異世界、はじめまして
次に目を覚ましたのは、ベットの上だった。
あ、夢か・・・よかった・・・
そう思いながら、あたりを見回してみるといつもの部屋でもなければ、病院でもなさそうだった。
「あれ、ここどこ・・・?・・・・・あ」
一応体を確認してみたが、手は動くし、足も動く。体に痛みもないことを確認した。
事態を把握できないので、今ここがどこで今何時なのか確認しようとスマホをみようとしたが、そもそもスマホが無いことに気づいた。
何が起こってるの?
そう考えながら辺りを見回すと、なんとなく日本、というよりもはや現代といった雰囲気ではなかった。
レンガ造りの内装、使用感のある暖炉、目の前にあるテーブルの上に置かれた本。
まだ、夢でもみてるのかと思いベッドから立ち上がってみるが、感覚は正常だった。
とにかく、ここはどこなのか、誰か人を探そうと思い、室内にある扉を開けてみようと思った。
ドアノブに手をかけようとしたとき、ドアの向こう側に誰かいる気配を感じた。
誰かいる・・・
おそるおそるドアを開けてみると、そこは部屋で、女性が椅子に座ってなにやら作業をしていたようで目が合った。
「あっ、あのすいませ、・・・」と言おうとすると、
「あ、目覚めました?」と女性に先に声をかけられた。
「あなた、どうしたんですか?近くの森の中で倒れてたのを運び込んだんですから。ケガはないみたいですけど。」
女性の顔をみて、女性というよりも女の子であることに気付いた。
「え、森で?私トラックにひかれたかと思ったんですけど・・・」
「トラック?」
その女の子は不思議そうな顔でこちらを見つめた。
「トラック?というのはわかりませんが…あなた冒険者ですか?」
「え、冒険者?私ただの会社員ですけど…トラック知らないんですか?」
「会社員?トラック?」
女の子はさらに不思議そうな顔をしてこちらを見つめてくる。目が大きくて綺麗な顔。
思わず言葉がでてこなかった。というか会社員とトラックが通じない?
「あ、いやえっと、とにかくここってどこなんですか?」
「ここは、ポルタの町ですよ。…あなたはどこから来たんです?」
「…ぽる…なに?……私は八王子から…きました?」
「ハチ…?聞いたことないです……」
どうしよう、やっぱ夢見てるのかな?この子なんかよく見たら日本人って感じじゃないし、ファンタジーな感じがする。
「ま、まあわかりました。」
女の子はいったん話を切り上げた。
「特にケガはなさそうですね。少し記憶が混濁しているようですが。私はシオンといいます。あなたは?」
「あ、リノって言います。一ノ瀬リノ。…助けてくれてありがとうございました。」
「リノさんですね。お礼なら私の叔父に。ここまで運んでくれたのは私の叔父なんです。」
「あ、そうなんだ…。あなたの叔父さんはどこに?」
そう聞いたとき、リノのお腹がグゥと低い音をたてた。
あっ、恥ずかしくてお腹を押さえるとシオンは一瞬驚いた顔をしたあと、アハッと笑い、
「ごめんなさい、お腹すいてたんですね。家になにもないから、外に食べに行きましょうか。私もまだですから。」といった。
……綺麗な子、女の私でも少し見惚れてしまった。
「リノさん、どうしました?」
「あっ、なんでもない!はい、行きましょう。あ…でも、財布…お金が…」
「大丈夫ですよ、叔父がもし起きたらってお金くれてますから。」
「そんな…お世話になりっぱなしじゃ…」
「気にしないでください。とにかく行きましょう。服を着替えたほうがいいですよ、貸しますから。」
そういって椅子にかけてあった綺麗なローブを渡してくれた。…こんなに親切にしてくれる人、これまでいたかな…。
「ありがとう。着替えるね…。というより私が今着てるのもあなたの?」
「はい。ちょっと大きいかもしれないですけど、リノさんに似合うと思いますよ。」
いま私に何が起きてるかわかんないけど、嬉しかった…こんなにやさしくしてくれる人がいるなんて…。




