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正体バレバレな女剣士、なぜか聖騎士志願する④

ルナは、もう隠していなかった。

自分の全てを込めた打ち込み。


レヴィンは、それを――真正面から受ける――!!



――ように見せて、瞬時に角度を変えた。


スッ。


竹刀が、レヴィンの肩口すれすれを通る。


空気が、裂ける。


「……ッ!!」


レヴィンの背筋に、ぞくりとしたものが走った。


レヴィン「すっげえ...」

っと笑った。


レヴィンは、竹刀を握り直した。


腕の痺れは、まだ残っている。

だが、それすらも心地いい。



一歩、踏み出す。


「そりゃあ」

「隠してたら、もったいないわけだ」


観戦していたベテラン勢が、どよめく。


「今の……見たか?」

「レヴィンの反応、完全に“楽しんでる”ぞ……」


ルナは、息を整えながら、

じっとレヴィンを見据えた。



「……まだ、終わりじゃないよ」


低く告げる。


レヴィン「へえ...俺もだよ」

ルナ「!!!!」

一瞬怯むルナ。


その声は、軽い。

けれど――視線は、完全に逃がしていない。


ルナ「!!!!」


一瞬、確かに怯んだ。


――が。


レヴィンは、すでに動いていた。


踏み込みは深くない。

派手さもない。


けれど――

“逃がさない”間合い。


カンッ!!


真正面から、ぶつかる。


今までで一番、重い衝撃。


ルナの手に、びりっと痺れが走る。


(……来た)


レヴィンは、初めて

“攻め続けて”きた。


一打。

二打。

三打。


無理をしない。

だが、確実に圧をかけてくる。


「……っ」


ルナは、後退しながら受け流す。


空気が、張り詰める。


観戦していたベテラン勢が、思わず声を潜めた。


そして――

誰かが、ぽつりと呟く。


「……これ、試験じゃねえな」


別の誰かが、低く笑った。


「すげえ……レベル、高えぞ」


ざわめきは、もう起きない。

誰もが、息を呑んで見ていた。


――これは、選考でも、模擬戦でもない。


“剣士同士の、真剣な打ち合い”だった。


三打目を受け流した、その瞬間――

レヴィンは、気付いた。


(……この人)


踏み込みの前。

決定打を放つ、その直前。


――必ず。


ほんの一瞬だけ、相手を見る。


(“ここ”だ)


次の瞬間。


ルナが、踏み込んだ。


完璧な間合い。

完璧な角度。


――だが。


レヴィンは、その“一拍”を待っていた。


ルナの視線が、

ほんのわずかに揺れた、その瞬間。


カンッ!!


乾いた音が、空気を裂く。


ルナの竹刀が、弾き飛ばされた。


「……っ」


遅れて、理解する。


(……読まれてた)


レヴィンは、もう止まらない。


一切の躊躇なく、踏み込み――


――寸止め。


竹刀は、ルナの喉元で、ぴたりと止まっていた。


静寂。


息を呑む音すら、消える。


アーサーが、低く告げる。


「……そこまで」


ルナは、肩で息をしながら、ふっと口元を緩めた。


「……すごいね...?負けたよ」


悔しさよりも、清々しさが勝っていた。


「女の子なのに、すごいな!!!」


そう言って、レヴィンは迷いなく手を差し出す。


ルナは一瞬だけ驚き――

それから、素直にその手を握った。


(……もう。リュウ兄を、超えちゃったんだね)


胸の奥で、何かがすっとほどける。


ルナは、静かに息を吐いた。


「なあ……」


レヴィンが、少し首を傾げる。


「スラムでリュウって人の赤い重装備着てた子、知り合いとかじゃない?」


「……どうして?」


「いやあ……ハンカチ借りちゃってさ。返したいんだよね」



「ふふ……そんなの、いいのに」


次の瞬間。


「あああーー!!」


レヴィンの目が、見開かれた。


「やっぱスラムにいた女の子だろ!!!」


びしっと、指を差される。


(まあ……ここまで来たら、バレてもいいか)


ルナは、軽く肩をすくめた。


「……そうだよ」


一拍。


「じゃあちょっと待ってて!!」


そう言うなり、レヴィンは踵を返す。


「ハンカチ持ってくるから!!」


――バタバタバタ。

全力で、慌ただしく走り去っていった。


バタバタバタ――!!


