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ギャルとオタク、校則について話し合う ③

 ギャルに直接拒絶されたものの、そんなことで折れる俺ではない。

 一時的にショックでフリーズしてしまったが、すぐさま立ち直り、彼女の下校をつけていた。遠くから見たらストーカーだが仕方あるまい。

 てか、本当に嫌われてたらどうしよう、やべ……涙出てきた。


 彼女は帰り際、大きな噴水のある公園に立ち寄るようだ。

 噴水の周りはベンチがあるだけで、オタクが隠れられそうな所はない。


 「おい、オタクいるんだろ。バレバレだぞ、出て来いよ、ちょっと話そうぜ」

 彼女は俺のストーキングに気づいていて、あえてこの公園に来たらしい。


 木の後ろから、オタクはスッと体を出して、ギャルに言い放つ。

 「ふっ、よく気付いたな」

 「お尻だけずっと、隠れてなかったからすぐわかったわ」

 「ほほう、なるほど。噂に聞く、頭隠して尻隠さずってやつか」

 「オタクそれが言いたかっただけかよ」

 「違うぞ」


 ギャルに近づきベンチを指さして、「とりあえず座ってから話そう」とオタクは言った。


 噴水の力で、水が重力に逆らって上がっていき重力に従って落ちている。

 細かい水しぶきが飛んで、霧状の水だけが空気に乗ってこちらまで近づいてくる。

 噴水の水は噂に聞く限り使いまわしなので汚いらしい。しかし遠くから見れば美しいのみだ。

 水が落ちている姿を見ると、なぜか涼しい気分になる。湿度が上がって実際には不快指数が上がるはずなのだが。

 最後の一滴が落ちると同時にギャルは話し始めた。


 「オタクさんやい……もう学校で仲良くするのはやめよう」

 「なぜそんな寂しいことを言うんだ」

 「私のせいで、オタクの評価が落ちるのは嫌なんだよ」

 理由はやはり俺の想像通りのようだ。


 「俺は気にしてない、成績なんてどうでもいい」

 強い意志を込めてはっきりと言った。

 「そう言うと思ったよ」

 ギャルは嬉しそうに柔らかそうな唇を釣り上げて笑った。

 面白い時の笑顔じゃない。嬉しい時の笑顔だとすぐにわかった。

 だがその笑顔はすぐに真顔に切り替わる。と思われたが、また嬉しそうに笑った。

 すぐに真顔に戻るが、口角が上がろうとしてピクピク。そして笑顔になる、それを繰り返して、突然――


 ――自分の両手で頬を叩いた。パンという音が噴水の音でかき消される。


 「気持ちは嬉しいし、オタクは本心でもあるんだろうな」

 ああ、本心だとも、とオタクは思いながら次の言葉を待つ。


 「だけどなオタク。成績が本当にどうでもいい人間は九八点なんて高い点数、取れるはずないんだよ」

 「それは……頭いいから取れちゃうだけなんだよなー」

 自分でもわかる、棒読みの声が出て、アハハはと、から笑いした。

 「私も勉強しているんだから、簡単なことじゃないってわかるぞ」


 昔を懐かしむようにギャルは語る。

 「他のオタクがさ、ゲームが原因でいじめられているとき、ほっとけばいいのにさ、(そのゲームは俺も好きだ)って大声で叫んで、一緒に虐められて、そんな同調圧力に屈しない君が、私は素敵だと思ったよ」

 これが最後だと言わんばかりの雰囲気でギャルは語る。


 「将来ゲームに携わる仕事をしたいって言ってたじゃんか、大手のゲーム会社って頭いいやつしか入れないもんな。だから勉強頑張ってんだろ」

 太陽の光でギャルの目がよく見える。虹彩の茶色さがひどく目立つ。

 その瞳で何もかも見透かされているのだろうか。


 「オタクよ、君がさ、好きなものに対して正直な人間で、その為なら周りの空気を読まない。私はそこが好きなんだよ」

 こんなにも、俺のことを褒めてくれる女性は今後現れるのだろうか、ないだろうな。きっと。


 「その好きなものの中に、私も入ってることは凄い嬉しいよ」と彼女は笑った後、

 「だけど、私のせいでオタクの頑張りが評価されないなんて私は嫌だよ」

 そう悲しげに言った。

 「じゃあ、学校では一人でいる気なのかよ」

 「そうだよ、別にSNSとか、先生に見つからない所でなら、やり取り出来るからいいだろ」

 「ギャルが校則に対して折れるって選択肢はないんだな」

 「ああ、私は間違ってないからな」

 「郷に入ったら郷に従えって言葉もあるぞ」

 「私が納得できる平等なルールじゃないと従う気はない」

 「そうか」

 「だから、私と学校でつるむのはもうやめとけ。私はオタクの為に言ってるんだぞ」

 「断る」

 「はっ? 何言ってんだよ」

 「俺がどうするかは、俺が決める」

 「学校でだけ話さない、仲良くしない、それだけなのに、なんでだよ」

 「学校でギャルと話したいからだ」

 「私がオタクのこと嫌いになるって言ってもか」

 「そんなことでギャルは人を嫌いになったりしない」

 「私は邪魔したくないんだ、オタクの夢を」

 「別にゲームに携わる仕事なんて山ほどある。俺は大丈夫だ」

 ギャルは立ち上がり、少し大きな声で、

 「聞き分けが悪い奴だな、私は無視するからな」と言って、プンスカ怒りながら帰路に立つ。


 オタクはギャルに向かって、「俺はギャルを一人にしないからな」と大声で叫んだ


Twitterとかでも絡んでね。

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