三十四 紫式部VS清少納言、代理戦争勃発
紫式部が清少納言について「したり顔で漢字を書き散らす人」と辛辣に評する。彰子方の女房たちは盛り上がるが、彰子は派閥抗争にしない。「才能ある女同士を戦わせて喜ぶのは、周囲の暇人だけです」と釘を刺す。ただし、清少納言の弱点分析は受け取り、彰子サロンの方針に活かしてゆく。
才能ある女同士を戦わせるのは、たいへん簡単です。
そして、たいへん悪趣味です。
前世でもありました。同じ部署に優秀な女性が二人いる。片方は明るく、発言が早く、人前で強い。もう片方は静かで、資料が深く、文章が鋭い。すると周囲は、すぐ比べます。
――どっちが上?
――あの二人、仲悪いの?
――あの人は派手だけど、こっちは実力派だよね。
――いやいや、現場で強いのはあっちでしょ。
本人たちが頼んでもいないのに、勝手に対立構造を作る。しかも、周囲はそれを楽しむ。
最悪です。
本人たちは、それぞれ別の才を持っているだけなのに。片方の光で、もう片方を暗くする。片方を褒めるために、もう片方を貶す。片方の言葉を、もう片方への武器にする。
これは、御殿を腐らせます。
才能ある女が二人いるなら、二人とも活かせばいい。なぜ、すぐ戦わせようとするのか。
暇だからです。
ええ、暇なのです。そして宮中には、暇な人が多い。とても多い。だからこそ、私は釘を刺さなければなりませんでした。
紫式部と清少納言。
この二人の名が、同じ場で出た瞬間に。その日、藤壺には少し湿った風が入っていました。
春枝は紙箱の湿気を気にし、有子は写本の端が反らないよう重しを置き、小少将は衣の色が重く見えすぎないよう調整していました。
若菜は香炉の灰を整え、澄子は灯の位置を少し下げます。常盤は、廊から持ち帰った噂を赤染衛門に止められています。
「姫様に申し上げる前に、少し整えなさい」
「整えすぎると鮮度が落ちます」
「噂に鮮度を求めすぎない」
そんなやり取りの横で、紫式部は静かに座っていました。彼女は、もう藤壺に出仕しています。まだ完全に馴染んだとは言い切れません。
けれど、紙の場所、写本の扱い、女房たちの役割、相談先、香の強さ、灯の位置。そうした藤壺の仕組みを、彼女は少しずつ理解し始めていました。
紫式部は、よく見る人です。清少納言が明るい刃なら、紫式部は深い針です。表面を斬るのではなく、心の奥へ静かに入ってくる。
怖い。とても怖い。しかし、得がたい人です。その紫式部が、ふと清少納言の話題に触れました。きっかけは、漢籍読み下しの会でした。
有子が以前の記録を持ってきて、白氏文集の句を読み返していた時です。常盤が不用意に言いました。
「清少納言様なら、このような句もその場でさらりと引かれるのでしょうね」
悪気はなかったと思います。単なる感想です。けれど、紫式部の筆が、そこで止まりました。
「清少納言様は」
彼女は、静かに言いました。
「たいそう、したり顔で漢字を書き散らす御方にございますね」
部屋が止まりました。
完全に止まりました。
春枝の手が紙箱の上で止まる。有子の筆が浮いたまま止まる。
小少将が袖を握る。菅原の君は目を輝かせかけて、慌てて伏せる。
常盤は、今にも「来た」と言いそうな顔。赤染衛門は、すっと私を見ました。
来ました。
歴史的名場面です。
紫式部による清少納言評。後世に伝わる、あの辛辣な批評。
才能をひけらかし、漢字を書き散らし、得意顔をしている。もちろん、今この場の言葉は、後世の文章そのものではありません。
でも、方向性は完全にそれです。紫式部は、清少納言が嫌い。少なくとも、かなり警戒している。
そして、見抜いている。清少納言の才が、刃であることを。その刃が、時に人を傷つけることを。
私は黙って紫式部を見ました。彼女は表情をほとんど変えていません。ただ、言葉だけが鋭い。
「漢字を書き散らす、でございますか」
菅原の君が、思わず聞き返しました。
だめです。
