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海に並ぶ背中①

南大陸の海は透き通る青。太陽はギラギラと空高く昇り、白い砂浜を照らしていた。

海風が柔らかく吹き、波が砂をさらうたびに光がきらめく。


ビーチには色とりどりのパラソルが並び、子どもたちの笑い声や水しぶきが陽気に混ざる。浮き輪やビーチボールが行き交い、遠くでは水上バイクが轟音を立てていた。


その賑わいの中、ふと人々の視線が一点に集まる。


砂浜近くに停まった小型航空機。

そこから荷物を下ろす男が二人――。


ひとりは黒髪を軽く遊ばせ、耳にはピアス。パーカーを羽織っているが、水着姿の上半身からは引き締まった筋肉が覗き、細身ながらも鍛え上げられた体が視線を奪う。目付きは鋭く、どこか危険な香りを漂わせている。

レヴィンの親友の1人であるアディオだ―――。


そしてもうひとり。名前はチェイズ。大柄で鍛え上げられた肉体を惜しげもなく見せつけ、緩くパーマのかかった髪が風に揺れる。首元のネックレスが太陽に反射してきらりと光り、笑顔で軽々と大荷物を運ぶ姿は、見る者に魅惑的なワイルドさと力強さを同時に印象付ける――。


そんな魅惑的な容姿を持った二人が砂浜に足を踏み入れると、その存在感は瞬く間に周囲の視線を一身に集めた。

ビーチの喧騒の中でも、アディオの洗練されたクールな雰囲気とチェイズの陽気で頼もしげなオーラが、まるで場の中心に別の空間を作り出しているかのようだった。


次ちょっとレヴィンとは違う邪な2人笑



「お前なー、もうちょっと持てよなー」

チェイズの片手にはカート、もう片方にも荷物が溢れんばかりだ。


「お前だけで十分だろ…女子なら手伝ってやるが…そんなごつい体の男はやってやらん」

ツーンと冷たく言い放つアディオに、チェイズのこめかみに青筋がひとつ。


「わかったわかった、こっちのカートを運んでやる」

アディオはふう、といかにも「仕方ないな」と言わんばかりに手伝う体勢を見せる。


「ったく、最初っから憎まれ口聞かずに手伝えよなー」

チェイズは小柄なアディオの首を太い腕でぐるっと囲み、力を入れてじゃれつく。


「やめろ…男臭い」

アディオは顔をしかめながらも、どこか楽しそうな気配を漂わせていた。


そんなじゃれつく二人に、女の子たちの視線が集中する。


アディオ「……」

チェイズ「……」


二人同時に、鼻の下が伸びた。


アディオ「可愛いな…スタイルもいい」

チェイズ「俺は右の子かなー」

アディオ「俺は左だな」


どこもかしこも水着、水着、水着…


チェイズ「海っていいよな…!」

拳を握り、ニヤッと笑う。


アディオ「間違いない」

キリッとした表情で静かに同意する。


そこに、フードを深くかぶり、顔を隠した青年が立っている。壁に寄りかかり、腕を組み、表情は読めない。

普段の元気な姿からは想像できない、落ち着いた空気を漂わせ、まるで誰にも見られたくないかのように距離を置く。

だが、隙間から覗く引き締まった腹筋は、隠しきれない存在感を放っていた。


レヴィンはこの人混みの中で顔を出すのを恐れていた...暗黒騎士と謳われる自分の顔はどこまで知られているんだろうかと....。



そんなレヴィンを、すれ違う人々は逆に気になってしまい、思わず視線を送る。

フードで顔を隠しているのに、どこか普通じゃない空気を纏っている―無意識に周囲の人々は目を向けずにはいられなかった。

レヴィン自身も気づいている。視線を感じ、心臓が少し早鐘を打つ。



二人はすぐにレヴィンを見つけ、顔を隠した様子にふうっとため息をついた。

チェイズ「まだ気にしてんだなー」

アディオ「まあ…無理もないさ…」


チェイズは本音を言えば、今日会うのは少し不安だった。

アグニを倒して以来、レンに会えていない。最後に見たレンは、心も体もズタボロで…見るに耐えないほど壊れていた。


あの記憶が胸に重くのしかかる。

レンの性格や表情は、少しでも変わってしまっていないだろうか――不安が静かに、しかし確実に胸の奥で渦巻いていた。


自分が躊躇していると、アディオはにこやかに声をかけた。

「レン!!!」


その一声に弾かれたように、レヴィンが顔をあげる。

腕をするりと解き、視線を二人に向けるその瞬間――


吸い込まれるような綺麗な瞳に、チェイズの胸はザワリと揺れた。


チェイズは、あの時の壊れたレンの姿と、今目の前に立つレンが重なり、胸の奥が締め付けられるようだった。


だが――レヴィンは太陽のような笑顔を見せ、見る見る光を纏ったかのように輝く!


