表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】四季島親子は無敵すぎる  作者: LLX


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/49

46、ダンスダンスダンス

ロッカールームで、白地にピンクと赤の縁取りのダンス用シューズを久しぶりに履く。

まあ、僕は見学なんだけど。

ダンス見ると自然にステップ踏んじゃうよね。


スタジオの中は2面を鏡に囲まれて、ピカピカに磨かれた鏡や床と対照的に、バーなんかは色が剥げて時間の移ろいが見える。

最初見学してた僕に、シューズ履いておいでと言ったのは先生だった。

自由にしていいよと、僕には優しいけど、パパりんにはきびしい。


先生のレッスンは、最初バレエの基本動作から入る。

懐かしくて、一緒に踊った。

パパりんも、ずっとやってるだけあって綺麗だ。

負けたくないから、指先まで神経を研ぎ澄まして、美しく踊ることに専念する。



僕は小学校低学年の時、ママが近くにバレエ教室があるわよ! 

って言うんで、引っ越すまでの2年通った。

女の子たちが綺麗で可愛くて、楽しくてたまらなかった。

でも、知らない男の人が家を訪ねてきて、急にまた引っ越すことになって辞めたんだ。

電話で辞めますって泣きながら言ったら、先生が基本だけは続けなさいって言うんで、基本の動作は今でも続けてる。だって、綺麗なんだもん。

参考書はボロボロになってるけど、バレエの教室はなかなかどこにでも無い。

パパりんに言うのもなんか嫌なので、廊下の手すりがバー代わりだ。


プリエ、タンジュ、フォンデュ、お料理みたいな名前の基礎。

踊ると、先生が少し修正しながら、めっちゃ褒めてくれるので気持ちいい。

身体が柔らかくて筋肉の質がいい、ちゃんと教えたいわ〜って、変な褒め方で笑った。

ここ、教室やってるのかな?


「マリンちゃん、ダンス習ってたの? 」


タオル握って見てると、マネージャーのハルさんが話しかけてくる。


「うん、5才からキッズダンスとか、バレエとか。

2年前からは学校近くのアイリスダンススクールに通ってたけど、受験だから勉強しようかなって高2になって辞めちゃった。」



パンパンパン!


手を叩く音にドキッとする。


「音楽止めて、最初から。

返しが遅い、キレがない! ほら、指先にまで気が行ってない! 

趣味の今までと違うのよ、デビューするんでしょ? 」


「 あ〜〜、 Sorry、 Sorry、 歌入れていい? 」


「へたるからまだ駄目。一通り仕上げてからね。

やっぱ年ね、あんた昔は一発で覚えてたじゃない。」


「 年! 」 パパりんが一番言われたくない奴! キャハハハ!


「えーーーーーー!! 覚えてるよ〜、まーちゃんの前で年なんて言わないでよサチ!

ここ、ファーストとセカンドの振り変えてるでしょ、セカンドが何か流れが悪いんだよ。」


「あたしの振りに文句言うとか、いい根性じゃない。

えーーと、こう、から、 こう。身体をを返し…… あー、そうねえ…… 」


怒られてやんの。

彼女はサチって女の先生で、もう60近いおばさんだけど、昔の付き合いで仕方ないから付き合ってんのって言いながら、滅茶苦茶きびしい。

最近の先生は優しい人が多いんだけど、パパりんはこう言うきびしいけどキレのある先生がいいんだって。

面白いね。


「パパ、カッコいいでしょ? 」


マネージャーのハルさんが、妙に誇らしそうに言うんだけど。

パパりんが素で歌って踊るの見てると、何かモヤモヤしてくる。

なんだよ、こんな綺麗に歌って、ビシバシ踊れるじゃん。

なんだよ、家族でカラオケ行っても、やる気無さそうに人の歌を歌ってたじゃん。


「ムカつく! 」


「えー!? なんでー?? 」


「パパりん、隠しごと多過ぎ! 」


「あ〜〜〜〜 、そっか〜〜 、ごめんねー 」


ハルさんが謝ることじゃないけど、まあ、でもほんと頭いいよな。

見てると、特訓とか必要ないでしょって感じで、振りが一発で頭に入ってる。

通しで昔の曲歌ってみせるけど、全部完璧だ。


家では何してんのか、お互いの部屋には干渉しないが鉄則なんだけど、考えてみるとパパりんの部屋は飛び跳ねてもビクともしない。

小学校の時は雨が降ったら、パパりんの部屋で飛び跳ねて遊んでたもんなー

部屋から音楽聞こえた事ないから油断してた。隠れてやってたんだ、ダンス。


しかし、こんな何曲も歌詞とフリがよく頭に入るよ。

新曲で発表するのは一曲のはずなのに、何でこんな何曲もやってるんだろ。


「マリン君、パパのデビュー曲、踊って歌えるって言ってたよね。」


「できるよ、ママの前でやってたから。他の曲もオッケー 」


ハルさんがヒマそうに見てた僕に言ったんだけど、思いがけずパパりんが食いついてくる。


「ほ、本当かい?! まーちゃん、パパりんと踊ろうよ!

志摩さん、音楽流せる?! 」


「オッケー! 」


サチさんの助手の志摩さんが、音楽機器の液晶画面を操作する。

そして手を上げた。


「行くよー! Beエンジェ! 」


「ヤー! 」


パパりんの前に走り出ると、2人で向かい合って立つ。

パパりんが、ちょっとビックリしてささやいた。


「向かい合ってやるの? 」


「だって、その方が映えるじゃん! 」


ボンボン、ボボンボボボボン


ベースの音が、僕の性感帯刺激する。

上がる! 上がる! 気分が上がる!


すごい、すごい、前奏始まると、パパりんが歌手の顔になる。

僕は両手で下腹部から胸へ、身体を舐め上げるようになぞり上げる。

ベースの重低音が鳴り響き、2人でリズムを取って波に乗り、前髪を掻き上げた。

手を広げ、パパりんと逆に動いて鏡合わせに手を回す。

バッと2人でハルさんを指さした。


「「  君を、救いに来たんだ!!  」」


ハルさんが、真っ赤な顔して突風を浴びる。

その場にガクリと座り込み、僕らは笑ってワンターンすると歌を歌い出した。


「「 儚く生まれ落ちた君のために、 この世界は、

白い羽を羽ばたかせ、 僕を生み出した


ああ、空に輝くハーティムーン、

君の背中に影を落とす

さあ僕の手を取って、

鏡の向こうに逃げていこう 」」



楽しい!

楽しい!!


僕の高音と、パパりんの低音が混じり合って一つの音になる。


激しいダンスを鏡合わせで、遊ぶように踊る。

歌詞の前に、ギターの演奏に盛り上がって思わず声が出た。


「 ヘイッ! 」


「「 ああ、青い青い鏡の世界、

水の、中に、おぼれるように、

すがり、付く、君の手が、あーああ、  こぼれ、落ちる、


ラブリーラブリーデンジャラス、

氷のようなヤイバを手に、君のために、血を流す

Only love will save you


ラブユーラブユーデンジャラス、

闇の世界で君だけが輝いてるー 」」


「ハイッ! 」 


ババッ ババッ! ダンダン!

足を蹴り上げ一回転して、2人で向かい合って、ハルさんに投げキッス!


「きゃっ! 」

ハルさんが思わず飛び上がった。


「あはははは! たのしーー!! 」


僕は何故か、最近感じたことのなかった、新鮮な感情に満ちあふれた。


生きてるって!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