その顔は、完全に物語の対立場面を楽しむ顔です。
紫式部は淡々と続けました。
「知らぬ者の前で、知っていることを見せびらかす。問いもしないのに、故事を引き、漢字を散らす。才があるのは確かでしょう。ですが、才を見せる姿が、少し騒がしゅうございます」
常盤の目が輝きました。
赤染衛門が低く言います。
「常盤」
「はい」
「その顔をやめなさい」
「はい」
遅い。もう完全に楽しんでいます。
春枝がおずおずと言いました。
「清少納言様は、怖い方ではありますが、見事な方でも」
「見事です」
紫式部は即答しました。
「だからこそ、危ういのです」
その言い方に、私は少し感心しました。紫式部は、清少納言の才を否定していない。
むしろ認めている。
その上で、使い方を批判している。これはただの悪口ではありません。
分析です。
ただし、感情もあります。かなりあります。
そこが厄介です。
藤壺の女房たちは、明らかにざわつきました。当然です。清少納言は、定子方の象徴です。その清少納言を、紫式部が辛辣に評した。彰子方の女房たちからすれば、これは盛り上がる材料です。
特に常盤。
危険です。
「姫様」
常盤が、少し声を潜めて言いました。
「これは、かなり大きな話にございます」
「でしょうね」
「外へ流せば、登華殿方は」
「流さない」
私は即答しました。
常盤が目を丸くします。
「流さないのですか」
「ええ」
「これほどの言葉を?」
「ええ」
「なぜですか」
常盤だけではありません。菅原の君も、小少将も、有子も、若菜も、私を見ています。赤染衛門だけが、少し安心したように息を吐きました。私は扇を置きました。
「才能ある女同士を戦わせて喜ぶのは、周囲の暇人だけです」
部屋が、しんとしました。常盤が、少し肩を縮めました。
「暇人……」
「ええ。暇人です」
私は女房たちを見ました。
「清少納言と紫式部。どちらが上か。どちらが本物か。どちらが姫様にふさわしいか。そういう話を始めれば、外の者は喜ぶでしょう」
菅原の君が、小さく頷きました。
「物語としては、とても強い対立です」
「そう。だから危険なの」
私は言いました。
「強い対立は、人を惹きつけます。でも、本人たちの才を狭くする」
紫式部は黙って聞いています。
「清少納言は、明るい才、即興の才、観察の才を持っています。紫式部は、深い才、構造を見る才、人の心を掘る才を持っている。違う才です」
私は紫式部を見ました。
「どちらかを持ち上げるために、どちらかを貶す必要はありません」
紫式部の目が、ほんの少し動きました。怒ったわけではない。驚いたのかもしれません。私は続けました。
「もちろん、批評は聞きます。弱点分析も受け取ります。けれど、派閥抗争の燃料にはしません」
常盤が、しゅんとしました。
「燃料……」
「特に常盤」
「はい」
「外へ流さない」
「……はい」
「少納言の君にも?」
「はい」
「廊にも?」
「はい」
「夢にも?」
「夢は」
「流さない」
「はい」
部屋に、小さな笑いが起こりました。緊張が少しほどけます。でも、私は冗談だけで終わらせませんでした。
「紫式部」
「はい」
「あなたの清少納言評は、感情的な部分もあるでしょう」
紫式部は、静かに頭を下げました。
「否定はいたしませぬ」
「でも、分析として有用です」
彼女が目を上げました。
「有用、でございますか」
「ええ」
私は言いました。
「清少納言の強みと弱みを、藤壺の方針に活かしましょう」
赤染衛門は、すぐに紙を出しました。
「姫様。表でございますね」
「ええ」
「題は?」
「清少納言分析表」
「直截すぎます」
「では、才の扱いを考える覚」
「よろしゅうございます」
赤染衛門の修正能力が、日々上がっています。私は、紫式部に向き直りました。
「清少納言の強みを挙げて」
紫式部は少し沈黙しました。悪口なら言いやすい。しかし、強みを挙げるのは少し難しいのでしょう。やがて、彼女は言いました。
