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第4話 プロローグ【悪戯波と、釣り人の最期】(4)
「ええと……病院?」
「違う」
「夢?」
「それも違う」
「じゃあ、俺、死んだんですか?」
老人は黙った。
美少女も目をそらした。
その沈黙だけで、十分だった。
「……マジか」
俺は額を押さえた。
釣りに行って、津波に飲まれて、死んだ。
あまりにも唐突すぎて、怒りも悲しみも、まだ現実感がない。
「うむ。まずは名乗らせてもらおう」
老人は三叉槍を脇に置き、深々と頭を下げた。
「わしはポセイドン。海と潮流を統べる海王神である」
「……は?」
「そして、こちらが娘のキュモポレイア。嵐と津波を司る女神じゃ」
美少女――キュモポレイアが、ぎこちなく手を振った。
「や、やあ……」
俺は二人を交互に見た。
神さま? 女神さま? なるほど……。ここは死後の世界というやつか?
……いや、ちょっと待て。
「それで、俺はどうして死んだんです?」
ポセイドンさまの眉が下がった。
「実は、その……娘がな」




