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【BL】四季島親子は無敵すぎる  作者: LLX


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19/33

19、ラブ、ユー (表紙付き)

挿絵(By みてみん)


電気を点けると、ぱっと明るい室内にいきなり現実に戻された気がする。


俺は、真っ赤な顔して、ぽか~~~~~~~んと、それを見ていた。

リバイバル番組で、必ず流れる曲が俺の目の前で繰り広げられたのだ。


「報告は、以上です。」


マリルー父は、そう言ってマイクを置いた。



いったいなんなんだ

何が起きてるんだ

誰か説明して。



「 え? 」


「おわかりいただけただろうか、」


「いや、そんな心霊写真じゃないんだし。」


マリルー父がすっと、正面で顔を上げた。



うっ! ぎゃあああああ!



うわあああ! なんだこいつ、眼鏡外したらまぶしい!!

面がよすぎて超まぶしい!


「お願い! 眼鏡して! 」


俺のお願いに、軽く手を上げて眼鏡を付け、いつもの仏頂面に戻った。


「ど、ど、ど、どういう事です? 」


俺は面食らって、言葉が見つからない。

まっすぐ見れない、綺麗すぎて、顔見れない!


「あなたの家にあるヌード写真集は、私の裸の写真です。

著名な写真家にだまされて、断れなかった、若さゆえの過ちです。」


「 え? 」


「完全シークレットですが、Beエンジェのミカエルやってました。」


「 え?? えええええーーーーーーー!! 」


俺は、ボー然として立ち上がると、ポスターのカッコいい歌手とマリルー父を見比べた。


「うそ…… 」


「ではありません。

こちらは私の長年のファンの店です。

時々歌いたくなったら、お邪魔して歌って帰ります。

では、事情をお話ししますので、ご着席ください。」


「 …… はい 」


ピンポーン


チャイムが鳴って、マリルー父が眼鏡を外し、汗を拭きながらドアを開けた。

父を見た瞬間、さっきのオヤジさんがビクンと身体を震わせる。

震える手でカチャカチャ鳴るトレイを差し出し、フライドポテトとチキンにウーロン茶が差し出された。


「ミハイル様、ご尊顔(ごそんがん)拝謁(はいえつ)できて、嬉しく思います。

どうぞ、 どうぞ、こちらは些少ですが献上の品でございます。」


「いつもありがとうございます。」


「いえ、お気になさらず。そのまま置いて行って結構ですので。

私は残念ながら店に行きますので、お見送りが出来ません。

ドアは自動で閉まりますので。」


「はい、存じております。」


いかつい主人が、ぽっと赤い顔で嬉しそうに差し出す。

マリルー父は受け取るとテーブルに置き、お辞儀して手を差し出し、握手した。

主人がのどから悲鳴じみた声出して、身体が硬直する。


「 ラブ、 ユー 」


低い声でキスを飛ばし、硬直したオヤジが一歩下がると、そっとドアを閉めた。


はあああああ?! 


あのオヤジ、ドアの向こうで死んでないだろうか。

心配だ。


せっかくなので、揚げたてのチキンを食べる。

ポテトもさくさくで、なかなか美味い。


「まだファンがいるんですねえ。」


「ええ、2軒隣のご夫人も熱狂的なファンで、スーパーでお会いしたときバレたと焦りましたが、結局尾行されて家がバレ、力になりたいと引っ越してこられました。」


主婦が尾行ーー?? ひ、引っ越したーーーー???


わからん、わからん世界だ。


「あー、息子さんに微妙な顔してましたね。」


「あなたが一緒だったからです。

あとで大切なセラフィムに軽薄そうなハエが寄っていますと連絡が来ました。」


俺のせいかよ!! スネークかよ!


「息子から、元妻の事はなんとお聞きになりましたか? 」


「遊びたいのを我慢して育ててくれたとか言ってましたね。

捨てられちゃったけど、小学生まで育ててくれたので十分だと。」


ちゃらい奥さんと思ってたけど、どうなんだろ。


「そうですか。捨てたわけではないのですが、そう取られても仕方ありません。

話さないでほしいというのは彼女の希望です。嫌われてもいいと。」


「子供には説明した方がいいと思いますけど。もうわかる年だし、冷たいですね。」


「いえ、私と同じくらい息子を愛していますが、彼女なりのけじめなのです。

家を離れる以上は、仕事を成功させるまで声を聞かないという。


彼女は、私のファンです。

仕事の合間でずっと追っかけをしてくれました。

デビューから3年、毎日忙しくても、ファンが喜んでくれるのが生き甲斐になり、やりがいのある仕事でした。

ところがドラムのウリエルがスキルス性胃ガンであっという間に死んでしまって、ショックから声が出なくなって引退したんです。

引退理由を公表しなかったために、マスコミに追いかけられる毎日で、好きなアイス買いに外へ出るのも大変で芸能界が嫌になってしまいました。

妻はモデルをしていたんですが、優しい彼女にはずいぶん救われて結婚したんです。」


「へえ、モデルさんですか。」


モデルか、なんかカタログモデルあたりかな。


「ええ。ところが、マスコミは私の居場所を探るために妻まで追い回すようになって、仕事に差し障りが出るようになり、彼女までモデルを辞める事になったんです。

子供が出来ていたので、ちょうどいいと明るく言ってくれたんですが、私は心がひどく傷つきました。

まーちゃんが生まれて私もようやく落ち着いては来たのですが、引退から3年ほど過ぎたころ、そこで出るのが、あの人は今、です。

またマスコミが知り合いに居場所を探りを入れるようになり、やたら注意喚起の連絡が来るようになりました。

外出すると、不審な男がすべてマスコミに見えるようになって、私と妻は心を病みそうでした。

とにかく、普通の生活がしたい。

息子には、普通のおだやかな生活を送って欲しかった。

見つかると、すぐに引っ越し、日本を転々としました。

ハワイにも一度暮らしましたが、私が…… 事件に巻き込まれそうになって、断念しました。」


「事件? 」


「日本では一般的ではありませんでしたが、向こうは男も性被害に遭うんです。

外国人は身体が大きいので、恐怖心はなかなかのものです。」


「あー、そうか。」


「妻はまーちゃんを育てるのに一生懸命でしたが、ある日連絡をとっていた友人から、モデルに戻らないかと話が来たんです。

私は、密かにファンのつてで偽名で勤めていましたから、小学校高学年まではとお願いしました。

それで、小6までいてくれて、その後離婚して縁を切った上でモデル業を再開しました。

連絡はずっと取っていて、時々まーちゃんの写真を送っています。」


俺は驚いた。

マリンは捨てられたように思ってるけど、事実上は母親の仕事復帰のための円満離婚だった。

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