第12話 先輩冒険者たちの事情を聞く
「私たち4人とヘルバは同じ村出身の幼馴染みなの。冒険者として頑張ろうと一念発起、5人でこの街にやってきたわ」
パーヴァさんが話し始める。
真偽を確かめるためにヘルバさんに視線を向けると彼女は首を縦に振る。
どうやら事実のようだ。
「Fランクになるまでは問題なかったの。大した危険もないクエストばかりで、むしろ薬草採取なんかはヘルバのおかげで良い評価を貰えたぐらい。でも、そこから問題が起こり始めたわ」
「問題?」
「ヘルバは戦闘の才能がからっきしだったの。魔法が扱えない。遠距離武器も扱えない。重い武器を持てない。軽い武器は持てても、近接戦闘できるほどの速度がない」
「あぁ、なるほど」
たしかに問題ではある。
討伐系のクエストを受ける冒険者としては致命的な欠陥だろう。
「まあ、だからといって仲間はずれにするつもりはなかったわ。高ランクのクエストの中にも採取系のクエストがあるから、私たちが護衛のような形でヘルバに採取して貰えばいい話だからね」
「たしかにそういう形もできそうですね」
「でも、この馬鹿のせいでうまくいかなかったわ」
「・・・・・・この人、ヘルバさんが好きなんですよね?」
話を聞いている感じ、他の3人はヘルバさんとの冒険に対しては前向きのようだ。
だが、オネスだけはそう考えていなかったわけか。
好きだというのなら、どうしてなのだろうか?
「だからこそよ。こいつはヘルバが危険にさらされないようにわざとパーティーから追い出したの」
「・・・・・・考えることはわかりますけど、ヘルバさんは結構ショックを受けていたみたいですよ?」
「それはこいつの言い方が悪かったの。好きな気持ちを表に出せないから、ヘルバへの悪口が代わりに出ちゃったの」
「あぁ、なるほど」
簡単に状況が想像できた。
好きな子に素直になれないから、反対の悪口が口から出てしまう。
見た目は成人なのに、子供なのだろうか?
「あとでこいつをしばいて状況を把握したけど、もう後の祭りだったわ。ヘルバは勝手に出て行っちゃうし、こいつはパーティーの総意みたいに言ったせいで私たちも話しかけづらくなったもの」
「それはまた・・・・・・」
困ったようなパーヴァさんの言葉になんとも言えない表情になってしまう。
好きな子に素直になれない気持ちはわかるけど、すべてが状況を悪くしてしまう。
「でも、信じられないわ」
話を聞いていたヘルバさんが口を開く。
たしかに彼女の立場からすれば、そんな反応になって当然だろう。
今までの事実が真逆になっているのだから・・・・・・
「あんまりこいつのことをフォローしたくないけど、今でも未練たらたらの行動を取っているのよ」
「え?」
「私たちのランクになれば、傷を治すために中級ポーションを使うの。収入的にも問題ないし、効果が高いからね」
「それが普通よね」
「でも、こいつはいまだに初級ポーションを使い続けているのよ。ヘルバがいつまでもクエストを受注できるようにね」
「本当に?」
話を聞き、その場にいた全員の視線がオネスに向く。
嫌そうな表情をしながら、彼はそっぽを向く。
「俺は初級ポーションの味が好きだから飲み続けているだけだ」
素直になれない彼は嘘の理由をでっち上げる。
出会って間もない俺達でもわかるぐらいだ。
誰もが嘘だとわかるだろう。
「この馬鹿っ!」
(ボゴッ)
「うがっ」
そんな彼の頭をパーヴァさんが思いっきりぶん殴る。
鈍い音がその場に鳴り響く。
かなり痛そうだ。
「あんたが素直になれないせいで誰も幸せになっていないのよ。いい加減にしなっ!」
「うるせえよ」
「どういうことですか?」
状況がわからず、思わず質問してしまう。
誰も幸せになっていないとはどういうことだろうか?
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