第4話 突然現れた女性の正体は?
「誰だ?」
咄嗟にお嬢様の前に出る。
相手の方が格上であることを瞬時に理解させられた。
だからこその行動だった。
「落ち着きな。別に取って食うつもりはないよ」
「答えになってないぞ」
女性は自然体だが、軽快を解くことができなかった。
隙だらけのはずなのに、攻撃が成功するビジョンが見えなかった。
「ちょっと落ち着きなさい、クロード」
「し、しかし・・・・・・」
「あなたじゃ拉致があかないわ。私が対応するから」
「ちょっ・・・・・・」
庇ったはずのお嬢様が前に出てくる。
その行動に慌ててしまう。
「嬢ちゃんの方が冷静だね」
「クロードは私を最優先に考えてしまうので、自分より強い相手を見ると警戒心が解けないんですよ、ギルドマスターさん」
「えっ⁉」
お嬢様の口から予想外の言葉が出てきた。
呆けた声が自然と漏れてしまう。
だが、相手はそこまで驚いていなかった。
「ほう、そこまでわかるのかい?」
「もちろんですよ。お世話になるのですから、事前に基本的な情報は仕入れるのが当然です。元Sランク冒険者の【野生の女王】──リオネス様」
「その異名はあんまり隙じゃないんだけどね」
お嬢様の説明を女性──リオネスは否定しなかった。
元Sランク冒険者というのは嘘ではないようだ。
冒険者はランクがあり、新人は最低のGランクから始まる。
そこからFランク、Eランクと順番に上がっていき、その最上位に位置するのがSランクである。
大抵の冒険者がDからCランク程度で引退し、一部の天才と呼ばれる者はB、Aランクに到達できる。
その中でも特に異常な力を持つ者のみがSランクになれるのだ。
「それでギルドマスターともあろうあなたがどういったご用件ですか? わざわざ新人を相手するほど暇ではないのでは?」
「いや、面白そうな新人が来たのなら、自分で確認したいと思うだろうよ」
「あら、私たちは面白そうなんですか?」
「普通の新人ってのはもっと初々しい反応するもんさ。だが、お前たちは堂々としすぎで、絡まれた相手を返り討ちにしてしまった。それだけで十分面白い」
「たしかにそうですね」
相手の言い分に納得せざるを得なかった。
端から見れば、たしかに面白い存在だろう。
気になって仕方がない。
「それで私たちはなにか罰則があるのですか?」
「いや、そのつもりはない。お前たちは絡まれた被害者だからね」
「ですが、あそこまでやったんですよ?」
お嬢様が倒れた男を指さす。
死んではないが完全に気絶しているので起き上がる様子はない。
「命はとっていないなら、大した問題じゃないさ。むしろ、新人にあっさりとやられたことの方が問題さ」
「たしかにそうですわね」
「まあ、あいつもDランクで実力はあるはずなんだが、それを倒すお前たちの方が異常なだけかもね」
「あら、異常だなんて失礼ですわ」
和やかな雰囲気で会話しているが、その内容はとんでもなかった。
俺にはこんな風に会話はできない。
コミュニケーション能力はお嬢様の方が上だった。
「とりあえず、お前たち二人が冒険者になるのは許可するよ。精進しな」
「ちょっと待ってくれ」
リオネスの言葉に思わず反応してしまった。
ギルドマスターの彼女が冒険者の許可を与えるのはおかしな話ではない。
だが、その内容が問題だった。
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