第34話 初依頼は魔獣釣り!?(8)
「安心せよ! わらわが一掃してやる!」
「待て!」
「なぜじゃ!?」
「まだ依頼対象かどうかも確認できてない!」
「では、どうするのじゃ!」
「まずは、一匹を釣り上げる!」
俺は竿を握り直した。
幸い、先頭の一匹はまだ掛かっている。
こいつを逃がさず、群れの動きを観察する。
それができれば、依頼の原因もわかるかもしれない。
俺は竿先を少し下げ、相手の走る方向に合わせた。
無理に引っ張らない。
ラインを張りすぎない。
相手が疲れるのを待つ。
やがて、魔獣の動きが弱まった。
「今だ!」
俺は一気にリールを巻いた。
水面を割って、魔獣が岩場へ引き寄せられる。
最後に軽く竿を立てると、魔獣は砂浜へ滑り込んだ。
「よしっ!」
俺は息を吐いた。
釣り上げた魔獣は、しばらく暴れていたが、やがて動きを止めた。
鑑定表示が浮かび上がる。
『――種族:蒼雷魚』
『――危険度:F』
『――特徴:群れで獲物を追い込み、微弱な雷属性の魔力を放つ』
『――食性:小型魚類、魔力を帯びた疑似餌』
「蒼雷魚……」
なるほど……雷属性の魔力を持つ魚型魔獣か……しかも、魔力を帯びた疑似餌に反応する。
つまり、俺のルアーが狙いどおりに機能したということだ。
問題は、群れの数が多すぎることだが。
俺は海面を見た。
蒼雷魚たちは、まだ岩場の近くを泳いでいる。
そして、その視線は俺ではなく、入り江の奥へ向けられていた。
「……あれ?」
俺は首を傾げた。
魚たちが、何かを恐れているように見える。
獲物を追っているのではない。
何かから逃げようとしている。
そのとき、ルルが甲高い声を上げた。
「きゅうっ!」
小さな身体が震えている。
青い角が、激しく点滅した。




