捏造
「次回は・・・12日、木曜日の午前中にいらっしゃってください。」
「お薬は2日分お渡ししておきますね。」
風邪をひいたのか、軽い頭痛がしていた。
・・・何時だろう。
私は待合室のドアを開けながら、左腕を伸ばして腕時計に目を向けた。
「10時27分か・・・」
「会社に戻ったら、まだ一仕事出来る時間だな。」
少しの違和感と共に医院を出た私は、運転席に乗り込みイグニッションを捻った。
「うぅっ・・・」
後頭部から頭の中心に向かって頭痛が走った。
とっさに痛みが走った部分を抑えた手に何かが触れた。
「しこり?」
柔らかい、脂肪のかたまりに似た物が頭皮下に感じられた。
ニキビよりも大きいが抓めるほどでも無く、押しても痛みは無い。
「今朝、髪を洗った時・・・」
朝の浴室を思い浮かべた時、その感覚は記憶の中に有った。
最近の不規則な生活で出来た吹き出物だろう・・・。
納得した私は車を走らせて帰社の途に就いた。
「ただいま戻りました。」
私は総務のカウンターで帰社した事を告げ、IDカードを取り出して機密エリアへ向かった。
そしてカードリーダーへタッチしようとした時、時計表示が目に飛び込んで来た。
「・・・11時30分?」
会社から花園病院までは20分程度、少なくとも40分の時間が消えている。
「あっ・・・」
頭が・・・
・・・・・・・・・
「佐々木さん、ユニバース産業の林さんから、見積もりの件で電話が有りましたよ。」
私は自分のデスクに居た。
「何時頃に?」
開発室の時計に視線を向かわせた私に見えたのは、13時20分を指した時計だった。
「えぇと・・・確か10時半頃だったと思います。」
「そっか、ありがとう。」
私は受話器を持ち上げ、プッシュボタンを押していた。
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【注意】
ユニバース産業は架空の組織で、実在の組織とは一切関係ありません。




