第2章14話 「瞞着と漾々」
――俺は一人、靴箱の戸を開いた。
其処から現れたのは、何度も見た、最悪の象徴だった。
「手紙か……差出人は」
しかし、一つだけ違う部分があった。
そう、差出人の名だった。
『――K』
先ほどまでの慵惰な気分は消し飛び、一驚へと塗り替えられた。
『今宵、藍の髪を持った少女、怜那を殺害する――』
Kという名の人物は、怜那を殺すと記述していた。
「嘘だろ……」
俺は冷や汗を流しながら、二年生のいる階へと走って上がった。
そして、俺は『2-B』の教室へと向かい、怜那と会った。
「ど、どうしたの……? そんなに焦って」
「怜那、今日は俺の家に泊まってくれないか?」
「――!?」
怜那は一瞬、驚いたかの様な表情をしたが、笑って誤魔化した。
「別に、いいけど……」
「よし、それなら」
「あっ……ちょっと!」
俺は怜那の手を引き、走った。
まだ仲良くなったばかりの怜那を守るために。
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――俺は急いで帰宅した。
怜那を家に入れ、そして警戒心を怠らない様に気を付ける。
懍々とした心中に、不安が蟠る。
「ええと、あのー、微睡さん今日はどうしたの?」
「怜那、これを見てくれ」
「ん? これは……?」
鞄から取り出した『K』からの手紙を、俺は怜那に見せた。
「私……殺されるの?」
「そうだ。だから俺がこうしてお前を守るんだ」
「微睡さん……」
怜那は頬を赤くし、俺を見つめる。
だがしかし、その表情は軈て苦痛へと歪んだ。
「な――」
物凄い轟音が聞こえ、俺は怜那の方を見やった。
「微睡さん……ごめん……」
「怜那……」
俺は吐血した怜那を見て、瞠目していた。
震える両手を伸ばし、俺は倒れる怜那を受け止めた。
あまりの出来事に、俺は困惑する。
「――何で、怜那が……誰に殺されたんだ……?」
この家には、俺と怜那しかいない。
杏子と哥織は買い物に行っているからだ。
部屋を見渡しても、窓は開いていない。
原因は不明だ。
怜那の身体から、大量の血液が流れ出てきた。
そして、部屋の電気を反射して赤黒く煌めいている。
俺は膝を付いて、怜那を抱きかかえたまま呆然としていた。
――何が起こった?
――何を間違えた?
――犯人はどこだ?
――何で死んだんだ?
疑問が沸々と現れる。
依然、怜那の身体には傷一つ付いていない。
「怜那……怜那ぁ!!!!!」
俺は叫び、犯人に憎悪を向けた。
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「――然り、決してアタシは敗北しない。と、これが戴天した気分ですねぇ」
嬉々としていて、無邪気な子供の様に声を発する者がいた。
沈んでいく夕日を見つめ、左目に眼帯をした隻眼の少女――。
そして、隣には燕尾服を身に纏った高年の男性がいた。
「お嬢様、堤防から身を乗り出しては危ないですよ」
「五月蠅いっ! 爺はアタシに黙って着いてくればいいんです!」
海岸の堤防に座って、沈んでいく太陽を眺める少女は悪戯に笑った。




