第32話 初依頼は魔獣釣り!?(6)
――反応なし。
少し速くする。
――反応なし。
次は、短く止めてから動かす。
《コツン!》
「来たぁあああっ!」
竿先に小さな当たりが伝わった。
だが、すぐに軽くなる。
「……食いが浅いな」
俺はルアーを回収した。
フックには何も掛かっていない。
しかし、ルアーの側面に、細い傷がついていた。
何かが噛みついた跡だ。
間違いない。魚はいる。
問題は、どうやって食わせるかだ。
俺はルアーケースを開いた。
【青銀ミノー】
【金色のスプーン】
【小型のワーム】
そして、【黒い甲殻類を模したルアー】
どれが正解かはわからない。
だが、相手が小魚を追っているなら、ミノーで反応があったことには意味がある。
もう一度、同じ場所へ投げる。
今度は、巻き速度を少し落とした。
ルアーを泳がせる! 止める! 再び動かす!
《ゴンッ!》
「うおぉおおおっ!?」
突然、竿が引き込まれた。
リールから、ジジジッ、と音が鳴る。
先ほどとは明らかに違う。
重い……。しかも、横へ走る。
「おおおっ! 来た来た来た!」
俺は竿を立て、ラインの張りを保った。
相手が走る──俺は無理に巻かない。
ドラグを少し緩め、走りが止まるのを待つ。
そして、魚の動きが弱まった瞬間に巻き上げる。
釣り上げるまでの駆け引き。
それこそが、釣りの醍醐味だ。
だが、相手は普通の魚ではなかった。




