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第67話 ドS美少女は凄まじく強かった?

 すると、幸運な事に呆然と立ち尽くしたままのイザベルが目に入る。

 ふー。どうやら、天はまだ俺に味方してるらしい。

 ただちに動き出そうとするも、不幸な事にポケットからコインが落下する。


 ぎゃー。コインのバカヤロー。

 なんで落ちるんだよ。

 それでも俺はめげずに外を目指して走った。

 しかし、あと僅かの所で恐ろしい女がドアの前に立ち塞がる。


 う……

 イザベル。おそらくは、コインの音がきっかけで悪い夢から目覚めたんだろう。

 正しく自らのミスで首を絞めた感じだが、ここまで来たら何も考える必要はない。

 行く手を阻む者は退けるのみ。おりゃー。

  

 全力でイザベルにぶつかっていくも想像以上の腕力に圧倒され、あっけなく床に

押し倒される。


 いってー。コイツを決して舐めてた訳ではないが、やっぱイザベルはゴリラだ。

 もうダメかもしれない……


「甘い! 貴様ごときが私に敵う訳ないだろう」

 勝ち誇った表情でイザベルが俺を見下す。


 このやろー。なんて憎たらしいんだ。

 そりゃ、俺だって勝てるとは思わなかったさ。

 ただ、やるしかなかったんだからしょうがないだろ。

 というか普通に話せるなら、もっと早い段階で口を開けよな。



「確かに。お前は凄い奴だからな。俺みたいな凡人じゃ手も足も出ないさ」

 イザベルの機嫌を悪化させぬよう、不満を押し殺して褒め称える。


「な……いきなりどうした? あっさり負けを認めるなどらしくないではないか。さては貴様。私の機嫌を損ねぬよう、褒め殺しに出たな」

  

 ぎくっ。

 速攻でバレたか。

 

「どうやら、図星のようだな。バカモノめ。私がまんまと貴様の策略にハマる訳ないだろ」

 そういう割には案外カンタンに騙されたくせに。

 よくそんな言葉が吐けるな。

 

「まあいい。この話についてはもう終わりだ。さて、そろそろおしおきを開始するとしよう」

 次の瞬間、仰向けで倒れている俺の上にイザベルが覆いかぶさるように体を密着し始める。


 はー?何考えてんだ、コイツは。

 距離が近過ぎるせいで互いの唇が触れ合ってしまいそうだ。

 こりゃ、かなり危険な状態だぞ。


「よし。これだけ密着していれば、逃げられる事もないだろう」

 何がよしだ。密着せずに逃亡を阻止する方法などいくらでもあるだろうが。

 全く。ふざけた奴だ。と言いたい所だが、すぐ目の前に顔があるせいでイザベル

の吐息がまるで風のように流れてこんでくる。


 ああ。まじでいいニオイだ。

 加えておっぱいの感触もたまらん。

 もう死んでもいいかも……

 

 っておい!のんきに快感に浸っている場合か!

 もしイザベルと密着している所を誰かに見られでもしたら、きっと大騒ぎになるハズだぞ。

 早急に何とかしなければ。

 

「さあ、もう逃げられないぞ。観念しろ」

 

 バカヤロー。観念なんてとっくにしとるわ。

 見れば分かるだろ。


「言わせて貰うが、俺はさっきから――」

「ちょ、ちょっと待て、貴様、なぜ口を押さえた? もしかして私が臭いとでも言うつもりか?」

 唇と唇が触れてしまわぬよう口を手で覆った所、イザベルが慌てた様子で言葉を発する。


 たく。

 コイツは本当に話を遮るのが好きだな。

 

「安心しろ。口を押さえたのは単に距離が近いからだ」

「そ、そうだったのか。におってなくて何よりだ」

 

 どうやら、誤解は解けたようだな。

 とりあえずはよかった。


「じゃあ、さっそく話の続きに戻りたいと思う。お前は少し勘違いしてるようだが、俺は既に観念している。抵抗する意思はこれっぽちもない。だから、体から離れてくれ」

「なんだ? 貴様にしては往生際がいいではないか。もしかして改心したのか? ならば、素直に褒めてやろう。だが、密着を止めるつもりはない」

「は? どうしてだ?」

「うるさい。黙れ。離れるも離れないも私が決める事だ。貴様の意見などはなから聞くつもりはない」

「な、何だと、コラー。調子にのるのもいい加減にしろよ。この変色ナス」

「ほー。改心したと思ったが、どうやらそれは私の勘違いだったようだな」

 イザベルの表情がみるみるウチに険しくなっていく。


 し、しまったー。

 つい心の声が外へ出てしまった。

 神様ー。どうか迷える子羊に救いの手を。

 

「まあ、よかろう。今回は特別だ。私が貴様に教えを説いてやろう」

 魂の叫びが功を奏したのか、イザベルの表情が普通に戻る。


 す、凄え。これぞ正に神秘の力だ。

 すっかり状況が好転してしまった。

 適当でも神頼みしてみるもんだな。



 

 

 

 

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