表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元トレーダー、金アレルギーなのに金本位制の異世界に翻弄される  作者: 夜明け一葉
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/94

第70話『重なる問題』

朝、棚の前に駆け出しが二人来た。


一人が淡く濁った初級ポーションを手に取って、価格札を確認する。


「高くなったな」


「効能が他店のものより高いため、価格を改定しました」


ミレイが迷わず答える。


「まあ、確かに効くしな」


男が三本取って代金を払う。もう一人も二本買って出ていく。


棚の様子を確認する。品切れまでの本数を頭に入れながら、作業場に戻る。


値上げから数日、大きな抵抗はない。効能が実感されていれば、価格が上がっても客は来る。


昼を過ぎたころ、冒険者ギルドの採取クエスト担当が素材を持って来た。ミレイが受け取り手順を確認しながら対応する。


代金を払って、控えを引き出しに入れる。手順が身についている。


横から素材袋を開ける。アオバクサとスイショウカズラの実——三回目の納品だ。


「いいか、これを見分けられるようになってくれ」


ミレイが向き直る。


「アオバクサは葉脈に青い光が残っているものが良くて、これが薄くなっていたら鮮度が落ちている。スイショウカズラの実は透明に近い薄青で——傷や変色があるものは省く」


ミレイが葉を一枚手に取り、光に透かした。


「この光が薄くなると駄目ということですか」


「そうだ。使えないわけじゃないが出来が落ちるから、疑わしいものは分けておいてくれ」


「分かりました」


次の受け取りからミレイに任せる。製造に使う集中できる時間が少し増える。


リナが装備をつけたまま入ってきた。第三層から上がってきたばかりの顔で、水を一口飲んでから話す。


「今日、倒れているパーティを見た。第三層の奥で、三人のうち二人が動けなくなっていた」


「症状は」


「体がだるい、傷が治らないって言ってた。一人が持っていたダンジョン産の上級ポーションを使ったら、しばらくして動けるようになった」


「食事の内容は分かるか」


「聞いたら、干し肉と固いパンだけだったって。果物とか野菜は持ち込んでいなかった」


(やはりそうか)


イルゼとバルドから聞いた話と一致する。保存食だけで数日過ごした結果だ。


「その人たちは今どうしている」


「ギルドに戻った。回復はしたけど、完全ではなさそうだった」


リナが出ていく。


作業台に向かいながら、頭の中で整理する。


(ダンジョン産の上級ポーションで治る——保存食の問題だとすればポーションで治るはずがないが、実際に治っている。何かが噛み合っていない)


(原因が分からないまま動いても無駄だ。今は保留にして、情報が揃ったら考える)


夕方の仕込みに入る前、作業場の棚からミツロウソウの雫の小瓶を出した。


仕込みは淡く濁った初級ポーションの分が一通り終わっている。最後の一本だけ、別にとっておいた。


鍋の液体に指を近づける。火から下ろして少し経つ——まだ温度は高すぎない。


小瓶の口を開けて、一滴だけ垂らす——鮮度が命と分かっているから、開封してすぐ使う。温度が高すぎると成分が壊れる感触があったので、火から下ろしてから少し待った。


濾過に入る。布の上で丁寧に繊維をすり潰しながら通す。


出来上がった液体を確かめる。いつもの淡濁の緑より、わずかに色が深い。


底に刻印を入れて棚に置く。


(色が変わった——効能が上がっている可能性があるが、量産するには毎回開封直後の新鮮な雫が要るし、今持っているのは一本だけだ)


問題は鮮度だ。採取してから使えるまでの時間が短い素材を、クエストで安定確保できるかどうかは分からない。


今日のところは一本の試作品を確認した。それだけだ。


---


【借金メモ・70話終了時点】

前話(69話)終了時:資金銀貨一枚と小銀貨六枚と大銅貨二枚・残債大銀貨三枚と銀貨二枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

70話収入:初級ポーション(作淡濁:緑)二十本(小銀貨一枚×二十=銀貨二枚)+初級ポーション(作澄:緑)七本(大銅貨八枚×七=小銀貨五枚と大銅貨六枚)=銀貨二枚と小銀貨五枚と大銅貨六枚

70話支出:従業員給与ミレイ(大銅貨七枚)+フィア・ソル・充填×二(小銀貨一枚と大銅貨六枚)+採取クエスト素材代三回目(アオバクサ三十枚・スイショウカズラ二十粒分・小銀貨一枚と大銅貨四枚)+リナ帳簿管理費(小銀貨一枚・今月分・ミレイ引き継ぎにより終了)+食事分(大銅貨一枚)=小銀貨四枚と大銅貨八枚

残債充当:銀貨二枚を充当→残債大銀貨三枚と銀貨二枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚から充当→大銀貨三枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

ケイの資金:銀貨八枚と大銅貨六枚

残債:大銀貨三枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

---

【所持アイテムメモ】

ポーション類

 初級ポーション(作淡濁:緑) × 20本(今夜仕込み分・翌朝棚補充予定)

 初級ポーション(作淡濁:緑・試作強化版) × 1本(ミツロウソウの雫一滴添加・効能確認待ち)

 初級ポーション(作澄:緑) × 7本(今夜仕込み分・翌朝棚補充予定)

 初級ポーション(作濁:黄緑) × 大保存瓶三本(満杯・保管中・旧在庫)

 初級魔力ポーション(作淡濁:白) × 製造中(ケイ直接・小銀貨三枚で販売中)

 初級魔力ポーション(作澄:白) × 製造中(ケイ直接・小銀貨三枚で販売中)

 初級魔力ポーション(作濁:白) × 大保存瓶一本目充填中(4本/20本)


素材類

 シロクサ乾燥葉 × 約四十枚

 ハコネソウ生葉 × 約四十六枚

 イヤシゴケ乾燥粉 × 約四十一グラム

 アオバクサ生葉 × 八十枚(三回目納品追加)

 スイショウカズラの実 × 五十粒(三回目納品追加)

 ミツロウソウの雫(小瓶) × 一本→試作で使用済み・残量わずか(要補充)

 ホシクサの露(小瓶) × 一本(解析済み・日の出前採取必須)


道具類

 調合道具一式(購入済み) × 石臼・土鍋・計量皿一式×二組

 保存瓶 × 約二十本(刻印済み・運用中)

 精密型刻印魔道具 × 一個(稼働中)


---

読んでくださってありがとうございます。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや★評価で応援していただけると嬉しいです。更新の励みになります。

次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