第20話 校長の怒りの理由と男の子
「今、クレス校長の声が聞こえてたよね?」
「はい。 間違いなくお父様の声が聞こえました。 あと、トッシュ先生の声も」
「クレス校長の方は何か怒ってる感じだったわね」
「行ってみようか?」
「うん」
ボク達はクレス校長たちの声が聞こえたとされる校長室に向かう。
本来は、行くべきではない場所なのだが、娘のファナが先導して校長室にノックする。
「ファナです。 入りますよ、お父様」
だが、クレス校長の返事を待たずに校長室のドアを開ける。
「ふ、ファナ……?」
「それにアリスとアンナもか」
「お父様、何があったのです? 入り口まで声が響いてましたよ? 受付の方もびっくりされてました」
「うぐ……、あそこまで聞こえてたのか……」
ボク達が入って来た事に驚いていたクレス校長とトッシュ先生。
特にファナからのクレームにはクレス校長も申し訳なさそうにしていたのだが……。
「あれ、この男の子は……?」
「ああ、私が巡回中に発見したんだよ。 聞いた話じゃある貴族の家系だったらしいのだが、家を追い出されたらしい」
「え……?」
ボクが男の子の存在が気になり、トッシュ先生に聞いた所、どうもある貴族の家系生まれだったが家を追い出されたらしい。
それを聞いたボクとアンナさん、そしてファナも固まった。
「そして、校長の使い魔による独自調査も行った所、この少年を追い出した家系にうちの学校の寮建設をキャンセル扱いにされたんだ」
「ええっ!?」
しかも、使い魔を使ったクレス校長の独自調査で男の子を追い出した家系が今ボクが住んでいる寮の建設契約をキャンセル扱いにされたと判明した。
ファナは、それを聞いてさらに驚きの声を上げた。
だが、ボクは少し疑問に思った。
「トッシュ先生、建築ギルドとの契約解除って他人が出来るもんなんですか?」
「いや、契約者……この場合はクレス校長本人がそれ用の書類を提出しない限り、契約解除やキャンセル扱いにはできない」
「じゃあ、何でキャンセル扱いにされたんですか?」
「あの少年を追放した家系がお金で無理やり捻じ曲げてクレス校長の名を勝手に使ってキャンセル扱いにしたんだろう」
やっぱりそうなるか。
どこにでもお金でルールを捻じ曲げようとする輩は居るんだよね。
「今、国王にその事をクレームとして飛ばしたばかりなんだ。 この国に存在している建築ギルドは王族が管理してるからな」
各町に建築ギルドはあるみたいだけど、ここ【クーデルカ王国】にある建築ギルドは王族が管理しており、各ギルドマスターは進捗状況を王族に報告する義務がある。
そういえば、魔法学校も大臣を経由して王族に報告する義務があったような……?
それはともかく、クレス校長は独自調査した内容と共に国王様にクレームを出したようだ。
「あと、追い出された少年をどうするか……だな」
寮建築のキャンセル扱いの件はひとまず国王様にクレームを入れたクレス校長に任せるとして、トッシュ先生は男の子を見てどうしようかと考えていた。
この時のボクは、ずっと俯きながら座っている男の子を見て、放って置けなくなっていた。
何とかしてあげたいと……そう思うようになった。
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