「まず、観察が早いこと」
「ええ」
「場の空気を読むのも早い。人の滑稽さを見つける力もございます」
「他には?」
「言葉の反応が鋭い。聞いたものを即座に返す才があります」
「他には?」
「華やかです。御前を明るくする力がある」
紫式部は少し苦そうに言いました。
「それは、私にはございません」
「違う種類の才ね」
「はい」
私は頷きました。
「では弱みは?」
紫式部の声が少し低くなりました。
「才を見せすぎること」
「具体的に」
「知っていることを、知らぬ者の前で誇るように見える時がございます。漢字、故事、機知。すべてが、その場を明るくする一方で、相手を小さく見せることがある」
「なるほど」
「また、鋭すぎる言葉は、聞いた者を萎縮させます」
「それは分かる」
私は、以前清少納言に言った言葉を思い出しました。鋭い刃は、鞘も美しくなくては。紫式部の批評は、あの時の私の感覚と近い。ただし、紫式部の方がもっと辛い。もっと冷たい。もっと深く刺す。
「他には?」
「才が場の中心になりすぎること。本人にそのつもりがなくとも、周囲が彼女を見る。結果、他の女房の声が小さくなる」
赤染衛門が、静かに筆を止めました。
これは重要です。以前、紫式部を迎える前に私が心配していたことでもあります。
天才の孤立。
天才による場の偏り。清少納言は、定子方でそれを起こしていたのかもしれません。あるいは、周囲がそう感じていたのかもしれません。
「つまり」
私はまとめました。
「清少納言の才は、場を照らす。しかし、照らし方が強すぎると、他の者が影になる」
紫式部は頷きました。
「はい」
「では、藤壺ではどうするべきか」
女房たちが、一斉に考え始めました。菅原の君が言います。
「一人の才だけに語らせすぎない」
「よい」
有子が続けます。
「知識は、皆で使える形にする」
「漢籍読み下しの会ね」
春枝が言いました。
「知らない者を笑わない」
「大事」
小少将が言います。
「華やかな方だけでなく、静かな方が映える灯も用意する」
「照明の成果ね」
若菜が小さく言いました。
「強い言葉を受けた時、萎縮した者をそのままにしない」
「とても大事」
澄子が言います。
「場の中心が一人に偏っている時は、座や話題を変えて分散する」
「採用」
常盤が少し控えめに言いました。
「才ある方の言葉を、噂として外へ広げる時は、相手を傷つけすぎないようにする」
「あなたは特に守って」
「はい」
赤染衛門が静かにまとめました。
「つまり、藤壺では、才を称えつつ、才に場を独占させない。知識は共有し、鋭い言葉には鞘を持たせる」
「その通り」
紫式部は、その言葉を聞いて、少しだけ目を伏せました。もしかすると、自分自身にも刺さったのかもしれません。彼女の才もまた、強い。静かで深い分、場合によっては清少納言より怖い。紫式部の批評は、他人への刃であると同時に、自分への鏡でもあります。
とはいえ、女房たちの興奮は完全には収まりませんでした。夕方になっても、菅原の君は小声で言いました。
「清少納言様と紫式部様が、もし同じ場で言葉を交わされたら……」
「菅原の君」
「はい」
「物語にしない」
「まだしておりません」
「頭の中では?」
「少し」
「しない」
「はい」
常盤も、明らかに何かを考えています。
「常盤」
「はい」
「流さない」
「分かっております」
「本当に?」
「はい。ただ、流さずに保存する方法は」
「保存もしない」
「姫様、それは歴史的損失では」
「藤壺の平和が優先です」
赤染衛門が深く頷きました。
「まことに」
紫式部は、そのやり取りを静かに見ていました。そして、少しだけ口元を緩めました。
笑った。
ほんの少しですが、笑いました。
「姫様の御殿は、不思議にございますね」
「よく言われるわ」
「悪口を言っても、表にされる」
「悪口ではなく批評でしょう」
「批評も、表にされる」
