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錯綜
14年前の記憶を紐解きながらベッドを抜け出し、私の家である事を確認しながら1階へ向かった。
床、壁、天井…照明器具の全ては、確かに私の家と確認できる。
首を捻りながらリビングのドアを開けると、そこには別れた筈の妻が朝食の支度をしていた。
とりあえず平静を装いながら言葉を出してみた。
「お、おはよう」
「今日は何日だっけ?」
妻は怪訝そうな顔つきで
「12日よ」
「なに寝ぼけてるの?」
その時、当時の記憶が蘇って来た。
10月11日、つまり昨日は私と妻、そして息子の3人で紅葉を見ながら日帰りで温泉へ出かけた日。
その頃は仕事に忙殺される毎日が続き、めったに家族で出かける事が無かった。
それゆえ、たった1日の事ではあったが、記憶には残っていた。
「昨夜は飲み過ぎたみたいだ」
私は当時の記憶から、答えるべき言葉を導き出した。
「そうみたいね」
「お酒飲んだ後、すぐに寝ちゃったし…」
良かった。
記憶は間違いではなかった。
温泉から帰り、晩酌をしてから後の記憶が曖昧だった。
ジャンプしたのかもしれない。
ようやく非現実的な考えに辿り着いた。
確かにやり直したい願望は有ったが、こんな形で実現するとは…。
いや、この世界は、私がジャンプして来た2009年に繋がっている確証は無い。
通勤の車中でそう思った。




