表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元トレーダー、金アレルギーなのに金本位制の異世界に翻弄される  作者: 夜明け一葉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/94

第66話『後日談』

朝の仕込みが一通り終わったころ、扉が開いた。


ガッシュが先頭で入ってくる。ミーナとテオが後ろに続く。


「よかった、いた」


ガッシュが棚を一度見てから、カウンター越しに立つ。


「騒がしかったな。落ち着いたか」


「落ち着いた」


「ならいい」


それで終わりそうな雰囲気だったが、ミーナが横から口を挟む。


「大変だったじゃない。偽物が出回って、噂まで流されて」


「話が広まるのが早かった」


「だから打ち消してたんだよ。酒場とか、ギルドの掲示板の前で、変な噂を話してる人がいたら違うって言って回って」


少し間を置く。


「それは知らなかった」


ガッシュが少し目をそらす。


「大したことじゃない。刻印のない偽物が出回ってるって話はギルドでも知れ渡ってたから、そっちの話を合わせてしただけだ」


テオが棚の一本を手に取り、底面を確かめてからそっと戻した。


「……ありがとう」


ガッシュが小さく頷く。ミーナが首を傾ける。


「お役に立てました?」


テオは何も言わなかった。


ミレイが三人分の水を出す。ガッシュが受け取って一口飲み、棚を改めて見る。


「品数が増えたな」


「量産の体制が整った。一日三十本——フィアの加熱を二鍋に増やしてソルの濾過も回転を上げて、仕込みの時間が読めるようになってきた」


ガッシュが頷く。


「それだけ出せるなら、ダンジョン組も安定して買えるな」


---


昼前、天秤座から使いが来た。


「損害補償の算定が出ました——大銀貨三枚です。トリウスと商人の男は本日付けで追放処分が確定しましたので、補償は本日より受け取り可能です」


使いが書面を置いて出ていく。


そのまま天秤座へ向かう。担当者に書面を渡して確認を取ると、大銀貨三枚を受け取った。


店に戻って帳簿を出す。今日の収支と補償分を合わせて計算する。


補償の大銀貨三枚を残債に充当して、今日の収支から銀貨三枚を返済に回せる——残債は大銀貨三枚と銀貨八枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚になる。


大銀貨三枚台。ここ数週間で初めて見る水準だ。


(次で大銀貨二枚台に入る)


---


午後、店が混んでいた。


駆け出しが二人連れで入ってきて、棚を見比べる。


「これが本物か」


「底面に刻印が入ってるやつが本物ですよ」


ミレイが手際よく底面を見せながら説明し、一人が三本、もう一人が二本を買って出ていった。次の客もすぐ来る。


夕方のミレイの報告。


「三十四人でした」


三十四人——偽物騒動が始まる前の最高来客数を超えた。


---


夜、仕込みを終えたところでリナが来た。借金帳簿を脇に抱えている。


「今日の補償分、更新しておくね」


帳簿を広げて数字を確認し合う。


「残債は大銀貨三枚と銀貨八枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚で合ってる?」


「合っている」


「次の返済で大銀貨二枚台に入れる」


「入れる」


リナが帳簿を閉じてから、少し間を置く。


「そのうちダンジョン組にも定期で売れそう。バルドさんに話してみようかな」


「それより——ダンジョンに長期で潜った後、体がおかしくなる冒険者がいるという話はないか」


リナが顔を上げる。


「ある。ダンジョン病って呼ばれてるやつで、第三層以降を数日かけて攻略したパーティが戻ってきたとき体がだるくてポーションを飲んでも治りが悪い——そういう状態になってる人を何人か見た」


「保存食しか食べていなかったはずだ」


「干し肉と固いパン、あとは塩漬けで、それ以外は重くて持てない。ダンジョン産の上級ポーションなら治るって話はあるけど高くて、深層を攻略するパーティ以外は大抵持っていかない。」


少し黙る。


(体がだるい、傷の治りが悪い——元の世界でいえば壊血病に近い症状だが、ダンジョン産の上級ポーションで治るなら食事の問題とは別の何かが絡んでいる可能性もある。断定できないが、もしかして壊血病と同じ原因なのかもしれない)


「ダンジョン病の詳しい話はどこで聞ける」


「薬師か、バルドさんならちゃんと知ってると思う。ギルドで症例を記録してるはずだから」


「明日、確認する」


リナが立ち上がる。石臼を出す。


今夜の仕込みを始めながら、ダンジョン病のことを頭の中で並べ始めていた。


---


【借金メモ・66話終了時点】

前話(65話)終了時:資金銀貨三枚と小銀貨三枚と大銅貨二枚・残債大銀貨七枚と銀貨一枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

66話収入:初級ポーション(作淡濁:緑)二十本(大銅貨六枚×二十=銀貨一枚と小銀貨二枚)+初級ポーション(作澄:緑)七本(大銅貨八枚×七=小銀貨五枚と大銅貨六枚)=銀貨一枚と小銀貨七枚と大銅貨六枚

ゴルゴ損害補償:大銀貨三枚→残債に直接充当

66話支出:従業員給与ミレイ(大銅貨七枚)+フィア・ソル・充填×二(小銀貨一枚と大銅貨六枚)+リナ帳簿管理費(小銀貨一枚)+食事分(大銅貨一枚)=小銀貨三枚と大銅貨四枚

補償充当後残債:大銀貨七枚と銀貨一枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚-大銀貨三枚=大銀貨四枚と銀貨一枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

残債充当:銀貨三枚を充当→大銀貨四枚と銀貨一枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚から充当→大銀貨三枚と銀貨八枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

ケイの資金:銀貨一枚と小銀貨八枚と大銅貨四枚

残債:大銀貨三枚と銀貨八枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

---

【所持アイテムメモ】

ポーション類

 初級ポーション(作淡濁:緑) × 20本(今日仕込み分・翌朝棚補充予定)

 初級ポーション(作澄:緑) × 7本(今日仕込み分・翌朝棚補充予定)

 初級ポーション(作濁:黄緑) × 大保存瓶三本(満杯・保管中・旧在庫)

 初級ポーション(作濁:緑) × 大保存瓶四本目充填中(累計3本/20本で満杯)

 初級魔力ポーション(作淡濁:白)× 完売

 初級魔力ポーション(作澄:白) × 完売

 初級魔力ポーション(作濁:白) × 大保存瓶一本目充填中(1本/20本)


素材類

 シロクサ乾燥葉 × 約三十七枚

 ハコネソウ生葉 × 約四十三枚

 イヤシゴケ乾燥粉 × 約三十八グラム

 アオバクサ生葉 × 残一枚(次回試作不可)

 スイショウカズラの実 × ゼロ

 ミツロウソウの雫(小瓶) × 一本(ダンジョン産・効能不明・解析待ち)

 ホシクサの露(小瓶) × 一本(ダンジョン産・効能不明・解析待ち)


道具類

 調合道具一式(購入済み) × 石臼・土鍋・計量皿一式×二組

 保存瓶 × 約五十五本(刻印済み・運用中)

 精密型刻印魔道具 × 一個(稼働中)


発注・依頼中

 採取クエスト(冒険者ギルド・Eランク以上指定)アオバクサ・スイショウカズラ:ウォルの森湧き水周辺・発注済み・未納品


採用・勤務中

 販売員:ミレイ(天秤座保証・正式長期契約・日当大銅貨七枚・六ヶ月更新)

 生産者A(加熱担当):フィア

 生産者B(濾過担当):ソル

 充填作業員×二

---


読んでくださってありがとうございます。

続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや★評価で応援していただけると嬉しいです。更新の励みになります。

次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