猛烈な勢いで、レヴィンが戻ってきた。


「はいっ!!」


笑顔で息を切らしながら、ルナに差し出されたのは――

白いハンカチ。


しかし、血の汚れが微妙に落ちきっていない。

しかも、くしゃくしゃ。


「うまく……落ちなくて……」


眉を下げ、しょんぼり肩を落とすレヴィン。


ルナは思わず、ふふっと笑った。


「血の汚れって……なかなか落ちないんだよね」


「だよなあ……ごめん、10回くらい洗ったんだけど……」


「洗いすぎ」


二人の間だけ、妙に穏やかな空気が流れる。


その空気を――勢いよく壊したのは、レヴィンだった!!


「アーサーさん!!」


くるっと振り向き、目をきらきらさせる。


「この子、合格ですよね!?」


「え……」

「あ……」


アーサーは、一瞬だけ言葉に詰まる。


軽く咳払い。


そして――


「不合格!!!」


即答。間髪入れず。


「ええええええええーーー!!!」


道場中に悲鳴とブーイングが響き渡る。


「なんでだよー!!」

「強かったじゃねえか!!」


若手聖騎士の一人が叫ぶ。


「ミニスカ女の子と毎日訓練とか依頼とかしたいじゃないですかあああ!!!」


「なんと!!!」

思わずルナの口から声が漏れる。

――こんなにも男性たちに注目されていたのか、と驚いた瞬間だった。


アーサーは腕を組み、堂々と言い切った。

「団長が――女はいらん、とのことじゃ!!」


しーん。


あまりにも力技。

あまりにも理不尽。


「そ、そんな……」

「団長……!!」


ざわつく聖騎士たちをよそに、アーサーは淡々と言った。

「ワシには、どうにもできんのじゃ」――立場の上下関係を吐露しながら。


「俺、団長を説得しに行ってきますよ!!!」


そう叫んで、レヴィンが駆け出そうとした――

次の瞬間。


「……え?」


足が、宙に浮いた。


「な、なに……?」


脇に、がっしりとした感触。

アーサーさんか……?


後ろを振り向くと――今戦った女剣士だった。


レヴィン(す……すげえ力……)


「いいの……大丈夫」


すぐ耳元で、静かな声。

見える口元には、柔らかな笑みが浮かんでいた。


レヴィン「えっと……そう?」


「うん」


ルナは、そっと手を緩める。

まるで、重さなど感じていなかったかのように、丁寧に――レヴィンを床へ下ろした。


「……?」


首を傾げるレヴィンに、ルナは少しだけ視線を落とす。


「あなたと……手合わせしたかっただけだから」


素直な言葉。

飾りも、言い訳もない。

それは――本当だった。


レヴィンの顔が、ぱっと明るくなる。


「ああーーー!!スラムの再戦か!」


にかっと笑って、拳を打つ。


「あれ、中途半端だったもんな!!」


……どこまでも、色恋に関しては致命的に鈍い男だった。


ルナ(……そういうとこだよ……)


横で見ていたアーサーが、静かに歩み寄る。


「……いいのか?ルナだと、打ち明けなくても」


ルナは、一瞬だけ考え――すぐに首を横に振った。


「はい」

「構いません」


それ以上は、言わない。


その時――


「レン様!!」


甲高く、弾んだ声。


「素敵でしたっ!!」


きゃあっ、と勢いよく――

セレナがレヴィンに抱きついた。


「お……おお……」


完全に不意を突かれたレヴィンが、ぎこちなく固まる。


周囲から、ひそひそと声が上がる。


「お似合いじゃね?」

「可愛いよなあ……」


ルナは、その光景を黙って見ていた。

胸の奥が――きゅっと、音を立てて縮む。


(……ああ)

(あんなふうに)

(可愛く、きゃあって言える子が)

(すぐ傍にいるのは……)


――ちょっと。いや。


(かなり、不安……!!!)


無意識に、ハンカチを握る手に力が入った。

白地に残る、落ちきらなかった血の跡。

それが――なぜか、今の気持ちと重なって見えた。


久々の再会は、嬉しさと、ときめきと、セレナという予想外の存在に少しほろ苦さを覚えながら、ルナは深く息を吐いた。

――だけど今日は、少しだけ特別な日になった。


今回のルナの志願回をお読みくださり、ありがとうございました!


レヴィンの全力ダッシュは、まさに

ε=ε=ε=ε=ε=ヾ(;゜ロ゜)ノ

こんな感じで駆け回っていると思ってください笑


ルナは素直に手を握ったり、ちょっとドキドキしたり、女の子らしい一面を見せながらも、剣士としての真剣さは伝わりましたでしょうか???

読んでくださった皆さんにも、その可愛さが伝わっていたら嬉しいです。


そしていつか――

ルナとレヴィンがお互い素顔で再会できる日が来るといいな、と、私も密かに願っています。


それでは、また次回も是非是非読んでくださいませ!

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