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怜から見た二人-怜視点-

番外編的なかんじ

 中間テストが終わった翌週、月曜日の放課後。 


 亮と部活へ向かおうとしたら、

「ちょっと待って」

 と、亮は朱里のほうへ向かっていった。

「朱里、連絡先交換しよ♪」

 まだ交換してなかったのかと思いつつ、朱里を見ると、すごく嫌そうな顔をして、首を横に振っていた。


(亮、大分さけられてるなー)


 苦笑いして見てたら、朱里がオレに気づき、「来い」と手招きしてきた。仕方なく隣に行くと、

「あの人に連絡先教えたくないから、怜から伝えてよ」

 と、耳打ちされた。なんだそれ。

「は? オレを伝言係にするなよ」

 面倒くさいと思って、亮をチラッと見ると、不機嫌な顔をしていた。そりゃそうだろう。恐らく亮は朱里が好きみたいだし、幼馴染とはいえ、他の男と内緒話しているのを見るのは、面白くないだろう。知ってか知らずか、朱里は、オレや亮に構わず囁く。


「困ってるんだから助けてよ」

「自分で言えよ」

 と、朱里に振り向けば、顔が目の前にくる。亮への対応に困っているのは分かる。

 話したくないと、今回断れれば大丈夫だとか言うが、多分亮のことだから、断ってもまた聞いてくると思う。


(・・本気で断りたいなら、自分からはっきり言えばいいのに)


 そう思いながらコソコソ話していると、亮がしびれを切らして話しかけてきた。

「目の前でコソコソされると気になるんだが・・」

 だよなーと、気を抜いていたら、朱里に「頼んだ」というかんじの、笑顔を向けられ、亮のほうへ押しやられた。

(朱里の奴・・)

 飽きれて、亮を見ると、ガッカリとした様子で立ちすくんでいた。


「部活行くか」

 とりあえず声をかけると、亮はハッとして

「朱里と何話してたんだ? 伝言て?」

 速攻つめよれられる。あー面倒くさい。

「連絡先交換したくないから、オレ経由で伝えるってさ」

「なんで怜ばかり・・」

 ずるい・・と、羨ましそうにつぶやかれた。幼馴染だから・・としか言えないな。

「とりあえず後で連絡くるだろうから、部活いくぞ。急がないと」

 1年があまり遅れて行くわけにはいかない。ひとまず部活へ、向うことにした。



 伝言係にされた怜(オレ)は、部活が終わり帰り支度を済ませる。そして、スマホを確認すると、朱里からメッセージが届いていた。

 それを亮に転送すると、確認し、

「わかった・・と、伝えてくれ」

 と、オレに言った。部活に参加して、時間を置いたことで、落ち着いたみたいだ。


 朱里から送られてきた伝言は、

『作詞できました。帰りに怜の家寄ってくれるなら、渡します。』

 という、シンプルなものだった。


 勝手にオレの家を利用するなよと、言いたいところだが、隣同士で互いの家など、どちらも自宅扱いみたいなものなので仕方がない。朱里が作詞を受けた話は、聞いていたから、その話なんだろうとは思っていたし。



 帰宅すると、

「朱里ちゃん来ているわよ」

 母親に言われる。まあ、あっちのほうが帰宅は早い。どうしても運動部は終わりが遅めだからな。自分の部屋に入ると、不機嫌な顔をした朱里が、オレの机で漫画を読んで、待っていた。制服のまま着替えずに来たようだ。


「よっ!」

「ん」

 軽く挨拶し、オレはベッドにドサッと腰かける。亮はあとから部屋に入り、

「朱里」

 朱里を視認して、机へまっすぐ向かう。朱里は、すぐさま紙を数枚重ねたものを、亮の前に差し出し、口を封じた。すぐさま亮は受取り、読みだしたところで、朱里が口を開く。


「曲いいと思う。キミが歌うことをイメージして作ってみた。楽しかった、ありがとう」


 ……話したくないという割に、「会う」というからなんでかと思ったら、直接お礼が言いたかったのか。でも、亮が受け取った紙の内容に、気が向いたところでサラッと言うとか。お礼を言われた亮は、驚いて固まっている。


