第59話 古い海図と、海のダンジョンへの招待状(17)
だが、ここまで来た以上、できることを探したい。
「ガルドさん。俺から一つ、提案があります」
「言ってみろ」
「まずは港へ戻り、海底調査のための装備を準備する。それから、海底遺跡の入口まで潜水艇で移動できる方法を考えるんです」
「潜水艇……」
エマが、はっと顔を上げた。
「そうか。船の魔石動力を応用すれば、小型の潜水装置を作れるかもしれません。すぐには無理ですが、既存の魔法式呼吸器具と組み合わせれば……」
「それに、俺の召喚魔獣を使えば、海中の偵察もできるかもしれません」
俺は続けた。
「無理に戦う必要はない。まずは遺跡の構造を調べて、危険な場所を避けながら進む。装置を止める方法がわかれば、それを実行する」
ガルドさんは、しばらく俺を見つめていた。
やがて、口元に笑みを浮かべる。
「Eランクにしては、悪くない考えだ」
「ありがとうございます」
「よし。いったん帰港する。必要な装備を整え、改めて調査隊を編成し直そう」
レオンが拳を握った。
「今度は、ちゃんと準備してから行こうぜ!」
エマも、手帳を抱えてうなずいた。
「潜水艇の設計、考えてみます」
俺はほっと息を吐いた。
これで、少なくとも無謀な突入は避けられる。
そう思った、そのとき。
「新作」
キュモポレイアが、静かに俺を呼んだ。
「何だ?」
「……そなたは、あの海底遺跡へ行くのじゃな」
「ああ。準備が整ったらな」
「そうか」
女神は、海の向こうを見つめた。
「ならば、わらわも行こう。今度こそ、逃げずに向き合わねばならぬ」
その声には、いつもの明るさがなかった。
俺は、そっと彼女の肩に手を置いた。
「一人で背負う必要はないよ」
キュモポレイアが、こちらを振り返る。
「……新作」
「俺たちは相棒だろ?」
俺が笑うと、彼女は一瞬だけ目を見開いた。
そして、少し照れたように頬を赤くした。
「……うむ。そうじゃな」




