28、親子でまぶしい!
そういえば、
「昔住んでたマンションはどうしたの? 」
ママから聞いたことがあるんだ。
パパりんは、アイドルしてた頃に
「あれか〜、もう古いけど1度リノベーションしてるから古さは感じないんだけどね。
スタジオあるからたまに使ってるけど、セキュリティはめっちゃ高いよ。
でも都心だから、まーちゃんが学校遠くなるでしょ。
通学も電車だと通勤ラッシュだよ? 」
「うわ〜それはやだな〜 」
「でしょう? まあ、でもあの家も確かにもったいないよね。
今売ると、買ったときの3倍らしいし。
とにかく様子見てから家は考えるよ。
昔ほど話題にもならないと思うし、おっさんの新人だし。
新曲出してもたいした事ないと思うし、新規のファンなんて、付かないと思うし。
ファンの皆も年取ってるし、挨拶程度に2、3年活動して終わりだと思うから。
家にセコム付けよ。
あと、まーちゃん、Hな声を控えてくれたら助かる。」
「え~、オナニーも出来ないって、寂しいじゃん。」
「声が大きいんだもん。パパりんもごまかせないよ。」
やだあ、せっかく新しく可愛いおもちゃ買ったのにぃ~
「は~、あと1年か~、大学も家から通えるとこでいい? 」
「いいよっ! 大歓迎さっ! 」
満面の笑みとか、こいつ子離れする気無いな?
就職したら、家を出る!
「再婚しないの? 」
「するならママと、かな、他の女性とは考えてないし。
ママがほかの人と結婚したら、もう一人でいいや。」
「ジジイまで、まだ長いじゃん。」
「うん、こういうの、流れだからね。
僕にはもう、まーちゃんいるし。」
けっ、面白くないの~
まま母で戦って遊ぼうと思ったのに。
パパりん、真面目すぎるだろ、顔がいいんだから遊び人になれ。
そしたらお金かすめて家を出るから。
「まーちゃん、課長帰ったらお風呂入ろう!
一緒に入ろうよ、ここのお風呂広かったよ。 パパりん、頭洗ってあげるよ! 」
「いい、一人で入る。」
「入ろうよ~ 」
くすんくすんって、泣き真似しても…… ほんとに泣くなああああ!!
ザンジバル雅史は、ぶつぶつ独り言言いながら買い物から帰ると、何だかそうっと玄関から入った。
泣きながら探してくれたとか、マリルーの怒った顔に心が震える。
付き合ってないのに、思い返すだけで心と体の中心の下の方に熱が集まる。
可愛い、
くそっ、やっぱり可愛い、
だが、高2の子に手は出せない。
でも可愛い。
くそおおおおお、
でもだめなんだ。
俺たちは、付き合ってない!
玄関をそうっと入り、忍び足で廊下を進む。
ドアの向こうから二人の話し声が聞こえる。
…………
親が元有名人か……
大変だよな、普通に生活するのも。
マスコミも忘れてくれればいいのに。
月曜からどうするんだろう。
会社、やめるのかな?
俺もちょっと寂しい。せっかく親しくなれたのに……
親しく……
は?
はああーーー???
いや!
寂しくないし!
俺は何言ってんだ、マジ、何でここに逃げ込むんだよ!
ふざけんな、俺の城だぞ!
バターーン
「ほら、買ってきたぞ! これおつり! 」
「「 おかえりー 」」
ぎゃああああ! まぶしいっ!
くるりと振り向く二人がまぶしい!
「四季島君、眼鏡して! 」
「あっ! 課長、ありがとうございます。
下着とTシャツ、助かります。
ほら! 白T! まーちゃんとおそろいだよ! やったー! 」
「やーだー、何で違う色買ってこないんだよう、パンツは黒だからよし。」
「パンツも一緒だー 」
雅史が、ぼーぜんとマリルー父を見つめる。
可愛い…… おっさんなのに、息子としゃべるおっさん可愛い……
息子もプリティだし、どうなってるんだ、この親子は!
「雅史さん、サンキュー、ちゅっ! 」
「とっ、飛ばすな! シッシッ! 」
「息子の投げキッスになんてことを! 」
「だって、えっ?? ごっ、ごめんなさい。」
渋い顔の父と目が合って、真っ赤になると自室に向かった。
もうだめだ、俺はこの輝きに満ちたこの空間に耐えられない!
「隣の部屋使っていいから! お布団はお仕入れです。
僕は部屋にいるので!
居間の冷房つけっぱでオッケー、ドア開ければ涼しいから。
中に扇風機もあります。」
「了解です。お世話になります、お風呂勝手に使います。」
「どーーぞっ! 」
バタンッ!
自室に入ると、はあっと息をつく。
「俺の家が、光りに満ちている。」
ぐるりと壁を見回す。
そこには沢山のBeエンジェのミカエルのポスターが壁を埋め尽くしている。
ばたっと、ベッドに倒れた。
雅史はあれから、Beエンジェのプレミア価格のポスターを買いあさり、Beエンジェの音楽を聴きまくっていた。
つまり、
忘れられないんだよおおおおおおおお!!
カッコいいだろ、
マジで、
「君を、救いに来たんだ」
あれをリアルで見たんだぞ!
テレビで観るのじゃないんだ、チョクで! リアルで! しかも俺に向かって!
あの顔で!
「君を、救いに来たんだ」
救われたい、しぬ、
俺ライブ行きたい。
死ぬ前にライブ行きたい。
おっさんとか、かんけーないんだ、あんたカッコいいよ、頼むからもう一度ステージ立ってくれよ。
マリンは俺が面倒見るから~
「はっ! 」
「そうか! 俺が面倒見れば、デビューできるじゃないか! 」
マリンはきっと喜ぶし、喜ぶけど、あああああああ
俺の理性はーーー!!
Tバックのお尻が頭から離れないんだあああああ!!




