2.密談? いやただの雑談です(幕間)
雑談ばかりののグダグダ回です。
可愛い殿下と、可愛い支宣君を堪能する回です。
──無事? 婚約の儀(内輪だけ)が行われて、私達は再び宮廷内に戻って来た。
「なぁ? 婚約したんだから、今日から俺の宮で一緒に寝て良くないか?」
『駄目に決まっております!!』
すかさず、左大臣家の兄弟と、両親の突っ込みが入った。
「ならさぁ、俺がこっちに来るってのはどうだ?」
『駄目に決まっております!!』
再び繰り返された。
こっちとは、私達親子が今の住まいに使っている「政務秘書官室」の直ぐ脇に作られた、小さな家だった。
最初は私も寮に住んでいたのだが、両親も此方で働くことになり惟光様のお仲間の方々の計らいで、建ててくれたのだった。
殿下がむくれ面のままで、ご自分の短剣を先程から何やら磨きながら、支宣様と惟光様をじっと睨んでいた。
三人のやり取りを見ていた私達親子は、そっと退出し、自宅へ逃げたのだった。
「……殿下。脅しても駄目なものは駄目ですからね?」
惟光様がたまらず言った。
「そんな顔しても駄目です」
支宣様も言う。
「なぁ、宣、隣の資料室ってさぁ、アレに使ってるよな?」
突然、惟光様が何か閃いたような顔をした。
「兄上……まさかとは思いますが、よからぬことをお考えでは無いですよねぇ?」
「いや……」
「惟光くん? 言って見なさい? ことによっては、明日お休みをあげても良いのですよ?」
「殿下!」
支宣様が、光様を睨んだ。
「まぁ、まぁ宣。落ち着けって」
「兄上、そのようなことに、主が気づいてないとお思いか? そして私も」
「口に出してしまえば、負けですよ?」
「支宣くん? 誰が誰に負けるのだ? 余の聞き間違えではないとは思うがな?」
「殿下……」
「宣。これは今後の警備上のことも考えたら、悪い話ではないよ。寧ろ必要かもしれない。そっちに使うのはまた別としてだが」
「兄上……」
そして二人の兄弟は、主の顔を見た。
「地下道だろ」
やはり気づいておられたか。
と兄弟は思った。
「まぁそれが一番だろうな。四六時中護衛つけて歩く訳にもいかず、なにより目立つしな。警備のしやすさを考えるなら、中で繋ぐのが一番だろうな」
「されど一年後には引越しになりますが?」
「まぁ、お前たちどっちかが使うか、寮にでもできるし、あれば便利に越したことはなかろう?」
「では、工事に取り掛かります」
「兄上は本当に殿下に甘いですねぇ」
「そういう宣も結局は殿下贔屓なくせに」
「……それは仕方ないとして、稚児をお作りになるのはまだ、お待ちくださいよ? 殿下?」
「……お前なぁ」
「で、結局あの夜はどこまで?」
「……止めたって言うたではないか?」
「俺の話より、惟光、お前はどうなんだ? 憶う者はおらぬのか?」
「私の話は良いのです」
「って、お前ら帰らんで良いのか?」
『その言葉そっくりお返しします』
「お送りしましょうか? そろそろ」
「って、凛花は?」
「とっくにお帰りになりましたが?」
「隣で寝るから良いぞ帰っても」
「またですか? 紀恵殿に怒られるのは、私達なんですよ?」
「でも此処が一番安全だろ? 目の前がお前らの詰所だぞ」
「それは、殿下の宮でも同じでしょう」
「久しぶりに雑魚寝でもするか?」
「まだ死にたくないです……」
「ご辞退します。命が惜しいので」
そう言って、一人隣の執務室に消えて行かれた背を見て、目を細める仲良し兄弟は、二人で明日からの秘密の工事について、夜な夜な話し合いをしていた。
仕事熱心で、光の君様大好きっ子兄弟の楽しい夜はまだ続くのでした。
活動報告に、登場人物紹介を載せています。
良ければ其方もご覧下さい。
キャラ設定の元になる物です。
それを踏まえた上で、今後の彼らを見て頂けると幸いです。




