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第73話 校門にいる怪しい女は誰だ?あれはもしかして……

 とりあえず周りに先輩らしき人はいないようだ。

 このまま進んで大丈夫だろう。注意を払いながら歩を進め、

どうにかこうにか先輩に見つからずに校舎から出る事に成功する。


 よーし。ここまで来てしまえばゴールはすぐ目の前にあると言って同然だ。

 なんてたってあとは門をくぐれば言い訳だからな。気は楽だ。

 ただ、俺は果てしなく天に見放された男だ。

 いつどんな火の粉が降り注いできてもおかしくない。

 気を引き締めていくぞ。警戒しながら歩を進めていき、やがて前方に校門が見えてくる。

 と同時にある怪しい人物が目に入る。



 あれ?校門の脇あたりに長身で黒髪ロングヘアーの女子がいるが、様子が何か変だ。

 おかしな事に体からおぞましい程の殺気が溢れ出ている。

 一体、彼女に何があったんだ?生徒はエラいビビりようだぞ。

 てか、いつの間にか騎士がいなくなってるじゃないか。どこへ行ったんだ?


 もしかしてあいつが怖くて逃げたんじゃないだろうな。さすがにそれはないか。

 まあいずれにせよ、ここからでは距離が遠過ぎて女子の顔をハッキリ見る事が出来ない。

 もうちょっとだけ前に進もう。

 


 歩いて距離を縮め、校門まで約十メートル程に迫る。

 すると突然、謎の女子が背中側から黒い棒を取り出した為、思わず動きが止まる。


 お、おい……

 俺は夢でも見てるのか?

 あれは、先輩が俺を殴った時に使用した黒い棒じゃないか。

 という事は……


 うー。今やっといかれた女子の顔を拝見する事が出来たが、ありゃ百パーセント先輩だ。

 どうする?帰宅するにはあそこを通る以外に道はないぞ。

 となれば、手は一つだ。持っていたカバンで顔を覆い、再び校門へ向けて歩き出す。


 ふー。緊張する。

 何とか気付かれなければいいが。


「おい、お前。ちょっと待て」

 順調に数程前進するが、前方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。


 うっわ。おそらく、今のは先輩が発したんだろう。何となくだが、分かる。

 そして近辺に不審者がいない事を考えると、俺へ向けて話しかけてきたに違いない。

 もはや一刻の猶予もなしだ。おりゃー!先輩の言葉を無視し、全速力で校門を駆け抜ける。


「ま、待てー。さてはお前、石野すざくだな。絶対に逃がさん」

「ぎゃー。こっちに来るなー。俺は石野すざくではない。橋渡まるおだ」

「嘘を付け。だったら、顔を見せてみろ」


 ちっ。上手くごまかせなかったか。

 とりあえずはこのまま走るしかなさそうだ。

 強い気持ちで街道を疾走するも、ものの二分足らずで体力の

限界を迎え、誰もいない道のど真ん中で力尽く。

 

 はー。はー。はー。はー。

 もうダメだ……

 

「思った通りだったな。追いかけてきて正解だった。ではさっそく、約束を破ったクソ犬に罰を与えるとするか」

 棒を振り回しながら、先輩がすぐ真横までやってくる。


「ちょ、ちょっと落ち着いて下さい。俺が先輩の所に行けなかったのには訳があるんです」

「何?」

「よければ話していいですか?」

「う、うむ。まあ、しょうがないな」

 やり。少々強引だが、対話にこぎつけたぞ。


「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて。実は今日の昼休み、俺は予定通りに先輩の所へ行こうとしていたんです。しかし、運悪くイザベルが倒れている所に出くわしましてしまって。仕方なく、彼女を保健室で看病していました。そしたらいつの間に昼休みも終わってしまい、あのような事態に。ですので悪気があったんじゃないんです。どうか、許して下さい」

 倒れながらの状態で何とか頭を下げる。

 

 フフ。さすがの先輩もこう言えば、怒るに怒れないだろう。

 少々話を偽ったが、ちょっとくらいは大丈夫なハズだ。


「な、なんだと……」

 期待とは裏腹に先輩の顔がみるみる険しくなっていく。 

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