レヴィン、懐かしきハンター支部へ ②
お久しぶりです!
構想はずっと練っていたのですが、なかなか文章にできず更新が空いてしまいました!!
ようやく続きをお届けできます!楽しんでいただけたら嬉しいです。
次はスクワットをこなしている。
新人たちは汗をかきながらも黙々とスクワットを続ける。
指揮官
「いいぞ、その調子だ!!」
レヴィンも心の中で小さくため息をつきながら、真面目にフォームへ集中する。
アイリ
(あいつ……真面目ね……。)
(なんで聖騎士やってるやつが新人に混ざって真剣にスクワットしてんのかしら……。)
(……もう少し様子見しようかしら。)
指揮官
「よし、じゃあ竹刀を持て!! ……ん? 一本足りんな。」
アイリ
「はい。」
(これは手違いでここにいるレンの分ね)
アイリは何食わぬ顔で指揮官へ竹刀を手渡した。
指揮官
「あっ……! わざわざありがとうございます、アイリさん!」
指揮官
「竹刀を持ったら基本動作からだ!! 見て覚えろ!!」
新人たちは緊張した面持ちで構える。
レヴィンも周囲にならい、竹刀を上から振り下ろした。
アイリ
(バカ……。)
次の瞬間――
ブォンッ!!
振り下ろした一撃だけで爆風が巻き起こり、地面の砂が一斉に舞い上がる。
指揮官
「うわっ!? なんだ!? つむじ風か!?」
レヴィン
(やべ……力入れすぎた……。)
一同は砂煙に包まれ、ゲホゲホと咳き込む。
幸い誰も原因には気付かなかった。
ただ一人――
アイリだけは、ニヤニヤしながらレヴィンを見ていた。
指揮官
「ゲホゲホ……。次は突き出しだ!!」
砂煙にむせながらも、指揮官は竹刀を構え、手本を見せる。
その動きにならい、新人たちも一斉に突き出した。
指揮官
「おお、上出来だ!! 次はコンビネーション突きだ!!」
新人たちは互いに顔を見合わせ、緊張と期待が入り混じった表情を浮かべる。
レヴィンも小さく息を吐き、竹刀を握り直した。
レヴィン
(げぇ!? コンビネーション!? この中に知り合いいねぇぞ!!)
しかし、なぜか一人だけ相手のいない新人がいた。
指揮官
「おかしいな……。」
手元の名簿を見返し、首をかしげる。
その時――
アイリ
「……あたしがやるわよ。」
すっと手を挙げる。
指揮官
「アイリさん自らですか!?」
アイリ
「そうよ。」
そう言うと、レヴィンへ視線を向ける。
「そこの金髪くん、相手しなさいよ。」
レヴィン
(うわぁー……指名された。)
この場で金髪なのはレヴィンしかいない。
昔からアイリさんには逆らえない。
レヴィンは観念したように竹刀を握り直し、静かに構えた。
アイリは腕を組み、口元をにやりと緩める。
「覚悟しなさいよー?? 金髪くん?」
その目は、完全に獲物を見つけた時のそれだった。
レヴィン
(ぜってー楽しんでるう!!)
アイリは初手から飛ばしてきた。
竹刀と竹刀がぶつかり合い、小気味いい音が訓練場に響く。
レヴィンもそれを危なげなく受け流す。
新人たちも指揮官も、そのあまりに滑らかな攻防に思わず手を止めて見入ってしまった。
レヴィン
「ちょ……ちょちょ……アイリさん……!」
竹刀を横に構え、次々と繰り出される攻撃を受け止める。
アイリ
「ほら、次はこっちよ!」
竹刀を軽やかに左右へ振り分け、間髪入れずに連続攻撃を仕掛ける。
周囲では、いつの間にか訓練そっちのけで見物人が集まり始めていた。
その時――
ピーッ!!
指揮官の笛が鋭く鳴り響く。
指揮官
「そ……そこまで!!」
アイリ
「ちぇ……。」
レヴィン
「『ちぇ』じゃないっすよ!! 何、本気出してるんすか!!」
その声を聞いた一人の青年が、驚いたように駆け寄ってきた。
「せ、先輩……!? 何してるんですか!?」
レヴィン
「あっ、ダン!! 久しぶりー!!」
かつてレヴィンの後輩だったダンだ。
その様子を見ていた新人の一人が、わなわなと震えながら声を上げた。
「え……。」
「ああああああっ!! あの人……!!」
「どこかで見たことあると思ったらレヴィンだ!!」
「アグニを倒した人だぁぁぁ!!」
その一言で、訓練場が一気にざわつく。
「うわ……よく見たら本当にそうじゃん……。」
「あれ、英雄称号貰った人だあああ!!」
気付けば、レヴィンの周りにはあっという間に人だかりができていた。
アイリ
「バレちゃった。」
レヴィン
「絶対わざとだーー!!」
レヴィンは黙ったまま周囲を見回した。
そこには、新人たちのキラキラとした眼差しが集まっている。
その様子に思わず口をつく。
レヴィン
「……なんで?」
アイリ
「は?」
レヴィン
「あ……いや……俺は……。」
その言葉を遮るように、ダンが一歩前へ出る。
ダン
「当然ですよ!! 先輩は俺たちにとってヒーローですから!!」
レヴィン
「お……俺が?」
ダン
「他に誰がいるんですかあ!?」
レヴィンは目を丸くしたまま言葉を失う。
アイリはそんなレヴィンの肩をぽんと抱き寄せ、下から顔をのぞき込むように笑った。
アイリ
「相変わらず鈍いわね。」
「もっと自信持ちなさい!!」
「え……めっちゃ嬉しい……。」
レヴィンはその言葉を噛み締めるように、小さく呟いた。
思わずこぼれた素直な反応に、新人たちも周囲で見守っていたギャラリーも、きょとんと目を丸くする。
――こんなに謙虚な英雄もいるんだ。
誰もがそんな思いを抱いていた。
「教えてください!! 剣の指導!!」
「俺もお願いします!!」
「先輩!!」
一斉に声が上がる。
レヴィン
「お……おお!!」
次々と人に囲まれながら応えるレヴィンの顔には、いつの間にか自然な笑顔が戻っていた。