「便利だから」
紫式部は、また少し笑いました。
「私の言葉は、時にきつうございます」
「知っています」
「人を傷つけることも」
「あるでしょうね」
「それでも、使われますか」
「使います。ただし、そのままではなく」
私は言いました。
「感情的な棘は抜き、分析を残します」
紫式部は、静かに私を見ました。
「棘を抜かれても、私の言葉は残りますか」
「残ります」
「なら、よろしゅうございます」
その言葉は、少し寂しく聞こえました。紫式部は、自分の言葉が鋭いことを知っている。そして、その鋭さゆえに遠ざけられることにも慣れているのかもしれません。
でも、藤壺ではその言葉をただ怖がらない。かといって、無責任に広げもしない。受け取り、分け、使う。
それは、彼女にとって初めての扱われ方なのかもしれません。
数日後、少納言の君が藤壺を訪れました。
偶然ではありません。絶対に、何か嗅ぎつけています。彼女はいつものように軽やかに頭を下げました。
「姫様には、近頃ますます御帳面が増えておいでとか」
「ええ。必要な分だけ」
「必要な分が、たいそう多うございますね」
「宮中は問題が多いので」
「それは違いございませぬ」
少納言の君は笑いました。そして、ちらりと紫式部を見ました。紫式部は静かに座っています。場の空気が、少し張りました。
来ます。
「こちらが、噂の為時殿の御娘にございますね」
「紫式部です」
私が言うと、紫式部は静かに頭を下げました。少納言の君は微笑みました。
「たいそう筆の深い御方と伺っております」
紫式部も静かに返しました。
「登華殿方には、言葉の早い御方が多いと伺っております」
おお。
初手から少し火花です。女房たちが息を呑みます。常盤の目がまた輝きます。
やめなさい。
少納言の君は、楽しそうに扇を伏せました。
「早すぎて、時に浅く見えましょうか」
紫式部は、表情を変えずに言いました。
「深すぎて、時に暗く見えるよりは、よろしいかもしれません」
菅原の君が、声にならない悲鳴を飲み込みました。物語としては最高でしょう。
でも、ここは現実です。私は扇を閉じました。
ぱちり。
「二人とも」
場が止まりました。
「藤壺で代理戦争を始めない」
少納言の君が、きょとんとして、それから吹き出しました。
「代理戦争」
しまった。前世語に近い。でももう遅い。紫式部も、ほんの少し目を丸くしました。
「姫様。戦を始めたつもりはございません」
「始める前に止めています」
私は言いました。
「清少納言と紫式部を、周囲が勝手に戦わせて楽しむ構図は、藤壺では扱いません」
少納言の君は、笑みを少し深めました。
「では、何として扱われますか」
「別種の才として」
私は答えました。
「走る言葉と、沈む言葉。明るい刃と、深い針。どちらも必要です」
少納言の君は黙りました。紫式部も黙っています。
「ただし、どちらも人を傷つけることがあります。だから、鞘も要るし、使いどころも要ります」
私は二人を見ました。
「藤壺では、才を見世物にしません」
少納言の君が、静かに言いました。
「清少納言様にお伝えしましょうか」
「伝えてもいいわ。ただし、面白おかしくしないで」
「難しゅうございますね」
「努力して」
「半分以上は」
「全部でお願いします」
少納言の君は笑いました。紫式部も、わずかに口元を緩めました。火花は消えません。でも、燃え広がる前に囲いは作れました。
その夜、私は紫式部と少しだけ話しました。女房たちが下がった後、灯を弱め、香も控えめにして。
「今日、不快だった?」
私が尋ねると、紫式部は少し考えました。
「少し」
「ごめんなさい」
「いえ。むしろ、止めていただいて助かりました」
「そう?」
「私は、あのような場で、言葉を引けぬことがあります」
紫式部は静かに言いました。
「相手が鋭いと、こちらも深く刺したくなる」
「分かるわ」
「ですが、刺した後に残るものは、必ずしも才の証ではございません」