「じゃ。あっ、コレ借りてくね」

 朱里は、亮には目もくれず、先ほどまで読んでいた漫画を持って、オレに言うので、軽く右手を上げて了解する。そして、朱里は帰ろうと立ちあがり、亮の横を通り部屋のドアへと向かう。


「ま、待って。す、すぐ読むからっ」

 固まっていた亮がハッとして、朱里に振り返り、慌てて呼び止める。部屋のドアノブに、手をかけたところで朱里は止まるが、

「もう話すことないから」

 そう言って、振り返ることなく部屋を出ていく。

「あ・・ありがとうっ!」

 扉が閉まりきる前に、亮は慌ててお礼だけなんとか言った。


 立ちつくす亮に、

「座れば?」

 さっきまで朱里が座っていた、机のイスをすすめる。

「あぁ・・はぁーーー・・」

 ドンっと座って、亮は長い溜息をついた。そして、受け取った紙を読み始めた。オレも枕元に置いておいた雑誌を手に取り、寝転んで読むことにした。



「朱里って漫画読むんだな」

 少しして、亮は朱里から受け取った紙を読み終えたのか、そんなことを言い出した。

「ん? あぁ、まあ漫画に限らずだけどな」

 推理小説やラノベとかも読んでるし、本を色々読むのが好きなんだよな。オレの部屋からも良く持っていくし。

「亮はあまり読まないのか?」

 朱里のことを、また1つ知れて嬉しそうにしているので、亮のことも聞いてみる。

「そうだな・・小学校低学年くらいまでは、読んだこともあったけど・・仕事もらえるようになったあたりからは全然かも」

 確か9歳くらいから働いてるんだったか。すげえな。


「漫画か・・朱里、なんての読んでたの?」

「あぁーコレの2巻かな」

 本棚に行って、1巻を見せる。次のクールでアニメ放送も始まるやつだな。朱里がウチに来たのには、この漫画目当てでもあったのかと、思っていると、

「オレも借りていい?」

 1巻をパラパラめくりながら、亮が聞いてくる。

「うーん・・多分、朱里続き読みに来るから、1巻無いの見て、お前が借りたって知ったら、機嫌悪くなりそうなんだよなー・・」

 渋ると、オレをじっと睨み、

「朱里のこと、良く知っててずるい」

「仕方ないだろ? 小さい時から、ずっと一緒に育ったみたいなものなんだから」


 オレは一人っ子で、隣に建つ大きな家-朱里の家-にいる隼人兄と遊びたくて、出入りしているうちに交流が増えていった。朱里の家は両親が不在なことも多くて、隼人兄が学校で遅い時など、朱里は良くウチで過ごすこともあったし、ホント姉弟みたいに育ってきたと思う。お互い好意はあれど、いわゆる恋愛感情みたいなものは無い。ってか、朱里と恋愛とか、ありえないだろ。朱里は良くも悪くも”お嬢様”なのだ。オレのことは、付き人とか従者とか思っているに違いない。


「これなら貸してもいいぞ。ちょっと前に、朱里がはまってたやつ」

 それを差し出すと、「借りる」と亮は数巻を手に取り、帰っていった。


 亮が帰ったことを朱里に連絡すると、再びオレの部屋にやってきて、予想どおり、今度は床のクッションに座って、漫画の続きを読み始めた。朱里はもちろん、オレも特に亮については話すこともなく、静かに時が過ぎていった。


朱里と亮以外の視点は省くつもりだったが、前話の朱里視点の修正や、この部分を亮視点に・・が結局うまくいかなくて、このまま「怜に任せたっ!」に、しました。


「姉弟」というのがポイント? 朱里と怜の幼馴染やり取りは少し考えたりはしたけれど、結局すっ飛ばしてしまい、そして今回に至り・・・まあ、朱里と怜の関係性も入れたかんじです。

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