第36話 初依頼は魔獣釣り!?(10)
「よい考えじゃ。では、まずは依頼を完了させるとしよう」
「そうだな」
俺は蒼雷魚を確認した。
釣り上げた一匹は、まだ生きている。
この魔獣をギルドへ持ち帰れば、調査の証拠になるはずだ。
群れが逃げている理由も、海底の魔力反応も、まだ謎のまま……。
だが、少なくとも一つわかったことがある。
俺の能力は、ただ魔獣を釣り上げるだけではない。
魔獣の生態を理解し、行動を読み、釣り方を工夫することで、危険な相手にも対処できる。
そして、ルルの感知能力は、そのための大きな助けになる。
「よし。今日はここまでにしよう」
「うむ。では、帰りに魚料理じゃな!」
「……まだ言ってるのか」
「大事なことじゃ!」
俺は笑った。
この女神は、どこまでも食い意地が張っている。
だが、今はそれがありがたかった。
不気味な海底の光、怯える魔獣の群れ、古い魔力……。
そんなものばかり考えていたら、気が滅入ってしまう。
俺たちは釣り具を片づけ、町へ戻ることにした。
ただし、俺は最後にもう一度だけ、海底の光を振り返った。
青白い光は、まだ消えていなかった。
そして、その奥で。
何かが、ゆっくりと動いたような気がした。
◇◇◇
俺たちが冒険者ギルドに戻ったのは、昼過ぎだった。
受付嬢は、俺たちが持ち帰った蒼雷魚を見て、目を丸くした。
「これは……蒼雷魚ですか!?」
「はい。入り江で釣り上げました」
「この種類は、普通の漁網を破るほどの群れを作ることがあります。まさか、本当に見つけてくるとは……」




