第51話 古い海図と、海のダンジョンへの招待状(9)
出航前、俺は船の装備を確認することにした。
釣り人として、海へ出る前に道具を点検するのは当然だ。
まずは魔導船の推進装置、次に船体に刻まれた防御魔法陣……。
それから、救命用の浮き輪と、魔法式の呼吸器具……。
この世界には、魔法で空気を供給する装置もあるらしい。
海底調査の準備としては、かなり本格的だ。
「これなら、浅い海底なら調べられそうですね」
俺が言うと、エマがうなずいた。
「ただし、深い場所では水圧が問題になります。呼吸器具も長時間の使用には限界がありますから、無理は禁物です」
「わかりました」
俺は自分の釣り具も確認した。
【魔力リール竿】
【予備のリール】
【ライン】
【ルアーケース】
それから、昨日釣り上げた蒼雷魚の魔石を加工した、小さな魔力片──
ギルドで鑑定してもらったところ、魔獣の魔石は召喚能力と相性がよく、魔力の補助に使える可能性があるという。
今はまだ使い道がわからないが、捨てずに持っておくことにした。
「新作、何をしておるのじゃ?」
キュモポレイアが、俺のルアーケースを覗き込んだ。
「ルアーの確認だよ。海の中で使うものだから、種類を揃えておきたいんだ」
「ほう。こんな小さな道具で、魔獣が釣れるのか?」
「そうだよ。魚の形や動きを真似して、魔獣に餌だと思わせるんだ」
俺は青銀色のミノーを取り出した。
「例えば、これは小魚を模したルアー。こっちは甲殻類を模したもの。相手が何を食べているかによって、使い分けるんだ」
「ふむ……」
キュモポレイアは、真剣な顔でルアーを見つめた。
「つまり、魔獣を騙す道具ということか」
「……まあ、そう言えなくもない」




