第54話 古い海図と、海のダンジョンへの招待状(12)
出航から一時間ほどが経過した頃……。
エマが、船の中央に設置された魔力計測器を確認していた。
「……妙ですね」
「どうした?」
ガルドさんが尋ねる。
「海底からの魔力反応が、一定の周期で強くなっています。まるで、何かが呼吸しているように」
「昨夜と同じか?」
「はい。ただし、こちらへ近づくほど反応が強くなっています」
俺は海面を見つめた。
周囲の海は穏やかだ。
しかし、ルルは俺の肩で落ち着きなく動いていた。
「きゅう……」
「ルル、何か感じるのか?」
小さな竜は、海の一点を見つめた。
俺の視界に、青白い文字が浮かぶ。
『――魔力反応を感知』
『――対象:海底構造物。
『――推定水深:四十二メートル』
「四十二メートル……」
俺は呟いた。
船の真下ではない。
少し先、海底が深くなっている場所だ。
その海域では、海面の色が周囲よりも暗くなっていた。
まるで、そこだけ海が深く沈み込んでいるかのように。
「ガルドさん。あの辺りに、何かあるみたいです」
「エマ、確認できるか?」
「はい」
エマが魔力計測器に手をかざした。
計測器の針が、ゆっくりと振れる。
そして、突然、大きく跳ね上がった。
「これは……!」
その瞬間──
船体が、ぐらりと揺れた。




