンです」
「ミルト君だね。 じゃあ、これからよろしくね」
「は、はい……」
ボクはそう言いながらミルト君に手を差し出す。
彼は顔を赤らめながらおずおずとその手を握った。
何だろう、男の子だけどすごく可愛い……!
「ミルト君の入学手続きはやっておこう。 制服も明日以降に届くようにしておく。 まだ売店は開いているから、彼の日用品や寝間着など買っておいた方がいいだろう」
「分かりました。 じゃあ、まずは売店に行こうか」
「あ、私も行きますよ」
「そっか、ファナがよく知ってるから……案内お願い」
「もちろんです」
校長の娘であるため、学校の事をよく知るファナに売店を案内してもらい、そこでミルト君の寝間着やタオルなどの日用品、後は食べ物を買って寮に持っていった。
ミルト君の入学手続きは校長がやってくれるし、制服も明日以降に届くようだ。
さて、ここからミルト君と男女の共同生活。
ボクよりミルト君の方がドキドキしてるみたいだけどね。
それでも楽しみだし、彼には元気になって欲しいしね。
明日以降も頑張るとしますか。
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