↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな吟遊詩人は過保護な剣士と旅をする  作者: 七音(ななお)
冥府の絡新婦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/98

男は可愛らしい生き物だ △

ぐちゅん、と肌を濡れた音が叩く。同時に喉から押し出された艶めかしい嬌声を齧り付くように口づけで飲み込んだ。


ドレスの下で久しぶりの雄を咥え込んで少女の身体が馬車の揺れとは違う動きで艶めかしく蠢く。何処か視点の合わない青年が膝に乗られた身体を支えるように腕を回し、くつろげた胸元へと舌を這わせていた。


「ン、んふふ…ぁ、……ン… ダメよ、もっと舌を使って可愛い唇で先を挟んでころが…、ぁん…噛んじゃダメ……優しく吸って…転がして…」


ぱちゅ、ぱちゅと濡れた音が小さく響くのを車輪の音にかき消された。窓は全てカーテンを引き、上擦った息遣いは馬車の外には聞こえない。人間の乗り物もこんな時には都合が良いものだ。


「ン…、ぁん…悪くないわ…でももう少し強くシテ…、物足りないの。奥まで来て…、抉って、突いて…、同時にここを…そうよ、摘んで…優しくね…」


耳元で囁くように吐息とともに上擦った声が欲望を口にする。子供に優しく教えるように夢中で胸に顔を埋めながら自分の肉芽をこねくり回す指にびくびくと反応を返しながら胸元の頭をぐちゃぐちゃに抱き込んで悦楽に浸った。


