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ギャルとオタク、校則について話さない

誤字脱字報告、感想をいただきました。感謝しかありません。

 晴天、とても気分が良い天気の日。その話は始まった。


 朝のホームルーム、先生が険しい顔で話し始める。

 「えー、最近校外から苦情が入った。学生たちの服装がふしだらという苦情だ。県内でも屈指の進学校であるわが校は、苦情を真摯に受け止め、校則を変更することになった。詳しくはプリントを回すので確認してくれ」


 プリントが前の席のギャルから回される。

 内容は、

 ①女子のスカートはひざ下。

 ②男子は短髪の徹底。

 ③学校に勉学で必要な物以外は持ち込まない。髪の毛は染めてはいけない。

 

 生徒は口々に、やばくない? マジ? えっいきなりめっちゃ厳しくなるじゃん。と各々感想を述べる。


 オタクもプリントを見て、心が震えていた。

 俺のゲームも持ち込み禁止かよ。まじか、最悪だ。

 てか、ギャル大丈夫なのか? ギャル要素全部禁止じゃん。


 「おい、ギャルさんどう思うよ」

 オタクはギャルに、質問をする。

 ギャルはプリントを見て舌打ちをして答えた。

 「マジふざけんなって感じ」とオタクの方を向いて答えた後、席から立ちあがり、

 「センセーおかしいと思うんですけど、横暴だと思います」

 威嚇するように言葉を放った。


 先生はギャルを横目で確認し、教室全体に向かって話し始める。


 「えー、これはもう決定事項なので皆服装を改めてくるように」

 そして、朝のホームルームは終了した。

 

 ◆◆◆


 「ギャル、髪色染め直せよ、イアリングは校則違反だから没収だ、わかったな」

 職員室入り口付近の廊下で、先生に説教を食らっているギャルがいた。

 オタクは近くで身を潜め聞き耳を立てる。


 「何でですか?」とギャルは聞いた。

 「さっき言っただろう、校則違反だからだ」

 「ルールには、理由が必要ですよね、私は理由を聞いているんです。髪の色が違うことで、イアリングをする事で、誰にも迷惑をかけていないのに、何故止める必要があるのですか?」

 ギャルの言葉に棘はない。誠実に疑問として聞いているようだ。

 先生は、ため息をついて説明を始まる。

 「いいか、学校はな、協調性と集団行動を学ぶ場所でもあるんだ。 決められたルールを守る、それは社会に出てからも必要なスキルなんだ。その練習をするためだよ。他にも風紀が乱れるなどもあるな」


 ギャルは淡々と言葉を並べ立てる。

 「私はイアリングをすることで、髪の色が違うことで協調性や集団行動が学べないなんて思いません。風紀が乱れるとも思えません。何故なら宗教が理由で違う格好をしていたりする人も世の中にはいますし、肌の色が違う人もこの世の中にはいますよね。先生は装飾品が違うと、肌の色、髪の色が違うと、協調性が取れなくなると言うんですか? 言うとしたら人種差別や宗教による差別を肯定することになりますよ」

 宗教による服装の違いや、肌の色の違いによる人種差別を題材にした反論。これは強い意見だ。

 

 「校則には染めるのが禁止と書いてあるだろう。別に元から体に備わっているものを否定しているわけじゃないんだよ」

 「ますます意味が分かりません。同じ茶色い髪だとしても、地毛なら良いのですか? 染めた髪と何が違うんですか?」

 「学生の本分は勉学だろう。無駄な部分にソースを使うなと言うことだ。染める時間があるなら勉強してろってことだよ」

 「勉強時間が長ければ成績が良くなると思ってるんですか? 休憩の重要性と息抜きの必要性から話さないとダメですか?」


 先生は反論の言葉が見つからない為か、少し黙ってから、話し始める。

 「わかった、わかった。お前は正しいよ。先生もそう思う。だけどな、正しいだけじゃ世の中うまく渡れないんだよ」

 「正しいだけじゃ渡れない世の中を正しさで渡れるように促すことが人間として重要なことでしょ」

 「お前は頭が悪くないからな、今から言う言葉を言えば黙るだろうな。最後まで使いたくなかったけど言うぞ」

 「どうぞ、構わないですけど」

 先生は、一呼吸おいて説明する。


 「教師に逆らって、お前を評価する人間に逆らって、何かお前の人生に良いことがあると思うか?」


 オタクは思った。この言葉は一種の脅しだ。しかし真実でもある。人間は誰かに評価され続けて生きている。それは親、教師、上司であり、人間社会で既存のグループに所属し続ける限り一生続く。

 評価が高い人間は高い地位に、自由に仕事を選ぶことが出来るのが一般的で、だからこそ、皆高い評価を求めて高めあう。

 オタクは寒気がした、誰かに一生評価され続ける人生、嫌すぎる。なんでこんなレールに俺たちは乗ってるんだ。


 オタクは目をつむった、先生の言葉の脅しにギャルが屈する所を見たくないのだ。

 正しい人間が権力に屈して負けるところなど見たくない。

 しかし、聞こえて来た言葉は力強く予想外の言葉だった。



 「あります。ここで折れてしまったら私は一生後悔する」


 彼女は自信満々の声で、言葉を発する。


「正しいことを主張して貫き通した自分であれば……未来の私は、過去の私を誇ることが出来るのです。そんな自分が私は欲しいんです」


 オタクはこの時気がついた。学校でゲームをしていない自分がいることに。

 何故俺は校則が設定されてから、ゲームを休み時間にしないんだ? 校則が理由? 守る必要があるのか? 学校は勉強しに来る場所だ。ゲームを持ってきてはいけない場所じゃないだろう。そもそも、本質的に何かしてはいけない何て縛られるのはおかしい。誰にも迷惑かける行動でないなら、自由にしていいはずだ。


 ギャルの言葉を聞いてそう思った。

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