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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第三章 婚約(仮)編

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7.親王殿下

 何やら、朝から宮廷内が慌ただしい。


 廊下をバタバタと走り回る者、怒号を上げる者。


 何事? 


 両親がいつもと変わらなく、朝食の準備をしているところを見ると、光様に何かあった訳ではなさそうだ。




 ドンドンドン。執務室の扉をいつもより強く叩く音がする。



「朝早くに失礼致します」



 そう言って、入って来たのは、惟光様と、その腹心の方。と、珍しく支宣様の部下の方。確か名前は裕進様と言ったような?



「そんなに慌てて何があったのですか?」



「凛花様、お願いが御座います! 急ぎプリンを作っては頂けませんか?」



「え?」



「親王殿下が、プリンをご所望でして……」



「え? いきなりですか?」



 プリンを作ることには何ら問題ない。 だが、突然そのようなことが? しかも、前回献上した際に気に入って頂けて、作り方は「皇族お料理番所」にも渡して来たはず?




「実は……」



 惟光様がゴニョゴニョと言い籠もったところに



「またか……今度は何だ?」



 光様が表のドアより入って来た。


 地下道は完成しているが、政務としてお渡りになる時は、侍女を従えてきちんと表のドアから見えられるのだ。


「中から入って来ても良い?」と 完成した日に案の定、尋ねられたが、当然全員に「駄目です」と


 即答されていた。



 当然、私もお断りさせて頂きました。何事もケジメが大事ですからね。



「蕎麦です……」




 蕎麦? あ! アレルギーか!!



 蕎麦アレルギーをお持ちなのか! って今まで検査してなかったのか。と、思ったが、この世界、この時代にアレルギーの血液検査等あるわけもなく、ましてや皇族、しかも時期皇太子殿下の御手に針をぶっ刺して、あろうことかその血を調べるなんて……



 まぁ、無理よね……



 何故でもプリン? なのかと思いたずねたら、蕎麦アレルギーでアナフィラキシーショックになりかけたのが、朝餉の時。やっと落ちつかれたと思いきや、「プリン」が食べたいと所望したから、急ぎ取りに来たと。まあ、この時間じゃ何処にも売っておらず、料理番所は、朝餉のメニューの詮議でそれどころではないため、此方に白羽の矢が立ったと。



 ただ、この親王、ちょっと困ったさんで……食べれない物が多過ぎで。



 麦、じゃがいも、蓮、海老、貝に、青魚に、きのこ類、ほうれん草に、ネギとまあ…。なら、何食べるんだ! と。



 おまけに大の偏食で、肉、魚、野菜、殆ど嫌いで食べないと。



 どんな育て方してるんだ? と、ちょっと思うが、そこは親王殿下。



 ただ……偏食だけが心配ではなく…


 そのお身体が些か。


 一度だけしか見たことがないが、登庁時の辞任式の際だ。



 偏食のせいか? 食細なせいか? かなり小さい。二歳にしてはかなり小さい。もう少しで三歳にもと? 



 もっと深刻なのは、今だ歩きがあまりしっかりしておらず、おまけにオムツが取れておられない。まあ3歳前なら? 仕方ないのか? この世界だと? 発語も少ないと風の噂に聞いた。あと、癇癪が酷く侍女衆が何人も既に変わっていると。


 なかなかの……ぶりだ。



 今上天皇が、あんな感じだし……


 光の君皇太子立太子切望論がずっと出ていることに納得が……



 母上様が今日のおやつにと仕込んでいたプリンをそっと差し出したようだった。


 なんともな話である。



 ──でも、アレルギー対策は国政を預かる者としてちゃんと考えて行かないとだなぁ。






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