表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/113

25.戦いの終幕と…

 私の体から炎がじわりと放たれる。

 アルやミリアさん、リアムもそれぞれ体から魔力が放たれる。




「……面白い、その挑戦、受けてやろうではないか……!!」




 バアルがそう言った瞬間、魔法を発動しようとしたバアルの動きが止まる。

 ……私はハッとしてローレンスを見ると、ローレンスは私を見てニッと笑ってみせる。




「俺もアルにばっかり格好良いところ持っていかれたくないからね」

「ローレンス……」




 私はふふっと思わず笑ってしまう。




 すると、今度はパァッと当たりが弾ける。

 ……その光は、紛れもなくミリアさんの光で。

 その光が少しおさまった頃には、悪魔は時の魔法を解いたのか、目を抑え蹲るようにしていた。




 それを見ていたら、不意にアルが私の手を引っ張る。

 え、と突然のことに驚く間も無く、アルは自分の剣を抜いて、一気にその剣に魔力を込めた。

 その瞬間、鋭い氷をまとった剣が出来、驚く私にアルは言った。




「クラリス、今のうちに、この剣に対悪魔用の火を纏わせてほしい」

「! やってみるわ!」




 私は初めての試みに、上手くいきますようにと祈りながら、ぎゅっと目を閉じ、全神経を集中させる。

 すると、青白い炎が剣の刃を包み込んだ。

 私はアルと顔を見合わせ、にっこりと笑ってみせると、アルも笑みを返してくれた。




 そしてその剣を高らかに掲げ、私達は次の瞬間、瞬間移動魔法で悪魔の背中に回っていた。

 そして、私とアルは、その背中目掛けて一気に振り下ろす……。






「グワァァァァァッッッ―――」







 と断末魔のような悲鳴を上げて、バアルは悶え苦しむ。

 私達はすぐに瞬間移動魔法でその場から離れると、今度は精霊王様方自らバアルの前に立った。

 そして、口々に口を開く。




「呼び出されたついでに、お主をこのままお主のいるべき場所へ帰してやろう」

「但し、二度とここへは戻ってこられないようにな」



 そう言った後、その二人の視線はリアムに向く。

 リアムは驚いたように固まる。



「リアムとやら、力を貸すのじゃ」

「あの姫様を助けたいんだろう?」



 今度はちらっと私を見る二人。 リアムも一瞬私を見て……頷くと、二人に歩み寄った。




「何をすればよろしいですか?」

「竜巻を起こしてほしい。 空に、バアルがこちらの世界に入り込んできた空間があるのじゃ。

 そこまでバアルを一気に押し込む」

「! 分かりました、やってみます……!」




 リアムの髪がブワッと風でたなびく。

 呪文を唱えたと同時に、バアルの周りを取り囲むように、一気に風が渦を巻く。

 私達は砂埃で目を開けることさえできない。

 なんとか凝らして見ていると、精霊王様方はなんと、その渦の中に飛び込んだ。




 これには皆驚いていると、やがてその風と一緒に火と水がぐるぐると、まるで張り合うかのように渦を巻く。

 ……その光景は、ミリアさんの光の魔法と相俟ってキラキラと輝きを放ち、とても幻想的な光景で。

 皆息を呑んでその光景を見ていると、やがて悪魔のつんざくような悲鳴と、突風が起こる。




 アルが私を庇うようにしっかりと抱き寄せ、風から私を守ってくれた。

 ぎゅっと目を瞑っていた私は、風が止んだのを見計らって、恐る恐る目を開ければ。





「……! わぁ……!」





 私の声に、アルも驚いたように目を見開く。




 ……私の目の前に広がったのは、さっきまで曇天だった空が嘘のように晴れ、その空には大きな虹が輝く光景で。

 その虹を背景に、精霊王様方が私とアルを見据えていた。

 私はお礼を、と言葉を紡ごうとするより先に、火の精霊王様が私を見て言った。




「其方の力、見事じゃった。 お主は正真正銘、ランドルの血を引く者。

 バアルを含めた悪魔達はもう、お主らには悪さが出来ぬよう、魔界へ送り飛ばしておいたから、安心するがよい。

 ……それに、仲間を助けるために使う其方の力、妾は気に入った。

 いつでも助けになろう」

「……! 有難う御座います……!!」





 嬉しくてそう言えば、その火の精霊王様の隣で苦々しそうにぼやく水の精霊王様。




「はぁ。 お前がそう甘やかすから、そっちの王子様が俺を良いように毎度使うんだろう。

 やめてくれ」

「ふんっ、お主はシュワードの精霊王なのだからそんなものはお主が解決すれば良いだけの話じゃ」





 その言葉に、私はえっ、とアルを見て怒る。





「ちょっとアル! 毎度って……まさか精霊王様にまでご迷惑をおかけしているんじゃ……!」

「嫌だな、クラリス。 そんなことはないよ」


 


