みつばちの病気についての注意事項
農家は生産の効率を上げるために、一所に同じ植物をまとめて栽培しますが、この植物も100%が上手く育つわけではありません。病気の発生や害虫の被害等により、一部の植物から周囲へ伝播してしまう状況になってしまった場合、被害を最小限に食い止めるために薬を使ったり、場合によっては感染した株をさっぱりと除去したりもします。
植物に限らず畜産でも同じく、鳥インフルエンザや口蹄疫、狂牛病などは耳に新しい病気です。蜜蜂は園芸に近いとはいえ、括りはやはり畜産であり、命の選択に立ち会うことは、蜜蜂に触れたことの無い人が想像しているよりずっと多いです。
自然界で蜜蜂が繁殖する場合には、通常数百メートルから数キロ離れて1つ1つの群れが作られますが、蜜蜂の箱を置く場合には、専業で養蜂を行っている場合、家の庭程度の広さの場所に大体20前後の蜂箱を置くのが一般的です。蜜蜂の生態では通常起こらない距離感で群れが存在していることになりますが、こういう飼い方というのは仕事をする上で仕方ないとはいえ、病害虫に弱くなります。
みつばちに起こりうる病気は多岐にわたります。法定伝染病に指定されている腐蛆病は特に劇的な症状を起こし、感染力の高いアメリカ腐蛆病には最も注意が必要です。ヨーロッパ腐蛆病は芽胞を形成しないため、感染力は低いとはいえ危険性があります。届出伝染病も多数ありますが、病名だけ挙げればチョーク病、ノゼマ病、バロア病、アカリンダニ症などがあります。これらに含まれない病気としては麻痺病、サックブルード病、ハチノスツヅリガ(スムシ)による食害などが挙げられます。
これらの病気が20箱のうち1箱に出た際、その1箱を治療するのか、別の蜂場へ隔離するのか、あるいは焼却処分するのか、この判断を誤ると1箱から20箱へと病気が広がってしまいます。
先に挙げた伝染病の中には寄生虫によるものが含まれていますが、中でもミツバチヘギイタダニによって引き起こされるバロア病などは、ニホンミツバチが当初の主な宿主であったが、日本で養蜂が盛んになってからセイヨウミツバチへと寄生を広げ、世界中に蔓延してしまった最悪の伝染病です。現在の養蜂業の密集して飼育する形態との相性が(ダニにとっては)良く、これから先長く養蜂の大きな障害となるであろうと予測されます。
伝染病は最初の感染さえ防げれば大きく広がることは少なくなります。蜜蜂の生死を見極めること、それに必要となる知識と覚悟が養蜂をする者には強く求められます。




