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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第三章 婚約(仮)編

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8.双子の兄妹

 皆の視線がその影に集まった。


「す、すいません」

 裕進様が顔を真っ赤にして頭を深々と下げる。


 同じ顔が二つ!!

 双子??

 裕進様の後ろでピョンピョン跳ねている同じ顔の子供が二人いた。


()()は?」

 惟光様が声を掛けた。


「申し訳御座いません。実は本日の登用試験をこいつらが受けに来たのですが、年齢制限で落ちてしまい……。仕方なく帰るように言い聞かせたのですが、勝手に私の後を付いて来たようで……本当に申し訳御座いません。この責は如何なる処罰もお受けする所存で御座いますゆえ、この者達の生命だけはなんとか……」


「い、いやそこまでは……とりあえず頭をあげて……」

 惟光様も困り顔だ。



「で、歳はいくつなんだ?」


 執務室の奥の、来客間ソファから光様が声を掛けた。

 それだけではなく、此方に顔を少しのぞかせている。


 基本的に「政務秘書官室」には限られた者しか入室は許されていない。

「秘書」頭の右大臣中将こと、惟光様が許可した者しか入室は出来ない。

 光様のことがあるのと、()()()の話の内容は、基本()()内容が多い為だ。


 この裕進様は、支宣様の右腕と言うことで先日許可が出ていた。


「!!」


 すかさず光様は、唇の前に自分の人差し指をすっと持って行く。


「じゅ、十三で御座います」


 答えながらも、頭は上げることはなく裕進様の手が小刻みに震えていた。


 見る事さえ、声を聞くことさえ赦されない御方。それが私の夫となる人。

 改めて自分の置かれた立場を思い知らされた瞬間だった。


「裕進の身内の者か?」

 ()()()()()は気にせず、質問を続ける光様。


「はっ。直ぐ下の弟と妹になります」

 頭はまだ低く垂れたままだ。


「名は?」


(しん)と、(ゆい)と申します」


 なんとも……な名前である。親の顔が見たいと思ったのは私だけだろうか?


「惟光、今日の試験問題を今すぐ二冊持って来い」

「あと、宣を呼べ」


「御意」


 その言葉を聞いて惟光様が一旦退出し、暫くして戻って来た。

 外にある「政務部」の者に知らせに行ったのだ。


「凛花? どっちが良い?」


「え?」


「お前の侍従にするんだ、お前が選べ」


「は?」


 思わず声を上げたのは、私ではなく私の()()である右大臣中将中尉様だった。


「やったー!! 私達合格だって! 信!」


 裕進様の後ろに控えて居た女の子の「結」の方が大きな声で言った。


 ゴツン! その瞬間大きな鈍い音がした。


「痛!! イタタタタッ。兄様酷い!」


「酷いではない。此処は遊び場ではない! しかも国の全てを司る場。我々は民全員の税で仕事をさせて頂いている身だ!! 物見遊山や見学者に構う時間など許されはおらん! そして、ここにおいでの方々はその中でも中心となられる雲の上の御方々だ。おまえらごときが易々と声をかけれるような御方ではない! 二度と発するな!」


「……ごめんなさい。って」

 結と言う女の子は兄からしゃべるなと言われたことを思い出し、手に口を当てた。


 ゴツン! 

 本日二回目の拳骨であった。


「まぁ、裕進。良いではないか」

 光様が少し笑いながら言った。


「誠に申し訳御座いませんでした」

 裕進様は床に両膝をつき、頭を床にこすりつけた。と、同時に双子の首を掴み隣に平身低頭させる。


「信、結 ここ在る女人が、お前らが御仕えする主様になる。その際にたった一つだけ条件がある。如何なる時も主人を支え、盾となり、生涯その命を掛けて護ることができるか?」


 光様の話に、私だけでなく惟光様も、裕進様も目を見開いている。


『お約束します!』

 二人は声を揃えた。


 ゴツン! ゴツン!


「お約束させて頂きますだ!!」


 本日三回目の粛清が行われた。


「凛花、気に入らなければ、お前が首を刎ねろ」

 真剣な眼差しで光様が私に言った。


「そのようなこと……」


「それがお前の仕事だ」

 その顔はいつもの柔らかい表情ではなく、真剣な眼差しと声だった。


「しかと、お預かりします」


 皇太子に嫁ぐ者として、殿下の災いになるようなことが1ミリでもあれば、排除しろとの意だった。こんな子供の命とて例外ではない。それが殿上人の妻になると言うことだ。


「後は任せたぞ惟光。余は宮に戻る」


「御意」


 まだ、小さな子達が小刻みに震えていた。

 おそらく悟ったのであろう。

 先程自分達に声を掛けて来た扇子越しの者の正体を。


 その後、支宣様とその腹心の者達によって様々な試験が兄妹に行われた。

 その全てに好成績で合格した二人は、晴れて私の「部下」となったのだ。




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