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元トレーダー、金アレルギーなのに金本位制の異世界に翻弄される  作者: 夜明け一葉
第3章

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第69話『雫と値段』

朝、天秤座の担当者が来た。


「少しよろしいですか。価格についてお話があります」


「聞く」


「淡く濁った初級ポーションの件です。ここ数日、他の錬金術師からの問い合わせが増えていまして、効能が他店より明らかに高いにもかかわらず価格が同じか低いため、市場の均衡が崩れると懸念する声が出ています」


「値上げを求めているか」


「強制する権限はありませんが、市場調整の観点から適切な価格帯に移行していただければという要請です。初級ポーションが大銅貨八枚であれば、淡く濁った初級ポーションは小銀貨一枚前後が妥当と考えます」


担当者が出ていく。


(天秤座が動くほど効いていたか)


棚に並んだ淡く濁った初級ポーションを一本取り上げる。大銅貨六枚——市場の最安値に近い価格で出していたが、信用を取るためにそこから始めた意図はもう果たした。


「ミレイ、今日から淡く濁った初級ポーションは小銀貨一枚にする。初級ポーションは八枚のまま——看板の価格表も変えてくれ、リナに書いてもらう形で」


「分かりました」


ミレイが頷いて棚の前に立つ。


昼、ミツロウソウの雫のことが頭をよぎった。


作業場の棚の奥に仕舞ったままの小瓶が一本ある。ダンジョン産、効能不明、解析待ち——ずっとそのままにしていた。


今日はフィアとソルが回しているので、自分の手は空いている。


小瓶を取り出して光に透かす。透き通った淡い黄色で、蜂蜜に近いがもっと澄んでいる。


——一度、確かめる。


瓶の封を開けずに指先を当てて、意識を集中する。


回復を促す成分があるが、単体では弱い——他の素材と合わさったときに引き出される性質のようだ。温度が高いと成分が壊れ、時間が経つほど薄くなる感触もある。


解析を閉じる。


(回復系のポーションに混ぜれば、効能が伸びる可能性がある。ただし鮮度が落ちやすい——仕込みのたびに新鮮なものを用意できるかどうかが問題だ)


続けて、もう一本取り出す。ホシクサの露——澄んだ水色で、星明かりに透かすと光る。


指先を当てた瞬間、微量の魔力が指先から吸われる感触がある。疲れが出るほどではないが、確かに引っ張られた。


意識を集中する。


魔力に関わる成分があるが、こちらも単体では弱く魔力系のポーションと合わさることで効果が出る性質だ。ただし日光を浴びると成分が消えるから、採取できる時間帯が決まっている。


解析を閉じる。


(初級魔力ポーションに混ぜれば使えるかもしれない——ただし素材の確保の仕方から考え直す必要がある)


小瓶を二本とももとの場所に戻す。


夕方、採取クエストの使いが来た。


アオバクサ生葉三十枚、スイショウカズラの実二十粒——二回目の納品だ。


状態を確認すると、一回目よりわずかに葉の光が強い。同じ採取者が慣れてきているのかもしれない。


(この品質が続くなら、初級魔力ポーションの出来も安定する)


夜、石臼を動かしながら今日のことを並べる。


価格を上げた。淡く濁った初級ポーションが小銀貨一枚——初級ポーションより大銅貨二枚高くて、効能の差が価格に反映された形だ。


(ミツロウソウの雫は回復系のポーションと混ぜると効能が伸びる性質がある——ただし鮮度が落ちやすい。仕込みと同じタイミングで用意できるかが問題だ)


(ホシクサの露は魔力系のポーションに合わせれば使える——ただし採取できる時間帯が限られている。それをどう確保するか)


次の試作をいつ入れるかを考えながら、石臼を動かし続ける。


---


【借金メモ・69話終了時点】

前話(68話)終了時:資金銀貨二枚と小銀貨四枚と大銅貨四枚・残債大銀貨三枚と銀貨五枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

69話収入:初級ポーション(作淡濁:緑)二十本(小銀貨一枚×二十=銀貨二枚)+初級ポーション(作澄:緑)七本(大銅貨八枚×七=小銀貨五枚と大銅貨六枚)=銀貨二枚と小銀貨五枚と大銅貨六枚

69話支出:従業員給与ミレイ(大銅貨七枚)+フィア・ソル・充填×二(小銀貨一枚と大銅貨六枚)+採取クエスト素材代二回目(アオバクサ三十枚・スイショウカズラ二十粒分・小銀貨一枚と大銅貨四枚)+リナ帳簿管理費(小銀貨一枚)+食事分(大銅貨一枚)=小銀貨四枚と大銅貨八枚

残債充当:銀貨三枚を充当→残債大銀貨三枚と銀貨五枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚から充当→大銀貨三枚と銀貨二枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

ケイの資金:銀貨一枚と小銀貨六枚と大銅貨二枚

残債:大銀貨三枚と銀貨二枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

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【所持アイテムメモ】

ポーション類

 初級ポーション(作淡濁:緑) × 20本(今夜仕込み分・翌朝棚補充予定・小銀貨一枚)

 初級ポーション(作澄:緑) × 7本(今夜仕込み分・翌朝棚補充予定・大銅貨八枚)

 初級ポーション(作濁:黄緑) × 大保存瓶三本(満杯・保管中・旧在庫)

 初級ポーション(作濁:緑) × 大保存瓶四本目充填中(累計15本/20本で満杯)

 初級魔力ポーション(作淡濁:白) × 製造中(ケイ直接・小銀貨三枚で販売中)

 初級魔力ポーション(作澄:白) × 製造中(ケイ直接・小銀貨三枚で販売中)

 初級魔力ポーション(作濁:白) × 大保存瓶一本目充填中(1本/20本)


素材類

 シロクサ乾燥葉 × 約四十枚

 ハコネソウ生葉 × 約四十六枚

 イヤシゴケ乾燥粉 × 約四十一グラム

 アオバクサ生葉 × 六十枚(二回目納品追加)

 スイショウカズラの実 × 四十粒(二回目納品追加)

 ミツロウソウの雫(小瓶) × 一本(解析済み・安定化・保存性向上の性質を確認)

 ホシクサの露(小瓶) × 一本(ダンジョン産・効能不明・解析待ち)


道具類

 調合道具一式(購入済み) × 石臼・土鍋・計量皿一式×二組

 保存瓶 × 約二十五本(刻印済み・運用中)

 精密型刻印魔道具 × 一個(稼働中)


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読んでくださってありがとうございます。

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