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【BL】四季島親子は無敵すぎる  作者: LLX


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27/28

27、うちは貧乏なのか、それとも金はあるのか、それが問題だ

パパりんから引退の理由を聞いて、なんだかしんみりなっちゃった。


「ふうん、死んじゃったんだ。そっか。」


「これからどうしようか、不安が大きくなってますます声はしわしわで出ないし、マスコミには追い回されるし。

事務所から声を出しちゃ駄目っていわれて、説明も出来ない。

ほんとに嫌になっちゃった。」


「今は出るのにね。なんでだろう。」


「うん、引退してママと逃げて、身の回りが平和になったら、すうっとのどが通ったんだよ。

あの時は本当にびっくりしたよ、朝起きたら、いきなり前の声に戻ったから。

でもさ、まーちゃんも生まれたし、パパりんは、もうパパりんでいいやって思ったんだ。


ただ、バンドの皆には悪いなーと思ってたけど。

みんな大丈夫って、ソロでやっててくれたし。感謝してる。」


「んーーー、でもさ、最近練習してるよね。

ガブさんに会ったの、偶然じゃないでしょ?

練習のために、こっちに来てたんでしょ?

また出るの? 」


パパりんが、考えながら背もたれにもたれかかる。

言うの考えてる。

僕に遠慮してる。


「出るんでしょ! はっきりしなよ! 」


はあって、大きなため息ついて、眼鏡とって横に置くとポケットからハンカチタオルとって額の汗拭いた。

ちらりと流し目、キラキラしてうざい。

ほんと顔だけはいいんだからさ。

性格はぐだぐだなのにぃ~


「パパりんたち、まーちゃんが高校卒業するの待ってるんだ。」


「えっ?! なんで? 」


「だってね、リデビューしたらツアーに出るんだ。

首都ツアーだからちょっとだけどね、そしたら家にいない事が増える。

最初の年は忙しくて家に帰るのも遅いから、今まで通りに家事も出来ないんだよ。

うちはママがちっちゃい一軒家に住みたいって言ったから、普通の一軒家だろ?

もっと安全なマンションに引っ越さなきゃ、まーちゃん一人では、とてもお留守番させられない。」


「僕、18だよ? 心配しすぎだよ。」


「心配しすぎじゃないんだよ。

怖い事あっても、一人じゃ誰も助けに来ないよ?

まーちゃんに何かあったら、パパりんは後悔と後悔で、悲しくて、また声が出なくなっちゃうよ。」


「あ…… うん。」


くすん、そんなの知らなかった。なんかさ、涙が浮かんでくる。


くすんくすん、


なんで僕は、一年留年したんだろう。

なんで僕は、こんなにバカなんだろう。

涙が出ちゃう、


「うっ、うっ、ごめんね、パパりん。ごめんね。」


「えっ! えっ! まーちゃん、なんで泣いてるの?

パパりん、ひどい事言った? あっ! あっ! 怖くなっちゃった?! 

大丈夫だよ、まーちゃんが大学に行ってからデビューするから。ね? 」


そんなんじゃ駄目だ!

きっと、ママも、あのおじさんも、ファンの人は皆待ってるんだ!


こんなぐだぐだの顔だけオヤジでも、歌って踊らせれば、お金ががっぽがっぽ入るし!


一番いい時期をっ!

こんな可愛い僕の子育てで消費させてしまったっ!


無駄じゃないけど、すっごく損した気分は何だろう!


「パパりん、僕もちゃんと家事する!

もうジジイなんだから、一刻も早くデビューして!

ジジイの一年は、若者の10年なんだよ!

ヨボヨボで歌なんて歌えなくなっちゃう! 」


「えっ?! そうなの? まーちゃん物知りなんだね。

そっか~、皆に悪い事したなあ。」


「いざとなったらおばあちゃんとこ行くし、ほら、雅史もいるじゃん。」


「いや、雅史は頼っちゃダメだろ。パパりん、それだけは許せないな。」


面倒くさいオヤジだな~


「パパりん、で、うちは貧乏なの? 貧乏だから働いてたの? 」


それが重要だ。


「んー、パパりんは、働いてないと駄目な人だからね、そうだな…… 趣味? 」


「趣味…… 雅史に言ったらきっと殴られるから、心にそっと仕舞っとけ。」


「やだなあ、趣味と実益だよ。お給料、ほぼ全額寄付してるし。」


「は? 」


「寄付だよ! パパりん、偉いだろ? 」


「はああああああああああ??? 」


き、き、き、寄付???

給料全部、寄付????  ファーーークッ!!


うなぎの特上も食べたことないし、イチゴフェアも駄目なのにいいいいいい!!


駄目だ、こいつ、マジ駄目だ! ママ! 早く帰ってきて! 何か勘違いしてるよ!


生活費! 生活費くらい残して!


「大丈夫だよ〜、貯金、マンション買えるくらいはあるよ? 

あれ? 今、マンションって、いくらなんだろう? 」


あごに手を当て頭ひねってたってわかんないぞ!

でも、そんなしぐさもカッコいいな!


くそう! くそおおおおおおおお!! 


「パパりん、眼鏡して! マジでむかつく! 」


「ひど〜い、眼鏡、あれ? どこいった? 」


ため息を付きつつ、スマホでマンションを検索する。

僕の学校があるから、近くがいいとなると、どれだろ。

いや、それよりこいつの資産状況が知りたい。

いったい幾らまでなら買えるんだ?


パパりんにスマホで一覧見せて、どれどれと二人でほっぺくっつけて見る。

やっすいのは中古3000万、たっかいのは天井知らず。


「中古? 新築? 」


「中古は前の人が仕掛けられてたのか、盗聴器あったって聞いた事あるからやだな~ 」


「え~、僕だってそんなのはやだあ~ 安心してオナニーできないじゃん。」


「まーちゃん、オナニーは控えて。お願い。」


そんなこと言ったって、新築見ると、めちゃクソ高い!


「ふざけやがって! 億じゃん! 」


「んー、これいいなあ、駅近でジムまである。

コンシェルジュ付きで荷物はロッカーで出せるのか。

今は便利だなあ。」


パパりん見てるの、2億3千万じゃん!

アホか!


「高すぎ! パパりん車乗らないじゃん! 」


「まあ、駐車場はあってもいいよな、また車は買えばいいし。

東京より安いよ、この辺。」


「こんなの、豪華すぎ! 4部屋もあるじゃん、そんなんいらないよ!

パパりんがジジイになっても払い終わんないじゃん!

僕払えないし、マイナス遺産はやだ! 」


「え~、こんなの一括で買っちゃえばいいじゃん。」


ゴトッ


僕はぼう然と、手からコップを落として転がした。


「このクソオヤジ、てめえ、ゼロの数も数えられないのか。」


「数えてるよ~、パパりんが何年事務仕事してると思うんだい? えっへん! 」


えっへんとか、何言ってやがるんだああああ! この安月給がああああ!!


僕の頭には、理解しがたいゼロの数がジャラジャラ動き回っていた。


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