お出かけ~到着
繋ぎ回・・短めです
朱里は支度を終え、再びダイニングへ戻る。テーブルに居る亮を見ると、スマホをいじっていた。誰かと連絡とっている?
朱里が戻ってきたことに気づくと、立ち上がり、
「あっ、調べてみたら、そんなに混んでないみたいだよ!」
テンション高めに話す亮。対して朱里は、既に疲れ果てたようなかんじで、
「・・そう」
だけ言うと、キッチンにいる沙織さんに向け、声をかけて玄関に向かった。
「では少し出かけてきます」
「いってらっしゃいませ」
家の門から出ると、先に出ていた亮が手を差し出した。
(これは手をつなげと?)
朱里は差し出された手を、ただジッと見て立ち止まっていた。
「行こうか」
亮はそんな朱里の反応に、諦めたのか手を引っ込めて、駅のほうへ歩き出す。それを見て朱里も歩き出す。亮は自然に車道側へ寄り、朱里が並んだところで、並んで歩き出す。とても楽しそうだ。
「・・言っておくけど、今回はお兄が言うから一緒に行くだけだから。また今度があると思わないでね」
今回は仕方なく行く、今回限りだと、朱里は自分を納得させながら亮に釘を刺したが、当の亮は、
「うんうん」
分っているのかいないのか、ただニコニコと頷いている。その様子に、やはり隼人が亮と話すように言ったのは、この人の策略だったのだろうと確信した。パンケーキ屋はその場の思い付きだろうけど、どこか外で話したいとは思っていたのだろう。
亮の今日の行動を思い返しているうちに駅に着き、電車に揺られる。土曜の午後だが、比較的空いていた。ドア付近に二人で立つ。入学当時の身長は朱里が少し高かったが、今は同じくらいになっていた。目の前に立つ亮を見て、
(私、なんでこの人と一緒に居るんだろう?)
朱里はふと、そんなことを思った。ここまで来て今更ではあるけれど。でも不思議と不快ではなく、普段より心臓がドキドキしている気がするが、それも心地いいと思えていた。
「どうかした?」
朱里がじっと見ていることに気づき、亮が問いかける。
「別に」
そう言って目をそらし、今感じている気持ちを流すように、窓の外の景色を眺める朱里だった。
目的の駅に着き、パンケーキ屋さんを目指す。時間は14時を少し過ぎたところだった。
遠目にお店が見えてきたが、外に列ができるような混雑は見られない。
店に入ると、さすがに混んでいて、席もほぼ埋まっている様子だったが、すぐ店員さんに案内してもらえた。お店についたことで、二人共自然と顔がほころぶ。メニューを開く。
(やばい、どれも美味しそうで悩むぅー)
朱里が、うーん・・と悩んでいると、クスッと目の前の人物が笑い、
「迷うな」
ボソッとつぶやいた。亮も迷っているようだ。
「朱里はどれで迷ってるの?」
「これかこっちか・・」
メニューの写真を指さす。すると亮は「おっ」と言って、
「じゃあ、その2つにしよう! ケーキセットでいいよな?」
そう言って、テーブルに備え付けられているタブレット端末を操作し、サクサク注文をしてしまった。朱里が戸惑いの目を向けると、
「オレはこれかこっちで迷ってた」
指した1つは、朱里が迷っていた物だった。
「だから、オレがこっちにすれば、朱里に分けられるだろ?」
名案だろ?というかんじで亮が笑う。
「でも、それだと・・」
朱里は迷った2種類楽しめるが、亮の迷っていた1つは・・
「いーの、いーの」
朱里が言おうとしていることが分かったのか、言いきる前に良いと言った。
「オレはここに朱里と一緒に来て、こうして話ができてることが、何より満足なんだから」
更にそう付け加えられ、満足そうな亮に、朱里はため息しか出なかった。亮は、その様子が気になる。
「朱里、最近ため息多くない?」
「・・キミのせいなんだけど・・」
ムッとした顔でそう言われた亮は、一瞬顔をしかめたが、何か考えるような仕草をしたあと納得したようにうなずき、
「せっかく美味しいもの食べに来たんだから、楽しもうよ!」
そう言ったところで、パンケーキとアイスティーのセットが運ばれてきた。
「じゃ、半分こでいい?」
朱里はうなずく。目を輝かせ笑顔になった朱里に、亮も満足し、それぞれ半分に切り分けて、食べ合った。
「お出かけ」という名の「パンケーキ屋さんデート」は、まだ続きます。