アディオもチェイズも、その笑顔にやられてしまう。

周囲の人々も、思った以上の明るさに目を奪われた。


レン「チェイズ〜ッッッ!!!」


顔を隠していた青年からは想像もつかない無邪気な笑顔で、レンは全力でチェイズに突撃した。


ドーーーーン!!!


チェイズ「うおおおおお!?」


押されて踵の砂が盛り上がる。筋肉質なチェイズの胸板にぶつかるレンの軽やかな体重。さすがの安定感を見せつつも、衝撃は砂に伝わる。


周囲の人々からは、レンの無邪気さに思わずくすくすと笑う声が漏れ、「かわいーっ!」という声が三人に届いた。


レヴィン「すげえ久しぶりだなあーチェイズー!!!」


そこには、以前と変わらず元気で溢れるレヴィンがいた。


チェイズ「なんだよー、元気そうじゃねえかよん!」


そう言うとチェイズは、レヴィンのフードを下ろし、わしゃわしゃーっと大きな手で金に輝く髪を撫で回す。


レヴィンは大きな口を開けて、無邪気に笑った!!


「場所取っといたぞーー!!こっちこっち!!!」


もう動き出すレヴィンに、チェイズは慌てて追いかける。アディオは嬉しそうににこやかに、少し後ろから続いた。


「おおっ、ちょ、待てってー」


砂を蹴って走るチェイズ。大柄な体が波打ち際を駆けると、砂が少し飛び散った。


レヴィン「ほら、ここだ! 日陰もあるし、海もすぐ入れる!!」


「おお…いい場所だな…」

いつの間にか追いついていたアディオ。


チェイズ「おおおー!! いいじゃねえかー、BBQコンロも近いし!」


パラソルの下にはごちゃついた荷物が散乱している。


アディオ「また慌てて置いたな…」と苦笑い。ボードや着替え、飲み物まで落ちている。


レヴィン「あはは!! 楽しみすぎて、ぽいぽいぽいぽいってやっちまった」


チェイズ「んだよお…いつでも会いに行ったのによお…アディオばっかずるいよなー」


レヴィンの目線に合わせ、優しく頭を撫でるチェイズに、レヴィンはヘヘッと少し気恥ずかしそうに笑った。


アディオ「俺はマメに行ってたからな」と得意気に言うアディオ。



チェイズ「よし!!今日は食糧たっくさん持ってきたかんなー!?いっぱい食えよー!?」

クーラーボックスを空けると一緒にレヴィンも覗き込み目を輝かせる!!!


レヴィン「肉!!肉!!!こっちのもにく!!!」

チェイズ「ワッハッハ!!レン肉好きだろー今日は美味いもん沢山作ってやっかんなー」


アディオはあまりのレンの喜び様に吹き出す。

レヴィン「な...なんだよう...」

アディオ「いや...食い意地張っててお前らしいと思ってな」


レヴィン「なんだよおー」っとむくれるレンの口に早速食い物を突っ込んでやるチェイズ。

レヴィン「うめえーなにこれ」

アディオ「あははは!!」

チェイズ「うめえだろーレンー!」


もぐもぐ頬張るレヴィンの顔はキラッキラでハムスターのようだった。


笑顔で頬張るレヴィンを、チェイズとアディオが優しく見守る。

潮風が頬をなで、砂の匂いと海の音が心地よく混ざる中、レヴィンの無邪気な笑顔は二人の胸を温かくした。

「ほんと、レンは可愛いなー!」チェイズが呟けば、アディオも同意するように肩をすくめ、くすっと笑う。

今日という一日が、こんなにも穏やかで幸せに満ちていることを、三人は静かに噛みしめていた。



今回の海回を読んでくださり、ありがとうございます!

アディオとチェイズも、厄災のアグニ編で共に戦ってくれた大切な仲間です。


アディオはちょこちょことレヴィンの部屋に顔を出していましたが、チェイズは、レヴィンがまだ心を立て直せていないかもしれないという不安から、会いに行くきっかけをなかなか掴めずにいました。

そんな二人が、レンの笑顔に包まれる一日を一緒に過ごせたこと…読んでくださる皆さんにも、その温かさが少しでも伝わっていたら嬉しいです。



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