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【BL】四季島親子は無敵すぎる  作者: LLX


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45/49

45、洋館のダンススタジオ

電話先の雅史が、でっかいため息付く後ろで、バタンバタンドアが閉まる音がする。

僕は部屋でカルピス飲みながら、雅史のいる場所が何となく想像出来た。

なんで電話かけると、必ずどこかに逃げ込むかなあ。

まるで猛獣に睨まれたうさぎだよぉ〜 ピョンピョン

可愛い〜〜!




って、ニヤニヤ笑っておちょくられているのも知らず、俺は溜息交じりでマリンの可愛い声を聞く。

そう、トイレで。


『ってさ、酷いと思わない? もー、パパりん大っ嫌い』


プウッとむくれて、チューッとなんか飲んでる。コクンと喉の音がして、ドキンとする。


「だからって、なんで俺に電話するんだよ。」


ヒソヒソ声で返す俺は、何故かマリンから電話がかかると、とてもいけないことをしている気分になってしまう。

昼休みなのに、慌ててトイレに逃げ込んでしまった。

だが今の時間、やたらトイレは人が多い。


ドンドンドン 

「高瀬〜、電話は外でやれよ〜 トイレとかよ〜、相手の可愛い子ちゃんにしつれ〜だろ〜 」


クッソ、高田〜、デカい声で名前言うなよ。


『やっだあ! トイレじゃん! うんこ? 』


く、クソッ! トイレを飛び出し、どこがいいのかキョロキョロする。


『雅史ぃ〜 なにしてんのぉ〜 』


「うるさい、ちょっと待て! 」


はっ、会議室だ!

そうっと開けると、ビンゴだ。誰もいない。

フウッと息ついて、ようやく座った。


「あー、なんだよ。用は愚痴だけ? 切るぞ。」


『やぁだぁ〜 恋人が電話かけてきたのにぃ〜 』


「恋人じゃねえし。」


『またまたぁ、あ、い、し、て、る。』


 はうううっ!


マジやめて、昼間っから胸を鷲づかみにされるぅ〜


「やめろ。何でこんな時間にかけて来るんだよ。」


『だってさ、嫌なことあったら、やっぱ恋人の声で癒やされたいじゃん? 

ねえねえ、花火大会の勝負下着は何がいい? Tバック? 』


Tバック…… まん丸お尻がこんにちは

駄目だ、仕事場に来たらあんな物思い出しちゃ駄目だー!


「俺は浴衣姿の方がいい。だから脱ぐな! 」


『え〜、いけずだなあ。チューしちゃう! ちゅっ、ちゅっ 

ほら、今ね、自分の部屋にいるの。

やだ、気分上がっちゃう〜 』


「上げるな、切るぞ。また夜にかけるから。」


『う…… ん、 イヤ、 ね? 切っちゃイヤ。

雅史の声を聞かせて。ふう〜〜、ほら、耳に、僕の息がかかるでしょ? 』


え? は?


『あ、 はぁ…… 

ほら、雅史の手がね、僕のあそこに、ほら、 あっ! や、やだ、揉んじゃイヤ。

駄目、はあ、はあ、あっ! そこ、そこは僕の敏感なとこっ! ひうっ!

んっ、んっ、んあーー! はあっはあっ 』


な、なに? 一体何が起きているんだ?

昼間っから、この子は何してるんだ?


「はあはあはあはあ、雅史、いやっ、あ、あ、駄目だよ、そんなとこ後ろはまだ!

んアアッ、雅史いっ、イッ、イッ イク……  』


いやあああ、やめてええ! 股間がおっきしちゃう!


「 切るっ! からっ! 」 ピッ


はあはあ、はあ、く、くそ、なんだよおおおおお!

仕事中なのに、俺を挑発するな!

ああああ、股間が! おっきしかけてるううう!


なんだよ、魔性の男の娘かよ!

もう電話取らないからなーーーー!


そう言いながら、結局またかかったら取っちゃうんだ。

俺は〜〜 あーーー! どうすればいいんだ!


「高瀬君、」


ひいいいいいいいいい!!


「ぶ、部長。なんでここに? え? いらしてたんですか? 」


「フフッ、コッソリ昼寝だよ。いいねえ、若いって。」


俺は、股間のテントを必死で隠したい。隠したいけど、上着がなあああああい!


「あー、はい。これくらいしか無いね。」


今年定年の部長がニッコリ、椅子を畳んで差し出す。

俺は、顔を真っ赤に燃え上がらせて、それを受け取るしか無かった。


「あ…… りがとう、ございます。」


「男の生理はね、仕方ないんだよね〜 」


うるせーーーーーー!!


俺は引きつった笑顔で返し、横歩きでそっとトイレに向かった。

マリン、俺はお前を許さねええ!!

次は夜にしろ。




僕は、翌日からパパりんとダンスの先生のスタジオに行くことになった。

マネージャーのハルさんが迎えに来てくれて、運転は何かキリッとした男の人だった。


「青井と言います。これから移動は私が担当しますので。よろしくお願いします。」


「お願いしまーす! 」

「お願いします。」


青井さんはピシッと髪を73に分けて、暑いのにきっちりスーツ着てる。

なのに、汗書いてる感じじゃない。

どこかパパりんと雰囲気似てた。


「息子さんにも名刺渡しておきます。何かありましたら、とりあえずご連絡ください。

空いてましたら駆けつけますので。」


「はーい。」


「まーちゃん、タクシー代わりに使っちゃ駄目だよ。」


「わかってるよう〜 」


プウッとむくれると、ほっぺを指で押されてしぼんだ。

信用無いんだから、もう!


ほんと面白く無いし〜 マジパパりんには色々裏切られたの、許してないんだからね。

でもまあ、週末の花火大会が楽しみで、何かウキウキする。

最近、雅史も優しいし。

僕はとても幸せだ。


高級住宅街に入って、大きなお屋敷が並ぶ中を進むと、林のように木が植えてある、古い洋館の前で止まった。

車を降りて、ハルさんがツタの絡まるレンガの塀にあるインターホンを押す。

返事が来て、ファンタジーの漫画とかで見る太い針金を組み合わせたような、洒落た扉を開けて中へと入って行く。

門を入ると、左に木が並ぶ石畳の道があって、洋館を右に見ながら庭へと進んで行った。


「綺麗なお家だねー 」


「お爺さんの代で建てられたんだよ。素敵だよね。」


パパと話しながら、木の間から通る風にホッと息を付いて進む。


「注意しないとね、蜘蛛の巣かぶるんだ。」


「えー、やだぁ。」


クスクス笑って進むと、なるほど何本も壁と木を繋ぐ蜘蛛の糸が現れて、ハルさんが手で払った。

何か慣れてるなー


「ほらね? 蜘蛛がいると最悪だよ。その辺に木の棒が置いてあるから、それで払うんだ。」


「はあ〜 」


と、急に木が途切れて、パッと明るく空が開けた。

現代に引き戻されたように、事務所のようなドアから、1人の金髪に髪を染めたおばさんが顔を出している。

洋館とは中で繋がっているんだろう、趣のある洋館とは正反対の、無機質な白い壁をしたスタジオが現れた。

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