21、浮気現場発見!
夏休みに入って何もやること無いし、ヒマな毎日で僕は、まあ宿題を済ませていた。
マジでぬるいなーって思う。バイトすれば良かった。
雅史から連絡来たら、いつでもオッケーしたかったんだもん。
padで文字数確認して、ページを閉じる。
ホント面倒くさい。今どき、読書感想文とか。
図書館行って、本借りてきて、サーッと書いて終わり。
土曜日か、パパりんは午前で家事済ませると、だいたいどこかにお出かけしちゃう。
日曜は朝からいないし、何処に行ってるのか教えてくれない。
パチンコとか~、ないない。
パパりんは、普通のおっさんとはなんか違う。
なんか趣味がわからん、小綺麗な年行ったお兄さん的な~ 感じ。
じゃあ、何か習い事? あー、それはありそう。
やっぱあれだろ、あれ~
したいならさ~、昔の仕事再開すればいいのにって思う。
職場の飲み会ででカラオケ、何歌ってんだろ。
きっと、演歌だな。
スマホ取り出してLINE見る。
今日は映画見に行く予定だったけど、とうとう雅史、返事をくれなかった。
既読ついてるから見たはずなのに。
4日前に行こうって言ったのに、忙しいのかな?
暑いから行く気しないよね。
外からなんか、でかい声で話し声がする。
聞き覚えがある声は、同じクラスだ。そうっと耳済ませた。
「あははは! マジィ? 吉田、そんな事言ったのかよ! 」
「マジだよ~、バッカでぇ~ 」
「あれ? この辺、四季島んちじゃなかったっけ? 」
ドキッとした。思わず頭引っ込める。
「知らねえ、あいつ変態だろ? ゲイの変態。
おまえ仲良くするとケツ狙われるぞ。
サイトーちゃんが、ケツ狙われたって騒いでたぞ。」
「ギャハハハハ!」
「マジィ? 」
あーーーー、
なにそれ、サイトーって誰よ。
あいつかー、体育のダンスで組んだ相手〜
体幹出来てないから転んだのに、僕に足引っかけられたって、当たってきたマジはずいやつ。
毎日筋トレしなよ、ほら、僕だってお腹に筋肉見えてるのに。
つか〜
どうして僕には男友達出来ないんだろうなって思ってたら、そうなんだ。
へーーーー、
中学の時は、たっちんとか山瀬とか、遊び仲間いたのに。
あいつら公立の工業高校行っちゃって、今確か高校野球だっけ?
一生懸命に打ち込めるのうらやましい。
今年3年で大学受験か~
僕はいまだにふわふわしてて、何をしたいのか、まだはっきり見えない。
あっ! しいちゃんから、LINE来てる。
『 合宿キツい。雇われ教授死ね 』
んー、頑張れのスタンプ返しとくか。
「5時半か~。まあいいや、気分転換に本、返しに行こうっと。」
外を見ると、夕方だけどまだ日差しが強い。
スカートはいて行こうか、ん、ジーンズのショートパンツだし、このままでいいや。
上はパステルピンクのクマさんのシャツ、どうしようかなあ、うん、半端に日焼けするの嫌だからパーカー羽織っていくか。
返すだけだから、窓口に放り込むだけだし。
帰りにベルフェのケーキとフルーツいっぱいゼリー買ってこようっと。
7時前に帰ればいいと思うし。
お財布にはおとといパパりんから貰った5千円入ってるから、ヨシ!
表通りまで歩いて、バス待ち、あっつい。
パーカー着てきて良かった。
バスに乗って行く。
町中に入ると、人通りも多い。
夕方で恋人たちがそぞろ歩いて、ため息交じりにそれを眺める。
バスが角を曲がって、デパートの前を通る。
図書館は、この先の公園にある。
ママがいた頃は、よく休日は一緒に……
「あれ? 」
信号でバスが止まると、若いカップルが目に留まった。
ザンジバルが、髪の長い綺麗な人と歩いている。
凄い明るい顔で笑って、肩を抱いて通りに入って行った。
僕は、声も出なかった。
胸に何か突き刺さったかと思って、思わず胸を見た。
「次は、…… お降りの方は」
思わずボタン押して、パス通してバスを降りる。
走ってなぜか、後を追った。
はあはあはあはあ
いない
どこ? ねえ、僕への返信は?
ねえ、ザンジバル!
「あっ! 」
泣きながら走っていると、倒れそうになって、誰かがサッと手を出して受け止めてくれた。
「ごめんなさい」
「どうしたんだい? お嬢さん。あれ? 君…… 」
周りを見回しても、姿が見えない。
どこの店に入ったのかもわかんない。
「もう! あんの野郎! 僕を無視しちゃってなんだよ! 」
「大丈夫? 」
ボロボロ流れる涙拭いて見ると、派手なギターケース担いだおじさんだ。
ユニクロっぽいだぼっとしたジーンズに、犬の絵のTシャツ着てる。
オールバックの崩した感じが、ちょっとカッコいい。
襟首にサングラスぶら下げて、金の鎖のネックレスしてる。
手を借りて立ち上がると、ブワッと涙が溢れた。
「うーーー、腹立つぅ~ 」
「おやおや、せっかくの美人が泣いてちゃおじさん放っておけないよ? 」
じゅるるるるる
鼻水すすって、ゴシゴシ涙拭いた。
「もう! もう! もう!
あー、もう馬鹿野郎! ザンジバルの馬鹿、浮気してやる!
おじさんホテル行こ、エッチして! 」
「え~~、おじさん熟女が好きだから無理だなー 」
「ケチッ! 」
もー、何か腹立って、最悪の気分だよ。
クルリと背を向けて歩き出すと、腕を掴まれた。
「ちょ、ちょ、どこ行くの? 」
「離して! 誰か男引っかける! 浮気して真っ最中にあいつに電話してやる!」
とんでもないこと口走って、自分でもビックリする。
でもそれ以上に、おじさんの方が焦って周りを思わずキョロ見してた。