「あ、…ぁン、ァン…ッ…強く吸って…揉んで、舌で可愛がってちょうだい…ぁ、あ…ッ素敵よ…、…可愛いわ…ぁ、そして一番奥で…」


腰を落としくねらせながらぐいと引き寄せた耳元で荒い吐息と共に囁く。


「いっぱい…、出して………、ぁン…ッ」


声にびくりと反応した青年は口をいっぱいにあけて乳房に食らいつくと下からガツガツと達する為に少女の肢体を力任せに突き上げた。





「さて、少しだけ身体の火照りがおさまったかしら…」


まだ揺れる馬車の中で気を失っている青年を見下ろし簡単に乱れたドレスを整えた。

常時の匂いも痕跡も消して、くたりと精を吐き出したあとの青年の雄に少し目を細めて笑うと前をしまい何事もなかったかのように向かいに座り直す。


暫く男達を遠ざけていたから本命を前に疼きを我慢できなかった。冥府の穢れにまみれた身体は欲に貪欲だ。地上の神共はよくもあんな無欲にいられるものだと感心する。

しかし、あんまりがっついてはバレてしまうわ。優しく、ゆっくりと愛してやらなければ。

ちょうどよかったから喰ってしまったが、この程度の情事では全く足りない。あの人の雄を早くここに欲しいとすぐに身体が疼くのだ。


「困ったわ…、こんなんじゃ直ぐにバレちゃう」


くすくすと楽しげに笑いながらもうすぐ到着するとの御者の呼びかけに『ありがとう』と返して窓の外に視線を向けた。






あれから直ぐに庭師の息子は目を覚まして不思議そうにきょろきょろしたかと思うと居眠りしていた現状に慌てて頭を下げて謝った。


「いいのよ、疲れていたのね。いつもありがとう」


にっこりと笑ってやればやはり純朴に視線を落として真っ赤になった。えぇ、本当にありがとう とても甘くて美味しかったわ。






❀❀❀






「さて、アッシュくん」

「…やめろ」

「お散歩行こうかな」


にっこり笑う顔に問答無用で頭からフードを被せる。


「ヴェールも俺が付けようか」

「…自分でつけます」


もやもやした苛立ちを何処にもぶつけられなくてシエルが苛立っているのはわかったが傍にいることしかできないのがもどかしい。

全く触れられないわけではないが、包容や口づけはかえって苛立たせてしまうから一切そういった接触は出来ない。身支度をする二人を見て自分もかとステラが腰を上げた。


「本当に大丈夫ですか…」

「あぁ、俺がついている。シエル様に害はないが…、アレがどうだかな」

「もうお出かけになられたのですか」

「自分でやると首を突っ込んだのだ、好きにさせる。きちんとこなせたならまぁ先日の無礼は許さんでもない」

「…ふふ、嘘ばっかり」

「まったく、おまえは」


心を見抜くように笑うキースに軽く口づけて髪を撫でる。腹立たしさの残る感情がバレているのだろう。


「仕方ないだろう。シエル様の為なのだから」

「はい、わかっています」

「主、蒼の塔を借りるぞ。貴方はここでコレと仕事をしてなさい」

「あー?まぁ好きに使え、城は壊すなよ。嫁はちゃんと大事に預かっとく」

「お気をつけて…」

「…冥府ですらないこの地上で、あんな小蜘蛛に傷一つの心配もない」

「……………そうでは、なくて」

「ん、なんだ」

「彼女に触れられては、嫌です」


男を誘惑するのが日常のような女に珍しく少しだけ忌避感を覚えたのを素直に口にしたのにステラが首を傾げて動きを止めた。


「あんなものに俺が糸くず程も惑わされるわけがなかろう。大体アレの目的は犬だ」

「貴方に触れられるのを想像するだけで…、不快…です、……ン、ぅ」


優しく口づけて安心させるように撫ぜてやる。ちゅ、と音を立てて離れると恥じらいながらも少しだけ名残惜しそうに見上げてくるのに離したくなくなる。


「お前が嫌なら指一本触れさせることはない、心配するな」

「…はい」

「いちゃついてないでさっさと行け。ったくよぉ…」

「妬くな。相手を間違えているぞ」

「妬いて無くても腹立つわ」

「申し訳ありません…」

「嫁は許す」

「何ですかそれは」


まだ未練たらしくキースを抱いて離さないのにベリルがわざとらしく引き離して軽く手で追い払うようにステラを追いやり笑って応えた。


「お前を御してくれる唯一の嫁だからなぁ、何をしても全部許すぜ」






❀❀❀






男は可愛らしい生き物だ。

暗い荊の城に閉じ込められていたのを約60年ぶりに解放されてなんと心地よいことか。ついすれ違う男達をからかってしまう。

この身体の娘も日頃から似たようなことをしていたらしく男達はだらりとやに下がった目を胸元や腰に落として優しく応えてくれるのが気分いい。


もうひとつまみくらいしたいところだが我慢するべきか。だってもうここには愛しい男が居るはずなのだ、いつ目の前に現れたって不思議ではない。

ただ気になることがある。今朝あたりからアッシュの優しく触れてくる感触をパタリと感じなくなったのだ。

まさか…、糸の存在に気づいたのか…?いや、神ですらそうそう簡単には気づけるものではないのだ、ましてや人間であるあの女になど見つかるはずもない。

そしてこの場所も気になる。何故人であるあの二人がこの神の城に居るのだろう。糸を辿り居場所は手に取るようにわかるし姿も水鏡に映して断片的にではあるが把握している。

だが声は聞こえない。

奴らの関係も、何をしているのかも想像でしかわからないのだ。


そう、愛しいあの男もなぜあんなにも美しいのか分からない。

初めは神だと思った、見つけた瞬間に身体中が欲情した。手に入れるまでこの疼きがおさまることはないとすぐに分かったのだ。自分にはない眩しいばかりの輝きと静かに凪いだ瞳、冥府のあの方をも退ける圧倒的な力。

だが不思議な事にただの人間なのだ。

自分を惹きつけ、夢中にして仕方がない。


手に入れたい。手に入れて自分だけのものにして、傍に飾って愛したい。今はそれだけしか考えられない。


「あぁ…アッシュ…、お前は何処に居るの」


指先にキラリと光る見えない糸をたぐり寄せるように探ろうとしたところで離れた場所からこの身体の少女を呼ぶ声がした。


「エリィ!」


…確かあの男は


「シャルル」


駆け寄る男に優しく微笑んでやった。


「あぁエリィ、会えて良かった。話もあったんだ」

「良かったわ、解放されたのね。心配していたのよ…」


さり気なく木陰に誘い込んで甘えるように薄い胸板に擦り寄り身体の記憶を辿る。そう、この男はこの身体の少女の婚約者…、になるはずの男だ。既に陥落している安い男。身体も魅力には欠けて痩せぎすで筋肉も薄いのをさり気なく手触りで確かめる。


『つまらないわ…、イマイチ食指のわかない身体…でも』

「な、何…」


さわさわと胸元を撫でる指に色を感じたのかシャルルが抱きしめていた腕を緩めて胸元の少女を伺い見た。


「心配していたから…、甘えちゃってごめんなさい。話ってなぁに、こんなところで聞いてもいい事かしら」

「あ、あー…そうだね、ここではちょっと。心配かけてすまない、もう大丈夫だから…話はゆっくりとできる場所での方がいいかな」

「そうなの、じゃあ後日にでも二人きりで…、話しましょう。今日は私もこれから用事があってゆっくり出来ないから、時間を作るわ…」

「うん、不安にさせてごめんよ…、と」

「ねぇシャルル…、本当に私を愛してる…?」


恋人になったばかりの少女に隠れるように木に背を押し付けられて愛を確かめられ縋られている。ここは男らしく応えてやる場面だろう。


「勿論さ…、君だけを愛しているよ。きっと幸せにする」

「んふ…、可愛いひと…ちゃんと証明して…、嘘はイヤよ」


近い距離で囁かれ、甘えられながら胸に押し付けられた柔らかい感触にたまらなくなる。


「……ッエリィ…ッ!」

「ぁん…、ン…ぁむ…」


夢中で愛らしいその唇に齧り付く。

今日の少女は抗えない色気を纏っていて身体がどうすることもできずに引き寄せられる。

まだ婚約の約束だけで決まってはいないというのに止められない。唾液を絡め、舌を吸い、深く合わせてくるりとその柔らかな肢体を逆に木に押し付けると思わずたわわな胸へと指を食い込ませて揉みしだく。ダメだ、まだそんな事は許されない。頭ではわかっているのに身体が言うことを聞かないのだ。


「ン、……んふ、ぁ…ん」


首へと細い腕が絡みついて自分を離さない。だからコレは仕方がない。夢中でドレスの上から弄っていたのを我慢出来なくなって胸元を思い切り引き下げた。ふるりと目の前に現れる豊かな乳房にくらりと目眩がした次の瞬間には獣のように食らいついていた。


「ぁん…、ふふ…ダメよシャルル…人がきたら、ぁん…どうするの」

「はぁ、はァ か、かまうものか…ッん、…ぁむ…君は僕の妻になるんだ…んむ…ッは…誰に見られたって…はむ、…ぁむ い、いいだろう…ッ」

「んふ、…ぁン でも…ここでは、だぁめ」

「…ぇ……、ぁ…」


かくりと吸い付きながら揉みしだいていた胸に顔を埋めたままシャルルが意識を失いその場へと崩れ落ちた。


「あの人に見つかったらどうするの。この身体を味わう気が失せたら困るじゃないの」


ずるずると崩れ落ち、足元に転がるのを見おろしてつい手を出しそうになったのを何とか自制した。あらわになった胸元と髪を整える。


「あの人は一途な女が好きなんだから」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。