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バトルファイル  作者: クバ


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19/22

バトルファイル 013-1 VSアップグレード

冷却UIの試作が各パイロット毎に試装された数時間後。




今航海2度目の接敵。




1度目は海賊未満の強奪船だったが、今回の敵は中型船2艦と大型船1艦の艦隊。

どうやら後方の中型船に追尾されていたようだ。


挟撃を逃れる為にヒュウガは護衛対象のシロナガス級大型輸送艦を庇いながら天頂方向に進路変更、前後の海賊船から各三機の発進が感知された。



護衛船ヒュウガ艦橋。


オペレーター1

「敵宇宙機前方6、後方3。本艦はシロナガス級を守りつつ進路0-12-0速度80」

オペレーター2

「コード2293、プリーニオ機、ラルズ機、投棄」


開いた宇宙機デッキハッチから、ダミーバルーンが膨らんだ疑似コンテナが多数投棄され、その中にプリーニオ機とラルズ機は潜んでいた。


積荷の投棄による軽量化と敵意コントロール。

宇宙運輸業の危機マニュアルに沿った対応を模した作戦である。

積荷を狙う海賊が投棄されたコンテナを攻撃することはない。と戦術部から説明を受けていても、ハイになった海賊のヒャッハーまでは保証できない。

海賊の宇宙機がコンテナを無視してヒュウガ方面に進路を取るまでは、レーダーを睨んでお祈りである。


海賊宇宙機は9機のうち8機はヒュウガを追尾し、1機だけが投棄されたコンテナへ群と進路を取った。


プリーニオ

「ちっ。余計な知恵付けやがって。確認に来たか」


コンテナ外の様子を見る小型カメラでは、死角が多くて海賊宇宙機の軌道を追いきれないが、プリーニオはビーム出力のダイヤルを最大まで捻った。

一撃で仕留める構えだ。


だが、上げた出力が敵に感知される。


驚いたように海賊宇宙機が姿勢制御し、プリーニオが隠れるコンテナを正面に捉える。



その時。



海賊宇宙機の真後ろのコンテナが破裂。中から手足の生えた宇宙機が現れた。

ラルズ機である。



海賊宇宙機が、即座に機を反転させてラルズ機を正面に捉えようとした瞬間。

ラルズ機は機体上面のポスチェスラスターを連続暴発させて、海賊宇宙機の下側に潜り込む。

そして射線が空いた瞬間。コンテナからの最大出力ビームが、至近距離の海賊宇宙機を背後から貫く。


背後のメインスラスターを撃てるならこれ程の出力は要らなかっただろうが、臨機応変の結果である。

海賊宇宙機の爆発と破片の飛散によって、バルーンコンテナは次々に破裂し、超至近の爆発でプリーニオ機ラルズ機共にセンサー類が再起動のサインを出す。



プリーニオ

「ナイス判断だラルズ!射線空けまで完璧だぜ」

ラルズ

「何か感知しての動きならパルス上げたんじゃないかと思いましてね」

プリーニオ

「コンテナの反応が消えちまったから、作戦はバレただろうが位置的には挟撃だ。隊長機を探して数を減らすぞ」

ラルズ

「了解!」


両機はセンサーの再起動完了を待たずに、天頂方向へと加速した。




護衛艦ヒュウガ艦橋


オペレーター1

「コンテナ連鎖爆破!……無事です!プリーニオ機ラルズ機共に動き出しました」

オペレーター2

「エース機ハンチョウ機発進。ヒュウガと距離を取れ」


ハッチが開ききらない内に、最小限のスキマから艦外へと飛び出すエース機と、シークエンス通りに発艦するハンチョウ機。


エース

「ツーマンセルじゃなくても良かったが?」

ハンチョウ

「牽制メインでやらせて貰うわ。スコアはどうぞ」


ブリッジクルー

「パイロットって見つからないもんですね」

「ラルズにたまたま適正があっただけで、普通は退役軍人か海賊からのリクルートだからな」

「エースさんは軍からスカウトって聞いたけど?」

「妹が難病で医療費で釣ったってよ」

管制管

「そこ!本人を眼の前にして言えない言葉は、居なくても使わない!」

ブリッジクルー

「「はぃ!!」」




先に戦闘状態に入ったのは、追尾される位置関係のエース機とハンチョウ機。

エースが大胆に敵編隊を割って爆雷を撒き、ヘイトを掻っ攫う。


ハンチョウ

「さっすが」


ヒュウガ方面に抜ける海賊宇宙機が居ない事を確認して、ハンチョウは乱戦に入らない位置にデブリ溜まりを発見。隠密狙撃を試みる為に移動する。


3機1組のポジションを取ろうとする海賊宇宙機。その間を強引に通り、実弾を浴びせて離脱していくエース機。

隊列を維持できずにエース機を追い回す海賊宇宙機からは「やろう!なめやがって!」の声が聞こえてきそうである。


頭に血が登った海賊宇宙機に太いビームが突き刺さる。

約1秒照射されたビームは、貫通こそしなかったが、海賊宇宙機上面の耐ビーム塗膜の殆どを蒸発させた。


海賊パイロット1

「この……殺しきれなかった事を後悔させてやるぜえええ!」

海賊パイロット2

「待て!塗膜残量を報告するんだ!モニター出来ねえって母艦が……」


僅か12%だった塗膜残量表示が0になり、海賊宇宙機は光に包まれた。


牡丹のような赤くて丸い花が宇宙空間に咲く。


海賊パイロット2

「くっそ!あいつらコレで連携とれてんのか?!うっつうおおお!!??」


海賊宇宙機内のモニター片面を埋め尽くす赤いスクエアは、実弾の連続被弾を表し、塗膜と装甲を食い破った実弾がコクピットに侵入、血と樹脂を撒き散らして暴れまわる。


1つ目の牡丹が萎みきらない内に、もう1朶(いちだ)。漆黒の空間に花が咲く。



ヒュウガ艦橋


オペレーター1

「エース、連続スコア!」


艦橋に歓声と感嘆が入り混じった声が流れたその時。

プリーニオから通信が入る。


プリーニオ

「ヒュウガ。そっちで海賊宇宙機の軌道追えてるか?」

オペレーター1

「いえ、大まかな位置だけです。どうしました?」


プリーニオ

「俺が今追っかけっこしてる海賊宇宙機。ビームミスファイアリングスラスターじゃねえかと思う」


ブリッジクルー

「「まさか!?」」

法務部ウルナン

「くっ!」


驚愕の声であふれる艦橋。戦闘をモニターしていた法務部若手のウルナンは苦い表情を滲ませる。



プリーニオ

「しかも実弾とビームの併装だ……。こりゃ……」


通信回線に冷たいモノが流れた。

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