 なんて軽く笑いながら平然と受け流すアル。

 ……その言動と表情に、私はハッとする。







「……アル、貴方まさか、記憶が……!!」






 アルは私をじっと見つめると……やがてゆっくりと、大好きな笑みを浮かべて口を開いた。




「……ただいま」




「……!」






 その言葉だけで、十分だった。

 今度は私の目から、涙が溢れて止まらない。

 アルは困ったようにオロオロとしていたが、私の手をぎゅっと握ると、精霊王様方に頭を下げた。





「有難うございました」




 そうお礼を言うアルに、私も慌てて頭を下げると、水の精霊王は戸惑ったように声を上げる。



「な、なんだ、アルベルト。 気色が悪い。

 お前はいつも俺に礼なんか言うやつじゃ」

「お主は少し黙っておれ」



 大好きなお姫様の前ではかっこうをつけたいんじゃろう、と口にする言葉が小さく聴こえて、アルに怒ろうとしていた私は、恥ずかしさと嬉しさで顔が赤くなるのが分かる。

 二人の精霊王様方はそんな私とアルを見て「やってられん」と呟くと、その姿が徐々に消えていく。





「……そろそろ時間じゃ。

 クラリス、アルベルト、ローレンスにミリア・オルセン。

 それと、リアム・バートンにシリル・ダンヴィル。 ……お主達に祝福を」






 そう火の精霊王が言って、空中を軽く足を蹴った瞬間、キラキラと光の粒が舞い落ちてくる。

 それと同時に、私達の目の前から忽然と、姿が消えていたのだった。





 それを見て、皆しばらく静まりかえっていたが、やがて、誰かが口を開いた。





「……勝った、の……?」






 その言葉に、皆顔を見合わせ……わぁっと歓喜に包まれた。





「っ! 良かった……!」






 ボロボロと私の目からは涙がこぼれ落ち、そんな私に皆が駆け寄ってくる。

 そして、一番先に口を開いたのはリアムだった。




「……クラリスの馬鹿っ!」

「ひっ……!?」




 突如怒鳴られ、私は驚いてリアムを見れば、そのトパーズ色の目に涙がたまっているのがわかる。




「……心配、したんだからっ……!」




 その言葉に、皆が一斉に頷く。

 私は俯きがちに「ごめんなさい」と口にすると、アルが私を庇って言った。




「ちょっと、その話はまた今度にして。

 クラリスはもう、体が限界なんだから。

 ……後のことは僕達に任せて、クラリス、君は休んで」




 君の目が覚めたら、僕もたくさん話したいことがあるから、とアルは告げる。

 私もそのアルの言葉に泣きそうになりながらも頷くと、そんな私を見て微笑んで見せたアルは、私をヒョイっと横抱きにする。




「!!」




 久しぶりの浮遊感に、思わずアルの体にしがみつくと、アルは嬉しそうに、私の額に唇を寄せた。







(……! みんなの前で!!)






 と恥ずかしくなったけど、なんだか体が重い。

 ……私はみんなの何か言い合う声と、瞼に感じた柔らかい感触を最後に、そのまま気絶するように眠ってしまったのだった。








 ―――千年の時を経て現れた大悪魔バアル。




 その災厄は、千年前に起きた大事件とは打って変わって、犠牲者0という驚愕の数字で幕を閉じた。




 ……千年に一人の火の使い手、クラリス・ランドル。

 同じく千年に一人の水の使い手、アルベルト・シュワード。

 時の国の、ローレンス・ディズリー。

 癒しの魔法と希少な光の魔法使い、ミリア・オルセン。

 そして、瞬間移動魔法の使い手、シリル・ダンヴィル、風の魔法を持ち、元は悪魔憑きであったリアム・

 バートン。



 彼等が出会い、千年に一度の大災厄に立ち向かうことになったのは、必然か偶然か。






 その答えは誰にも、分からない……―――











これにて悪魔討伐戦争終了です!

本編後もう少しで完結致します…!

更新頑張ります^^(糖度高めに…!笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