その言葉に、私は頷きました。彼女は分かっている。自分の言葉の危うさを。
「清少納言様を、私は好ましく思っておりませぬ」
「でしょうね」
「ですが、姫様の仰せの通り、才はございます」
「ええ」
「ならば、その弱点を言う時も、私怨だけにならぬよう気をつけます」
私は少し笑いました。
「それは助かるわ」
「姫様は、私の悪口も使われるのでしょう」
「感情を抜いてね」
「抜ききれますか」
「努力します」
紫式部は、少しだけ笑いました。
「では、私も努力いたします」
翌日、藤壺では新しい心得がまとめられました。題は、才女の対立を扱う覚。赤染衛門が筆を取り、私が言葉を置きます。
一、才能ある女同士を、周囲の娯楽として戦わせない。
二、強い批評は、感情と分析に分けて受け取る。
三、悪口を噂として流さず、弱点分析として内側で活かす。
四、清少納言の才――観察、即応、華やぎ、言葉の明るさ――を正しく認める。
五、清少納言の弱点――才の見せすぎ、言葉の強さ、場の独占――を藤壺の反面教師とする。
六、紫式部の才――深い観察、構造理解、人心分析、文章の重さ――を活かす。
七、紫式部の弱点――言葉の鋭さ、内向きの批評、孤立しやすさ――にも鞘を用意する。
八、一人の才に場を独占させず、知識と発言を分散する。
九、才を見世物にせず、御殿を育てる力として扱う。
十、代理戦争を始める者には、まず暇かどうかを問う。
赤染衛門が最後の一文で筆を止めました。
「姫様」
「何?」
「最後の一文は、少し」
「だめ?」
「だめではございませんが、表向きの覚には向きませぬ」
「では内々に」
「内々でも危うございます」
結局、最後の一文はこう修正されました。
十、対立を煽る者には、その言葉が御殿を育てるかを問う。
雅になりました。
でも、私の心の中では「暇かどうかを問う」のままです。私は扇を閉じました。
紫式部VS清少納言、代理戦争勃発。勃発しかけました。かなり危なかったです。
紫式部の清少納言評は、確かに辛辣です。したり顔で漢字を書き散らす人。言葉だけ聞けば、悪口です。でも、その中には分析もあります。
清少納言の才は、強く、明るく、速い。だからこそ、見せすぎれば周囲を萎縮させる。鋭すぎれば人を傷つける。場の中心になりすぎれば、他の声を消す。
これは、藤壺にとって重要な情報です。ただし、それを派閥抗争の燃料にしてはいけない。才能ある女同士を戦わせて喜ぶのは、周囲の暇人だけです。
藤壺は、暇人の娯楽に乗りません。
清少納言を下げて紫式部を上げることもしない。紫式部を使って定子方を攻撃することもしない。清少納言の才を否定することもしない。
認める。分析する。取り入れる。必要なら鞘を用意する。それだけです。
石の中宮の御殿には、刃物置き場ができました。明るい刃も、深い針も、剥き出しで振り回せば危ない。でも、きちんと収め、必要な時に使えば、布を裁ち、紙を整え、道を切り開く道具になります。
才は、戦わせるためにあるのではありません。場を育てるためにある。
紫式部も、清少納言も。どちらも、ただの噂の駒ではありません。一人の女であり、一つの才です。
藤壺は、その才を、噂の火にくべません。記録し、分析し、必要な形へ変えます。感情的な悪口を、戦略情報に変える。
それが、藤壺の勝ち方です。
〜 出典史料 〜
『紫式部日記』清少納言批判
清少納言こそ、したり顔にいみじう侍りける人。さばかり賢だち、真名書き散らして侍るほども、よく見れば、まだいと足らぬこと多かり…
〜 舞台背景 〜
紫式部は、平安時代中期の女房、作家、歌人。『源氏物語』の作者とされ、『紫式部日記』を残しており、歌人として『紫式部集』を残した。『後拾遺和歌集』などに入集し、『中古三十六歌仙』『女房三十六歌仙』『百人一首』に選ばれている。後に一条天皇の中宮彰子に出仕する。出典:wikipedia




